マルメロ、
午後のマルメロ。
昼下がり、またこもれ日のなか、刈亜。
来てくれた、学校。
刈亜が口を開く気配がなく、葉擦れの音が麗らか。
私は話を聞いてもらう。
「母は神を信じていて、だから父のことも祈ってた。
けど父は死んだ。
母は神を恨まず、また誰かを祈って、神をほめた。
……私、信じらんなくて。
やり返したり、しなくて。
だから。
代わりに……やろうって私が」
「……」
「シュウアヴ、知ってるでしょ?」
「シュウアヴ?」
「うん」
「知ってる」
「あいつらに殺されたの」
「やめとけ」
「どうして?」
「おまえの手に負えない。殺られるぞ」
「いいよ」
「だめだ」
「……」
「それこそ神にでも任せとけ」
「や、私やる」
「御使いはサタンを攻撃せず、祈ったはずだが」
「知らない」
「おまえ信じてはないんだ?」
「シュウアヴが全滅したら信じるかな」
「おせーよ」
「刈亜は信じてるの?」
「いや」
「なんか中身にくわしいよね」
「俺もいまやってることが終わったら、信じてやってもな」
「その前に死ぬんじゃない?」
「かも」
「かもって……。だいたい、テストビリじゃんっ」
「紙に価値はねぇ」
「お父さんを殺した後遺症て何?」
「接触不良」
「デバイスとの?」
「外部デバイスじゃ魔力を上手く出せなくて」
「爪……」
「埋めたよな」
「体内に?」
「指先だし、負担は少ない」
「負担の問題?」
「違うかな」
「だよね」
「まぁ俺の体だし」
「そうだけど、心配」
「ゴメン」
「謝らなくても……」
「……」




