第29話 ガルシアの色
また遅れてしまいました・・・許して?
ロード=ガルシアという人物について話そう。生まれも育ちもウルカニウスの彼は少し頭の出来が良くない、どこにでもいるような普通の少年だった、農村で育ち腕っぷしにも少々自身があった彼は畑を耕す傍ら冒険者にあこがれていた。
「父ちゃんっ、俺は冒険者になりたいっ!」
「はぁ~、またそれか?何度も言ったが冒険者はとても危険な仕事なんだぞ?下手したら死ぬんだぞ?」
「大丈夫だっ!俺は力あるし、俺も隣のおじさんみたいに強くなりたいっ!みんなの役に立ちてぇっ!」
彼の家の隣に住んでいた男は無名ではあったがそこそこ強い男で、彼の振るう槍には力強さを感じここの農村にいる子供たちにとっては憧れの的だった。
「だいたいなぁ、おまえはまだ12だし冒険者になれないだろ。それにお前が冒険者になったら個々の畑はどうするつもりだ?それにこの土地は曽曽曽おじいさんのさらにその前から戦争で戦って手に入れた大事な大事な土地なんだぞ?」
ロード家というには大げさだが自分のご先祖が大昔に戦争の手柄で手に入れたといわれている、たかだか一周するのに五分もかからない小さな土地に約1000年以上は住み続けている、彼が冒険者になりたかったのはそんな土地に縛られないで自由に世界を旅したい、そんな気持ちもあったのかもしれない。
「とにかくほら、さっさとそこの押し車とって来い。今日は母ちゃんお前の好きなケーパの煮物作るって言ってたぞ?」
「ホントにっ!よっしゃあー」
とまぁ、頭は悪かったのだが。とにかく根はまだまだ子供なのだった、しかし、その次の日。
彼は地獄を見た。
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「うぉっとっ!」
「ガルシアさんっ!」
ガルシアの避けていた場所に炎の火柱が立ち、そこの周辺が焼け野原になる
「くそっ、無詠唱で魔法連発とかあいつ本気でバケモンかよっ!」
槍がないのだけでもピンチだってぇのにちくしょう・・・
現在はガルシアとリーフェは一方的に羽の生えている化け物の通称『ガルーダ』という魔物なのだが、無詠唱の攻撃魔法の連発でただただ避けているだけという状況だ。ガルシアの使える魔法は攻撃力は高いものの、もともと魔法を使って戦うスタイルではないので連続で使えず魔法のみでの戦闘となると機動力があまり高くない。一方でリーフェは機動力と連続性はあるがどれも決め手にはならず、防御を張って攻撃を防ぐので精一杯である、それに加え冒険者としてのブランクが魔物との戦闘に対しての勘を鈍らせており、どのみちこのままではジリ貧である。
「くっ!危ねぇっ!」
『カディーテッ!』
リーフェが呪文を唱えると飛んできた炎の槍が緑のオーラに覆われ霧散する、しかし今のままでは確実にリーフェの魔力が尽きる、そして短期決戦に持ってこようとして続けざまにガルシアも魔法を放つ。
『穿て炎 赤の名の下に フレイムランスッ!』
相手に向けて差し出した腕に赤いオーラが宿り腕を中心に炎の槍が5本現れ勢いよく放たれる。
だが。
『ふン』
相手は無詠唱でフレイムランスを発動、しかもよりよってガルシアが同時に5本出したのに対して相手は7本、最低5本は衝突させることは可能でも残りの2本は確実にこちらへと向かってくる。
「くそがっ!」
悪態をつきながら軽い身のこなしでフレイムランスを避けて行く。逃げるという考えもある、しかし相手は空を飛ぶのだ、どちらにしても危険極まりない行為には変わりない。
「さて、どうしたもんか・・・」
「きさマ、なニをヨけてバかりいル。チャんとたたかエ」
「うるせぇ、ちゃんと当てにこい。このド下手くそが」
なんて挑発をするが、どうもさっきから足が震えてどうしようもない。これは今の状況に対する武者震いか、それとも恐怖か、それとも。
トラウマか。
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「父ちゃんっ!」
「来るなっ!『其は火 穿て炎 赤の名の下に 我が害悪を焼き尽くせ フレイムランスッ!』」
放った一本のフレイムランスはまっすぐ魔物に飛んで行ったはずだった、すでに母の死体の頭を片手に持ってただずんでいたその魔物は飛んできた炎の槍を片手で掴みそして投げ返してきた。そして炎の槍は
父の胸の中に吸い込まれるようにして刺さった.
