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異世界探求者の色探し  作者: 西木 草成
序章 序章の色
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第18話 探求の色

「そういえばショウさん、この世界に来てどれくらい経ちますか?」


唐突に晩飯のシチューもどきをよそっていた俺にリーフェさんが話しかけてきた


「そうですねぇ、もう二ヶ月になりますか」


「だいぶ経ちましたねぇ、でも相変わらずショウさんの料理はいつも美味しいです」


「喜んでもらって何よりですよ」


 こちらとしては、相変わらずリーフェさんの家で寝食を共にしていて、それこそ暮らす場所には困っていない、食材とかは自分が稼いだ金で買って料理しているし、それにプラスしてリーフェさんが食べているんだからどちらもWinWinな関係ではいるだろう、しかしだ!


「そういえば最近、仲間の冒険者の見る目が冷たいんですよねぇ〜」


「あぁ、そういえば、見ていてそんな感じがしますね」


 そうなのだ、少しばかり心当たりがあるのは、自分がランクCだったとしても初心者の俺にはある程度パーティが組まされる、そのおかげで知り合いも増え交流を楽しんでいる部分もあったりする。


 しかし最近『お前はどこに住んでいるのか?』と剣士で冒険者仲間のラルクという20代後半のやつに聞かれたことがあるのだが『リーフェさんのところで使用人兼居候をさせてもらってます』と正直に答えたところ、みるみる顔が歪み、胸ぐらに掴みかかられ、あれやこれやと18禁イベントは起きたのかと根掘り葉掘り聞かれそこから『新人のくせにうちの名物受付嬢に手を出しやがった助平やろう』と嬉しくないレッテルを貼られてしまったのである。


「とまぁ、心当たりがあるとするならこんなところですね」


「はぁ〜、皆さん信頼してくれるのはありがたいんですけどちょっと度がすぎるところがあるというか・・・」


「まぁ、わからなくもないですがね」


 そうだな、もし俺が同じ冒険者の立場だったら確実に簀巻きにして二度と帰れないよう川に流すかなぁ・・・


「とにかく、あまり気にしないことですよ、それで依頼に支障がきたすようでしたら遠慮なく言ってください」


「ええ、毎回ありがとうございます」


 その日の夜も特に何もなく終わりそうだ、今までこの二ヶ月、とにかく地球にいた時よりずっと生きがいを感じている、それは彼女に身内のような感情が生まれつつあるからだろう、今まで一人だったからなぁ。


 しかし残念なことに姉と認識するべきなのかもしれないがとても世話のかかる、まるでヒモみたいな姉という感じなのである。


「明日はどうしますか?」


「とにかく、そうですねぇ・・・この剣について詳しく調べようかと」


「剣ですか?」


「ええ」


 そう、この剣なのだが、どうもわからない点が多すぎて最近、少し不気味にすら感じている、そこで、わからない点について少し箇条書きにまとめてみよう。


1、そもそも誰の?


2、剣の文字は何語?、てかなんで俺だけ読めんの?


3、この鞘に (はまってる石っころは何?


4、無駄に硬いけど、この剣は何製なの?


 そしてさらにわかった新事実なのだが。


5、なんでグリップが回転するんですか?


 といった五つの問題がある、使う分には、切れ味は大変よく、戦闘の時には鞘が盾に変形して使い勝手がいいし、剣はついた血がまるで弾くかのように綺麗に落ちるのでなんともいいものだと思うし、相当な業物だろう。


「使ってる分にはいいんですが、ちょっと気になって・・・」


「探求者としてですか?」


 そう言って微笑んでいる、その姿に少しドキッとしてしまうが、そこは苦笑して返すというのが紳士というものなのだろう。


「そうですね、ですが刀剣の部類についてはちょっと (うとくて」


「そうですか・・・」


そう言ってしばらく考え込んで下を見てふと顔を上げて、ちょっと真面目に、いや、少し悪戯っぽい笑みと一緒に


「いや〜、詳しい人に心当たりはいるんですけど、ちょっと名前がぁ〜」


「・・・シチューのおかわりは?」


「ぜひ!」


 そう言って情報取引もどきみたいなもの行い、この日は就寝した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・ここですか?」


