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異世界探求者の色探し  作者: 西木 草成
序章 序章の色
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第12話 自分の色

今年もあと少しですね、それではどうぞ

 ハァ、いつまでこんな生活が続くんだか・・・同僚とも言える女性の家で食事を作って、その上、上がりこんで泊めさせてもらってるもんだから恥ずかしいことこの上ない、地球のやつらが聞いたらなんていうか・・・


「そういえば・・・」


 そう言って寝室の床に置いてある剣を拾い上げて、全体を見た後に鞘にはまってる石を見てみる。


「やっぱり色が変わってるよなぁ・・・」


 そう、あの平原でガルシアに剣を渡した時、彼が倒れこむのと同時に鞘の一部が服を通して何かが伝わったのを感じ、しゃがみこむ時、鞘の石の色が変化したのが見えたのだ。


「まぁ、詳しいことは明日だ・・・」


 とにかく今は寝よう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「それでは、これから魔力適性検査を行います」


「はい、よろしくお願いします」


 ここはギルド内のカウンター・・・ではなく、その裏の雑木林である、朝、ギルドに行くとリーフェに案内されたのだ。


「で、なんでここなんですか?」


 俺が確か知ってるのは、なんか水晶とかに手をかざしてその色で属性がわかるとかってのが主流だったのがラノベとかに書いてあったぞ。


「この先に、その魔力を検査できる植物があるのでそこに連れて行きます」


「植物?」


「ええ、性格にいえば古い木なんですがそれはそれは立派ですよ」


 ほぉ、そいつは気になるな古いと聞くと考古学者としての血がさわぐ、まぁ見習いに近いけどな。


 10分後


「到着しました」


「!?」


 生い茂る木々を掻き分けることおよそ1キロ弱ようやくその目的地に着いたらしい、そこにはかつて日本の縄文杉を彷彿させるような立派な大木・・・


「それではついてきてください」


「は、はい」


 そして、大きな幹の下に案内させられる。


「この木に名前はあるんですか?」


「いえ、名前はありませんね、木は木で十分です」


 なるほどね。


「それでは、ショウさんこれより魔力検査を行います」


「はい」


「魔力には以前、質と色、という話をしましたが覚えていますか?」


「えぇ、覚えています」


「そしてその質の違いが外に魔法として放出された時のものが変化します」


「ほう・・・」


 やはり属性的なやつなんだろう、となると代表的なのは、火、水、風、雷、土だったけか・・・


「そしてその質は主に色によって分けられ、赤色、水色、緑色、黄色、茶色、などなどありますが代表的なのはそんなところですかね」


「例えばどう変わるんですか?」


「そうですね・・・例えば赤色だった場合、魔力の質が高温、高圧力といった性質を持つので火などの熱量を操ることが可能ですね」


「おお〜」


 こいつはようやくファンタジーじみてきたな・・・


「それに、剣や弓等の武器を失った時の最終手段として使うことができるので冒険者には必要な情報であり必修技術なんですよ」


「なんで魔法が最終手段なんですか?」


「魔力を持つ量というのは魂の器の違いと言われているんですが、たいていの人はその量が少なくて冒険者の人はその割合が多いんです、ですから切り札としてみなさん学んでるんですよ」


 なんだぁ〜みんな魔法がバンバン使えて、便利な世界なのかなぁと思って自分が恥ずかしいな。


「あれ?、それじゃあ色の濃さって何ですか?」


「濃さはその魔力を放出した時の力の強さですね、だいたい魔力量と比例してると考えていいですよ」


 なるほどねぇ〜


「それでは、話はこのくらいでいいですね」


「ええ、よくわかりました」


「それでは・・・」


 そう言って彼女は懐から何かを取り出す、そしてその何かを自分の方に向けて。


「手を差し出してください♡」


 なんて笑顔で言うもんだからつい・・・


「すっ!すみませんでしたぁっ!」


 だって彼女の持ってたのナイフだったもん・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・おなかすいたぁ〜」


「あっ、ガルシアさん!起きて大丈夫なんですか!」


「まぁ、なんとかね?」


「だって昨日、ガルシアさん、帰った後すぐ倒れたんですもん」


 昨日・・・


「あんな人はもう知りません!」


バタンッ!


「ハァ〜・・・」


「ガッ、ガルシアさん!」


「だっ、大丈夫だぁ、ちょっとクラッと・・・」


「ガルシアさん!」


 今日・・・


「なんてことがあったのに、何があったんですかぁ〜」


「いやいや、ただの魔力欠乏症だよ」


「そんなになるまで魔法使ったんですかぁ〜」


「いや、そういうわけじゃないんだが・・・ってか、メルトさん仕事は?」


「もうお昼ですよ〜休憩の時間ですって言っても、誰もこないんで暇ですけどねぇ〜」


 なるほど、カウンターや周り見渡す限り人が来た気配が全くない・・・か?


「そういえば今日は誰か来たのか?」


「え〜っとですねぇ〜、昨日きた新人さんが魔力検査を受けるため森のあそこに行きましたね」


「・・・そうか」


 少なからず俺の予想だが彼の魔力量はおそらく私を軽く超えているはず、あの剣の正体は全くわからないがあの魔力吸収に耐えられるなんて人間業ではないな・・・


「フッ・・・」


「?どうしたんですかぁ〜?」


「いやぁ、彼女がどんな顔で帰ってくるか楽しみでねぇ」


 今日は少し荒れそうだな・・・、全くわからないって顔をしているメルトを横目に窓の外を眺めて、この後帰ってくるであろう彼女の顔を想像する。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「すっ!すみませんでしたぁっ!」


「はっ、はい!?」


 もうこうなったら、後はヤケクソだ!、腰の剣?、女性に向けれると思うか〜っ!


「礼儀知らずのこの居候もどきの命ばかりは許してくださいっ!これから料理でもなんでも作ってあげるんで!」


「いや、命とかそんな・・・、今なんて言いました?」


 ん?、なんかリーフェさんの目がギラって光ったような・・・


「いや・・・料理でもなんでもって・・・・あっ」


「言質とりましたよ?」


 満面のスマイルで言われて断る理由なんてありません・・・


「それでは、気を取り直していきますっ!」


「ハァ」


 まぁ、美人の家に居候できて寝るところも提供してくれるというもんだから嬉しいことこの上ないけどな、ただその・・・良心が痛むというか・・・恥ずかしいというか・・・


「まず、魔力測定を行うに必要なのは、血です」


「血?」


「はい」


 彼女の説明を簡単に表すと、魂と一番密接している、命の一部として手っ取り早いのが血であり、その含まれている情報で魔力の正体がわかるというものらしい、そしてその採取した血をこの木に垂らすと何かが起こるらしいが、それは見てからのお楽しみと言われた。


「それでは、改めて手を差し出してください」


「はい」


 俺の指先に彼女はナイフを押し当て軽く切る、あまり痛くない上に血の量はそれほどではないが、これで十分なのだろう。


「すみません、痛いですよね?」


「いえ、思ったより平気ですよ」


「よかったです、では」


 ナイフの先に付いた血を、大木の幹へとたらす。


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