カリカリア
刈亜はまた学校に来なくなった。
さびしい。
メルゼシアと隣国タジタリアとの戦争が激しさを増し、学徒出陣もありそうな。
戦況がわるいのだろう。
それに乗じ国内の治安も悪化した。
シュウアブを始めとし様々な反政府勢力が街々を襲い略奪や殺人を繰り返し。
あるいは軍を攻撃。
タジタリアとの関わりがあるかないかは不明。
あってもおかしくはない。
落ち着かないピリピリした空気が国内を覆っていた。
校内ではカップルが増えた。
皆、不安がっていた。
顔や態度にあからさまに出すひとは少ないけど。
その日、私はマルメロの下にいた。
木陰。
葉擦れ。
こもれ日。
ふいに。
発砲音。
鳥が飛んでいく。
第一、第二校舎の方。
ここは第三校舎。
逃げようか、いまのうちに。
悲鳴と、魔術の気配。
濃厚な魔力。
かなり強い襲撃者たち。
しかも多数。
〈マジアック〉システムにアクセス。
緋毛の獣イリラを呼び出し、周囲を警戒。
真っ赤な小鳥アルギーラを偵察に出す。
だが。
十数分たってもアルギーラは戻らない。
最初の戦闘音は既に止んでいた。
このままいつづけるのは危険。
私はイリラを戻し、制服の内ポケットから魔弾仕様の
拳銃A00式を取り出す。
指先が震えてた。
シュウアブを殺すまで私、生きなきゃ。
皆を見捨てても?
見て、危ないなら引き返せばいい。
血が、風に匂う。
第二校舎に近づくにつれ匂いはますます濃くなる。
脇を汗が伝う。
第二校舎を壁伝いに。
足音は魔法で消音。
外水道の陰に隠れ第一校舎を覗きこむ。
発砲音!
目の前の地面がえぐられる。
死ぬっ?!
私は反射的に水道の陰に隠れる。
銃の引き金に指をかける。
砂利の音。
わざとらしく音を立てて。
誰か歩いてくる。
逃げられない。
終わりだ。
私、引き金を引いた。
連発。
……避けられた!
「……刈亜?」
「見逃してやったのに」
「な、何を?」
「……何で来んだよ」
「鳥……」
はっとする。
もしかして、偵察鳥アルギーラを見ても私を見ぬふりしようとしてくれてた?
ごめん。
「シュウアブのリーダーは俺だ」
……えっ?
「心配なんかするか馬鹿。ここで会ったらおまえを殺すしかねぇんだから」
「……」
刈亜がまとう硝煙の濃い。
一体何人……?
カミサマタスケテ。
暗い銃口が見えた。
私、動けない。
こいつにはかなわない。
「地獄で会おう」
シンジルカラ、ジュウジカ。
銃声。
ありがとうございました!