「と、うちゃん?・・・父ちゃんっ!」
近づいた父の体には不思議と血はあまり流れていなかった、そしてそんな姿であるにもかかわらずどれだけゆすっても泣き叫んでも優しかった父は体を上げ頭を撫でることもなければ、その大きな腕で抱きしめることもなかった。焼けた家の中から出てくる魔物、その姿は先ほどまで翼の生えた醜い姿の魔物であったはずなのに今では翼を生やした人の姿へと変貌している、全身が羽毛で覆われていることと、鳥みたいな口ばしがあることを除けば、その姿は人の姿であった。
「と・・・ウ・・・ちゃ・・・ン・・・」
「黙れっ!お前が父ちゃんなんて言うなっ!」
「ダ・・・ま・・・れ・・・?」
ここで初めて気づいた、「なんでこいつは人の言葉をしゃべってるんだ」魔物は基本人の言葉はしゃべらない、ただし例外はある。それは人の肉、もしくはその魔力を口から摂取、すなわち喰らうと稀に人の姿となり人と同じ知能を得て人と同じく魔術が扱える魔物がいるということを父から聞いたことがあったのを思い出した。
「おまえ・・・母ちゃんを喰ったのかっ!」
「ク・・・った・・・かア・・・チャ・・・ん」
悲鳴も出なかった、ただ単に12歳の少年にとっては恐怖だった。怯え父の死体に寄り添っている間にも目の前の怪物は母の死体をズルズル引きずりながら体をどんどん変質させてゆく、そして汚く黒かった羽毛も少年の前に来る時にはまるで炎を宿らせたかのように赤く染まっていた。
「からダがアつイ、さっキのヒ。だセる」
すでに涙も出なかった、乾いた目映るのは翼しか生えてなかったはずの怪物に生えた手だった。
「『ソはヒ ウがテホのお あカノナのモとニ ワがガイあくヲヤキつくセ』
あと一節、この怪物が唱えたらこの少年の頭は真っ赤に弾け飛ぶことになる。彼自身それはよくわかっていた、自分の生を諦め目を閉じ死を迎え得ようとしたその時だ。
「『フレイムラ『カディーテッ!』」
目を閉じているため何が起こっているかはわからない、だがその顔の肌に確実に当たった風、死をも吹き飛ばす力強い風が自分を救ったのだと。
目を開けるとその怪物はひどく動揺し困惑している、絶対発動すると思っていた魔法が発動しなかったのだから当たり前の反応といえば当たり前なのだろう。そして俺を救ってくれたのは一体誰なのか、少年は振り返り息を飲む。凛とした表情で敵を見るその顔、しかし目には優しさが垣間見え、魔術の風で揺れる長く翡翠色をした髪。そして少年は理解した。
この世界には女神がいたのだと。
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「リーフェさんっ!」
「前を見てっ、私は大丈夫ですから」
そう言うリーフェだが既にその顔色はとても悪く、魔力消費による魔力欠乏が見てわかった。そしてこの状態は既に防御による戦闘はこれ以上不可能であるということを意味する。
「リーフェさん、考えがありますっ!」
「なんですかっ!」
このままでは無駄死にだ、こうなったら最終手段に出なくてはならない、ある意味これは賭けだ。
「今すぐ工房に戻ってショウを呼んできてください、退路は俺が守ります」
「ですが、この距離では戻ってくるのに急ぎで20分かかりますっ」
「大丈夫です、20分くらいこいつと遊んでやりますからっとっ!テメェ!俺は今話してんだよっ!」
ですが、と言いたげなリーフェ。言いたいことはわかってる、はっきり言って俺もかなり限界だ。攻撃は当たらないし相手は空を飛んでいるしとても最悪なコンディションにあるというのは変わりないだが、やる時にやるのが男だろっ!