「えぇ、ここです」


 リーフェさんの家から歩いて約1時間ほど、それは少しした林の中にそれはあった、そうだな、なんと言おうか、一言でいうなら、マジでここに人住んでんの?ってくらいボロい一軒家。


 大きさはそこらへんにある地球の家よりかは大きく、石で詰んだかのような壁が目の前にある、しかし窓の外にある木の戸などボロボロで今にもとれかかり、壁という壁には植物が張り巡らされ、屋根などはすでに朽ち果てているようで一部が崩れてもはや屋根としての役割を果たしていない。


 それを考慮してもう一度聞こう。


「本当にここなんですか?」


「そうですよ、鍵はいつも開けっ放しなんで勝手に入ってしまいましょう」


 ということは、彼女は何度かここに来たことがあるということか、にしてもどんな人物が住んでることやら、おそらく世捨て人風のヨボヨボな爺さんってところか、彼女を先頭に、家の中に入っていく、あれ?俺扉通ったっけ?


「リーフェさん?あの・・・扉は?」


「え、ないですよ?」


「まさか、開けっ放しって・・・」


「えぇ、正確に言うと、鍵をつける扉がないのでいつも開けっ放しになっています」


「・・・」


 もう何も言うまい、ここまで住環境が破綻している人もなかなか珍しい。


 今日は二人とも仕事が終わった後だったので、外は夕日という、なんともロマンチックという雰囲気なんだが、みんな想像してほしい、前をエルフの美人が歩き、廃屋の不気味で薄暗い通路から、穴のあきまくった窓からところところ入り込んでいるという光景を、どうだ、ロマンチストのクソもないだろ?


「ここに住んでる人ってどんな人なんですか?」


「ん〜、そうでねぇ〜、姉のような、妹のような・・・よくわからない人です」


 うん、よくわからん、これは百聞は一見に如かずというやつだな。

 

 しかし、姉とか妹と表現してるということは女性なのか、それが果たして人なのかそれとも何か違う種族なのかよくわからんが、もしこれが人だったら、人類として少し恥に思うだろう、そんなことを考えているうちに、ある扉の前で彼女が足を止める。


「ここですね」


「・・・えっ?」


 そこには、外の廃屋からは想像がつかない、ほど立派な扉があった、扉は鉄製で、ものすごく重厚感があり、鍵穴と思しきものが五芒星の配置で頂点に付いている、なるほど、部屋がこのくらい厳重だったら、外の扉が無くてもだいじょー・・・ぶではないか。


「ステラぁ?いらっしゃいますか?」


「・・・・」


何の反応もない、留守なのか?


「ステラぁっ!見せたいものがあるんですけど、珍しい剣ですよっ!」


 カタッ


 ん?なんか物音が聞こえてきたような、やっぱり何かいるのか?


「ハァ〜、ショウさん、すみません」


「・・・え?」


スゥーっ、とリーフェが深く息を吸い込みそして、


「今日はっ!その持ってきた人がご飯を作ってくれますよぉっ!」


『ドカン!!』


・・・これはどういうことだろうか、推定30〜40キロくらいはありそうな、重々しい扉が目にも留まらぬ速さで動いたらどう思うだろうか、しかもその扉を開けた張本人が。


「ごっ!ご飯をぉおお!ここ一ヶ月ロクなものを食べてないんだぁぁああああぁ!」


 扉の隙間で転げ落ち、その見事に荒れまくった、紫の髪をまるで某、井戸から出る系ホラー映画の幽霊みたいにして見上げてきたもんだからつい、


「う、うわぁアアアアアアあぁああぁっっ!」


 一つ補足して自分の性格を暴露しよう。


 ホラーは苦手っす。


あけましておめでとうございま〜す

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