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異世界探求者の色探し  作者: 西木 草成
第1章 赤の色
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第27話 嵐の前の色

すみません今回チョッチ短いです


「ふぅ・・・今日はお疲れさん」


「まさか見てくれてるなんて思っていませんでしたよ」


 現在、俺とガルシアさんは未だにツケを払いきれていない酒屋で飲んでいた。

 

 当然のごとく俺はギリ未成年だが(一話参照)ここでは目を瞑らせていただきたい、ここには俺を縛る日本国憲法は存在しないから。


「にしてもよく飲みますね、もう三杯目ですよ」


「なぁに、まだこれからってもんよ!おい親父っ!もう一杯追加だっ!」


 俺の手元にあるのはワインみたいな色をした酒だ、ガルシアさんに酒は初めてだといったらこれを勧められた。初めて飲んだアルコールだが葡萄ジュースみたいで結構飲みやすい。


「んで、どうだった騎士団の訓練は?」


「そうですね・・・自分に足りないものや緩んでいた部分なんかを教えてもらったような気がします」


「そうか・・・それで、この街を出るのか?」


「・・・はい、僕は知らないことが多すぎる」


 今回の訓練ではっきりとわかったことがある、それはこの世界は広いということだ。王都騎士団の人間のみならず、多くの人がこの世界にいる。親父の言ってたまっすぐに生きるというのならば俺はもっとこの世界について知りたい、いろいろな人の生き方を知りたい、そう思えた。


「・・・そうか、んでいつ出発するんだ?」


「もう準備はできてるんです」


 リーフェさんとの話の後、ある程度自分に必要な荷物を調べ上げといていつでも出発ができるようにはなっている、ただしとんでもない荷物の量だが。


「ですので、明後日あたりにも出ようかと」


「ほぉ、なんで明後日なんだ?」


 当然ながら理由は存在する。


「お世話になった人とかに挨拶をしようと思って、あとリーフェさんが・・・」


「ん?リーフェさんが?」


「渡したいものがあるから明後日まで出発は待ってくれと言われまして」


「なるほどな、ということは今日は飲み明かしてもいいという・・・」


「リーフェさんに怒られますよ?」


 およそ二か月半前のやり取りでガルシアさんにはこの近辺、イニティウム支部全域の酒場出入り禁止までリーチがかかっている、しかしギルド長が受付嬢より権力が低いとはどういったものなのか?


「んで、どこに行くつもりなんだ?」


「そうですね・・・適当にこの大陸をぐるっと回ってみようかなと」


 この街にあった文献で調べたのだが、この世界は一つの大きな大陸で人々が暮らしており、中心が王都騎士団の所属する王都、そしてその周りを等間隔に七つに区分された国が存在する。それは北から時計回りに雪原の国『アルブス』。小高い山と黒色の岩が特徴の国『フォディーナ』。広大な緑とエルフが多く暮らすリーフェさんの故郷の国『リュイ』。今俺のいるイニティウム支部のある国『ウルカニウス』。水産業と交易の町で有名なのと豊富な水資源が存在する『アエストゥス』。広大な砂漠が広がる不毛の地『サブルム』。そして魔物達が多く生息するとされる前人未到の地『バルバルス』となっている。

 

 個人的にはこの前リーフェさんに聞かせてもらった『リュイ』に興味がある。


「あぁ〜、あそこはやめた方がいいぞ。なにせお隣と戦争をおっ始めようとしてっからなぁ」


「そうだな、あそこは今はやめておけショウ」


「はぁ・・・」


 ガルシアさんはともかく、何で酒場のおっちゃんまで俺の心まで読めんだろう?


「お前は顔はいろいろ読みやすいんだよ」


「・・・」


 どうやら俺の顔は文字でも書いてあるか液晶画面でできているようだな、少なからずさっきの話は個人情報も含まれている。


「ともかくだ、いきなり世界に飛び出すってのもいいがもうちっと情勢について考えな」


「そうですね、もう少し考えてみます」


「そういえば『アエストゥス』の海鮮料理は絶品だぞ。今の時期だったらアミアがうまいんじゃないか?」


「アミア?」


「あぁ、この時期になると群れで戻ってきてな。こいつの身を炙って酒と一緒に食うとウメェんだよこれがっ!」


 隣で軽くヨダレをだしているガルシアさん。今はちょうど9月の終わりくらいでこの時期に戻ってくる魚といったらカツオみたいだな。確かにカツオの炙りなんてうまいに決まっているし、一回食べてみたいな。


「まぁ、どこ行こうがお前さんの勝手だが、変なとこで死ぬんじゃないぞ」


「えぇ大丈夫です。そういえばガルシアさん。リーフェさんのことをどう思ってるんです?」


 ブフッ!と、隣でちょうど酒をのんでいたガルシアさんが吹き出す。おっ、これはちょっと面白いぞ。


「な、なんだ急に藪から棒に」


「いえいえ、言葉通りですよ。実際どう思ってるんです?」


「ど、ど、ど、どうっ・・・て?」


「まぁ、尊敬してるとか、頼りにしてるとか・・・好きですとか?」


 カタカタカタカタッ、うん手元のグラスがめっさ震えてるね。これは当たりかな?


「な、なな、何でそんなこ、こっ、こっ、ことを!?」


「僕ももういなくなっちゃうのでちょっと真実を聞きたいなと思って。でもでも、それでもシラを切るというならリーフェさんに聞くまでですが」


「くおっ!・・・なんでわかったんだよ」


「まぁ『お前の顔はいろいろ読みやすいんだよ』でしたっけ?」


「よぉし表へ出ろ、そのふざけた考えをする脳みそを道にブチまけなきゃなぁ?」


「待って待って待ってっ!冗談ですって!落ち着いてくださいッ!」


「あんま調子に乗んなよっ!・・・はぁ〜、そうだよっそうだよっ!俺はリーフェさんのことが好きだよっ!」


 おっ、とうとう吐いたな。こう見えて俺は人間観察が得意でクラスの人間で片思いをしている人を当てるのが得意だったこともある。


「俺がまだ新人冒険者で青っ洟だった頃さ、初めて担当してくれた受付嬢さんがリーフェさんだった。とても優しくれて、それに物知りだし・・・それに字が書けなかった俺に字も教えてくれた。一目惚れだったよ、そこから数十年必死に頑張ったさ。そしたらギルド長だなんてものになっちまってさ・・・でも振り向いてくれなかった、どうしても振り向いて欲しかった」


 酒を飲みながらそう語るガルシアさん、その顔はどこか虚しくも見えて若々しくも見えた。


「そうですか・・・じゃあ、告白しちゃいましょうっ!」


「あぁ・・・はぁっ!?」


「大丈夫です、僕が計らってあげますから」


「いやいや、計らってってはぁ!?」


 よしこれも何かの恩だし、俺に行き方を教えてくれた人だからな。このくらいの恩返しをしてもバチは当たらないだろう。まぁこれができたらこの町を出ても後悔は残るまい、それにまたこの町に戻ってくるいいきっかけになる。


「なぁ・・・俺こんなに老けているのに大丈夫か?」


「人間ハートですよHEARTです」


 隣のおっちゃんまじで真剣だわ、目の前でコップ磨いてる酒屋のおっちゃんもニタニタしてるしな、あぁ早速だが明日が楽しみでしょうがない。


 さぁて、今回はちょっといろいろと並行して作品を書いていて、内容が薄いのと同時に短いです。文句言われる前にお詫びいたします(というか言いに来てぇ〜)


 そして感想と評価は大大大歓迎です!


 次回更新は5月8日です。

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