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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
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side アリウシア

side アリウシア


私、アリウシア・フォン・リーデンブルグはブレイド先生の所に向かったルディア様の背を見ながらここ2ヶ月の事を思い出す。




今から2ヶ月ほど前、お父様の元に王国所有の特急便で学園都市が魔族に襲撃されたとの知らせが届いた。それを聞いた時は王城はパニックに落ちかけたが、お父様が続きを読み進めるごとにそれは沈静化して行った。 なんと、学園都市の私と同い年の生徒が単身で魔族を倒したそうなのだ。 にわかには信じがたいがもしそれが本当ならこの王国の貴重な戦力になる。


お父様も私と同じ結論に至ったのか直ぐに叙勲式を口実に王都に呼び寄せることにしたらしい。 流石お父様。

しかし、その生徒ルディア・ゾディックの事について調べねばあの学園始まって以来の怪物だとか天災だとか手紙には書かれていたそうだが、それだけではまだ情報が足りない。


「セバスここに。 」


「なんでございましょう姫様。」


わたくしが手を叩き呼ぶとサッとセバスが現れる。いつも思うのですけれど何処から現れているのでしょう?


「ルディア・ゾディックに関するすべての情報を調べてください。 どんな些細なことでも構いません。」


わたくしがそう言うとセバスが胸のポケットから幾つかの書類を取り出す。もしかして既に調べたのかしら?


「既にこのセバス姫様がそうおっしゃると思い、調べてございます。」


「そう、ではお願い。」


「かしこまりました。 ルディア・ゾディックはSランク冒険者アルス・ゾディック、Aランク冒険者サーシャ・ゾディックの息子で容姿は目にした者が必ず心を奪われる程整っているそうです。性格は社交的。 所持していると予想されるスキルは相手の攻撃の軌道を読むか、若しくは未来を視ることが出来る魔眼、魔剣召喚、聖具を召喚するスキル、身体強化、剣術、体術などです。 他にも強力なスキルを所持していると思われます。

職業、能力値はすいませんが分かりませんでした。職業は大抵スキルから推測出来るものなのですがこのような例は過去にありませんし、能力値は桁が違いすぎて我々の物差しでは測ることができないかと。」


「そ、そうそれ程の力を持っているの。 魔族を単身で倒したのも納得です。」


容姿がそこまで整っているのは少し気になるけど、それ以上に固有スキルと思われるものを3つ以上なんて聞いたことがないわ。信じられない。


「続けます。 ルディア・ゾディックに関する噂ですが、住んでいた村の周辺の森が幾つも壊滅していた、一撃で山を砕く、などと言った凄まじいものが上がっています。しかし、気になるものが‥‥。」


セバスがためを作るなんて余程のことね。 わたくしは息を飲み続きを促す。


「気になるもの? 」


「はい、そう言った凄まじい噂が上がる中で1つだけ異質なものが混じっておりました。それは首に幼女を2人首に巻きつけて威風堂々と歩いていたという噂です。」


「‥‥なんですかそれは。 」


「なんでも一部では幼女マフラーのルディと呼ばれ崇められているとか。」


本当になんですか。 そのアホらしい噂は。

そこでふと思う。 ここまでおかしい噂があるという事は何かあるのでは? と。


「ここまでおかしな噂となると情報の撹乱を目的とした工作に思えるわね。セバスこのことについて徹底的に洗いなさい。」


「かしこまりました。では 」


ルディア・ゾディック、貴方は何者なの? もし、王国に仇なすのだとしたらこのわたくしが排除しますわ。


私はそう心に決意を決め自分の部屋に戻っていく。




でも、そう決意したのはいいけど全く出てこなかったのよね。 出てくるのはどれも首に幼女を2人くっつけていただけという意味のわからない物ばかり。

セバスも「姫様お気になさらず。」と慰めてくれたけど、かなり恥ずかしかったのは覚えている。



その時のことを思い出してまた顔が赤くなってきたの頭を振ることで冷ます。


「どうしたんだ? 姫様? 」


そんな私を見たラインハルトが私にそう聞いてくる。


「いいえ何でもありません。それよりラインハルト、貴方はこの試合どう見ますか? 」


「そうだな〜 ルディアが噂通りなら7:3でルディアの勝ちだが、実際のところ4:6でルディアの負けだろ。話している時のあいつから強さを感じなかった。」


そう予想するラインハルト。

確かにブレイド先生はこの学校で武闘派として有名な教師。

未だにセバスの情報がにわかに信じられない私もそう思う。セバスの情報はいつも正確だが、こればかりは自分の目で見ないとむりだ。


私はそんなことを考えていると、ブレイド先生がルディア様の後ろに回り込み首に剣を突きつけた。反応出来ていないように見える。


「これで終わりだな。 本当に魔族を倒したの な!? 傷が治っている! 」


そう首から少し出ていた血はピタリと止まり傷もなかったかのように元通りになっている。


あれはどんなスキルなの? あんなスキル聞いたことがないわ!

もしかして固有スキル‥‥


私がそれに戦慄していると、ルディア様が教室で見せていた笑顔とは系統が全く違う笑顔を浮かべる。 何て美しい笑顔だろう。 今まで見てきた笑顔は何処か作られているように感じたけどこれは心から笑っている。

あれがルディア様の本当の笑顔‥‥カッコいい。


私は頬が熱くなるのがわかり、急いで周りにばれない様に手で隠す。

その間にも、ルディア様は怪しく輝く魔剣を召喚し、 白金色に輝く聖具を纏った。


「な、なんて力だ。 空間が震えている。」


ラインハルトが何かを言っているが、私はルディア様に目を奪われそれどころではない。


ああ、カッコいい。 光と影を併せ持っていて、そのギャップもルディア様の魅力を引き立てていて‥‥。


暫く私がルディア様をぼーっと見つめていると、いつの間にか試合は終わってしまった。

結果から言えばルディア様の圧勝。 力の一端も見ることはできなかった。

でも、私にとってはルディア様の本当の笑顔を見れたことがとても嬉しい。


あ、ルディア様が戻って来るみたい。


スキルを解き此方に歩いて来るルディア様を見て私は迎える準備をするのだった。

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