「大丈夫ですっ、こんなんですが一応ギルド長なんでっ」
「・・・っ、わかりましたっ!戻ってくるまでに絶対生きていてくださいっ!」
来た道に向かって走りだすリーフェ、そこで狙ったかのようにフレイムランスを打ち込むガルータ、しかしそんなことはわかりきってるっ!
『拳に魂をっ アニマッ!』
背を向け走りだすリーフェに向かって飛んでくる7本の炎の槍、魔術により拳に炎を宿したガルシアはそれらを正面から叩き落として行く。
「戦いたいんだろ?俺が遊んでやるから我慢しな」
「・・・シカたガナいな」
コわレルなヨ。
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「この子のお父さんとお母さんは?」
「私が来た時には既に・・・ですがこの子が助かってよかったです」
怪物を追い払った女の人は、俺を連れ出しこの町のギルドへと連れてこられた。少し前なら冒険者の集うギルドに憧れを抱いていたものなのだが、今は目の前で殺された父と母の姿が目にこびりついていてどうしようもなく、ただただ案内されたギルドの椅子の上で膝を顔を埋めるしかなかった。
「ハァ〜、にしてもひどい有様だったな。そういえば隣に冒険者が住んでたろ、なんで助けなかった?」
「隣の家には誰もいませんでした、おそらく遠方で素材の採取をしているのだと思われます」
「う〜ん、今回は運がなかったな・・・それでその『ガルーダ』は魔法を使ったって?」
「はい、人間の肉を喰べたことで変質が起きたのだと思います」
「ハァ〜、これはまた面倒な・・・んでその魔物は追わせているのか?」
「はい、既に討伐リストのレッドゾーンで貼り出しました」
「そうか」
膝を抱え聞こえてくる声は男の人の声とさっきの女の人の声、話を聞いている限りあの怪物の名前は『ガルーダ』っていうこと、既に冒険者が追っているということ、そしてあの憧れていた隣の冒険者は俺たちを助けてくれなかったことだ。
「じゃあリーフェくん、この少年のことは君に任せるよ」
「えっ、ちょっとなんでですかっ?」
「えっ、だってこんなむさいおっさんなんかより可愛い女の子のほうがいいだろ」
「ですがっ」
「とにかく任せたよ、私はこれから冒険者たちに今回のことを話さなきゃいけないからね」
「・・・はぁ、わかりましたよギルド長・・・でもうまくできるかわかりませんよ?」
「うまくなくたっていいさ、どう頑張っても無理なことはある」
うまくいく?任せる?一体何の話をしているのかわからなかった。そしてギルド長と思しき人物が部屋を出て行く音が聞こえ部屋の中は二人だけとなった。目の前に近づいてくる気配、その正体はわかっている、でもなぜか身動きが取れないようなそんな感じに襲われた。
「こんにちは、私はリーフェ=アルステイン。一時的にあなたを保護することになりました」
「・・・」
「ここイニティウム支部のギルド受付を担当しています」
「・・・」
すごく怖い、なんでだろうか。自分の居場所がなくなったということと同時に自分にいつも話しかけてくれる親がいなくなったということを改めてわかったような気がする。
「・・・辛かったよね」
「・・・っ」
「大丈夫だから、顔を上げて?」
さっきまでの事務的な声と打って変わって、とても優しい、自分に語りかけてくれたそんな声がしてゆっくりと顔を上げてゆく。
「今回は本当に・・・ごめんなさい」
「え・・・」
なんでこの人は謝ってるんだ、この人は何も悪くない。むしろ俺がお礼を言わなくていけないはずなのに。
「・・・もっと私が早く来ていれば・・・お父さんだけでも助かったのに」
なんで、そんな悲しそうな顔をしてるんだ。悪いのはあいつだ、俺の父ちゃんと母ちゃんを殺したあいつが全部悪いっ!
「俺は・・・あいつを許さない・・・アルステインさんっ・・・俺は冒険者になりたいっ!」
「えっ・・・」
「冒険者になって、あいつを殺すっ!」
その時、少し、悲しそうな顔をしたリーフェ=アルステインの顔を俺は今でも忘れていない。
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「はぁ・・・はぁ・・・っく!」
「おシマイか?」
既に魔力は底をつき、今は逃げ回って攻撃を避けているだけでこのままいけば確実に疲れたところを狙われて死ぬ。
「くそ・・・っ、こちとらもう50過ぎてんだよ。少しは手加減しやがれってんだ、こんちくしょうっ」
戦いながら考えていたが、少し妙だ。なぜこのタイミングでこいつが現れた?あの事件の後、多くの冒険者がこいつの姿を探したが誰も見つけることができなかった。そして40年経った今、なぜこいつが現れたんだ。
「おい、テメェ何で今頃になってこの町に来た。答えろっ!
「ソレヲおシえルギムはナイ」
「はぁ・・・そうですかっ!」
右手を掲げるとオーラが右手を覆いフレイムランスが一本形成されまっすぐ飛来する。
「!?」
ガルーダは驚いたように目を見開く、今まで詠唱をして魔術を放ってきたガルシアが急に無詠唱で魔術を発動させてきたからだ。そして急に飛んできたフレイムランスに反応できず羽を使って受け止めるもののその衝撃で地面へと落下する。
「グっ!」
「いつまでも飛んでばかりじゃ迷惑だからな、どうだ堕ちた感覚は?」
「コろスっ!」
羽はフレイムランスで火傷のためボロボロに傷ついてしばらく使い物にならない、だが魔物の回復は異常だ。この程度の傷は恐らくものの5分で治ってしまうだろう。
「さぁ、殺しに来い。殺してやるから」
「グガガガガガッッッッッッ!」
既に魔力欠乏で視界が霞んでいるが気力でなんとか闘拳の構えをとる。
さぁ、これで最後にしてやるっ!
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「ほら、次はこれを振ってみな」
「はいっ・・・フンッ!」
「・・・こいつは槍だな、一番振り方がいい」
15歳になったガルシアは冒険者の道へと進んだ、基本15歳になったら成人として認められ冒険者の登録が可能になる。12歳で冒険者になる決意をしたガルシアは3年間リーフェの家で世話になり家事をする傍ら、ギルド長の手引きで剣技、槍術、魔術、徒手空拳などを必死に体得していた。
「んで、リーフェちゃん。このガキがあのギルド長の推薦を受けたのか?」
「えぇ、そうですね。この3年間訓練を頑張っていましたから」
「ふぅ〜ん、だがまだまだ乳臭ぇガキにしか見えねぇがな」
3年の月日はガルシアを身体的に大きく成長させた、身長は昔リーフェの腰までしかなかったのに、今ではすっかり抜かしてガルシアの肩あたりにリーフェの頭があるくらいになったのでちょうど40〜45センチは伸びたんではないだろうか。しかし、その精神は父と母を殺したあの魔物に対する復讐心と憎悪で荒みきっていた。
「おい、テメェ。ちょっとこっち来い」
「はいっ」
「いいか、今から俺はお前にあった最高の武器を作ってやる」
ガルシアはその言葉を聞いて身構える、俺はようやく戦える、復讐できる、あの忌々しい魔物を殺せる、そう思っていたが。
「だがなぁこれだけは忘れるな、お前に渡す武器は殺しや復讐の武器じゃねぇ、テメェが生きていく上で大事な武器だ」
「・・・っ、なんでだ・・・俺はあいつをぶっ殺すために冒険者になったんだよっ!なんで復讐しちゃいけねぇっ!あいつはぜってぇぶっ殺すっ!」
怒りがふつふつと湧き上がり、醜いとわかっている、自分が冒険者になった醜い理由を吐き出していた。
「俺はっ・・・っ!」
大声を出してわめいていたガルシアが急に前へと傾く、理由は単純、パルウスが胸ぐらを掴んだからだ。
「そんなくだらねぇ理由でこの武器を使ってみろっ、その武器は魔物を殺すだけじゃねぇっ!お前自身を殺すことになるぞっ!もう一度よく考えて思い出してみろっ、テメェはなんで冒険者になったっ!なんで冒険者になりたかったっ!答えろガキぃっ!」
なんで・・・なんで・・・『隣のおじさんみたいに強くなりたいっ』、『みんなの役に立ちたい』・・・俺は・・・何一つ、復讐のために冒険者になりたかったわけじゃない?
「俺は・・・俺は・・・強くなりたい・・・・みんなの役に立ちたかった・・・でも・・・親が死んで・・・どうやって・・・誰を助けりゃいいんだよっ!」
すると、奥の方で黙って見ていたリーフェが前へと進み出てそして。
パチンッ!
「・・・えっ」
「甘ったれないでくださいっ!」
乾いた音と、右頬が痛みでジンジンする。前の方を向けば涙目でリーフェがこっちを見ている、なんであなたはいつも僕を見ている時にそんな顔をするんですか?
「私はギルドの職員です。私は昔なんでそんな危険なことをして冒険者をしてるのかと聞いたことがあります、その冒険者は言いました『大事なものを守るためにやってるんだよ』って、みんな自分の都合で戦ってるんじゃないんですっ!みんなのため、大事な人を守るためですっ!自分が自分がなんて言ってないでまずは周りの人を守れるようになってくださいっ!」
その言葉を聞いて思った。
俺の時間は子供の、両親が殺された時から進んでなくて止まったままなのだと。そして俺はまだガキだったんだ、だだをこねるただのガキだったんだと教えられた気がした。
そのショックに膝を落とし、うつむきあまりの不甲斐なさに嗚咽を漏らす。
「・・・二日待て、最高の武器を仕上げてやる」
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「グオォオオオッ!」
「ガァアアアアアァッ!」
拳がぶつかり合う音が響く、足もふらつくしもう立っているのも限界だ、でもこいつだけはっ!
「生かしておけねぇっ!」
こいつが生きていれば次の犠牲者が出る、俺は守るために、もう俺みたいな復讐に囚われた人間を作らないために戦うっ!
「ガァッ!」
顔面のストレートを食らって後ろに思いっきり吹き飛ぶ。なんとか体制を立て直そうとして立ち上がるが、前かがみになった途端重一気吐血をしてしまう、おそらく内臓の一部がやられたのだと長年の経験でわかる。
「くそっ・・・リーフェさん・・・早・・・く」
『ガルシアさんっ!』
遠くで聞こえてきたリーフェさんの声、大丈夫だ俺はまだ闘えるっ!
「ガルシアさんっ!」
「ショウも来てるのか・・・なかなか良い防具つけてるじゃねぇか」
二人が持っているのは布の巻かれた長い棒、それを持って草むらの向こうから走ってくる。ようやく来たか、俺の相棒は
「おいっ!それを投げろっ!」
「はいっ!せ〜のっ!」
ショウとリーフェが一緒に投げるその棒は空中を飛びながら布がはだけてゆき、ガルシアが手に取った時にはその姿が露わとなり、それの切っ先をガルーダに向ける。
「さぁっ、決着をつけるぞっ」
「キサまハおレニかテなイっ!」
そう言って回復させた羽を使って空高く飛ぶガルーダ、でも大丈夫だ、こいつさえあればどんな敵だろうとぶった切れるっ!
ガルシア式改良槍『インペディアント』
次回更新は6月6日になります。
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