許可する!
「坊っちゃま、王国騎士学校に行くそうですが大丈夫でしょうか? 」
アリアが心配そうに聞いてくる。 俺が貴族だらけの学校に行く事が心配らしい。
「大丈夫だと思うよ。 学園長からも許可貰ったしね。」
「何の許可でしょうか? 」
許可という言葉を聞いたアリアは何の許可かを聞いてくる。言ったら騒ぎそうなので適当に誤魔化そう。 アリアは変なところで常識的だからな。
「ニコッ 」
「ニコッっじゃありませんよ! 何の許可を貰ったんですか!? 」
チッ、だめだったか。ならこれはどうだ!
「ニヤリ 」
「笑い方変えてもダメですかね!? 」
な、何だと!? 俺のパーフェクトスマイルが効かないとは、やりおる。
仕方ない教えてやるか。
「いやいや、そんな大層なものじゃないよ。 粛正許可を貰っただけだから。」
「貴族をですか! 貴族をですよね! 」
俺が何てことないと手を振り言ったことにアリアは物凄い勢いで食いついてきた。いいじゃん、粛正許可くらい。
「ルディそれは私もいいの? 」
俺がアリアの反応にぶーたれているとアイリスがそう聞いてくる。そうだなアイリスも俺のメイドとしてあそこの学校に行くし絡まれた時に手を出せたほうがいいだろう。
「許可する! 」
「しません! 」
アリアが速攻で否定してきた。 驚くべき速さだ。
「でも、実際絡まれた時に手を出せる方がいいと思うけど。」
シナスのバカ共みたいにいきなり跪けとかトンチンカンなことを言ってきた奴にボディブローとかな。
「それはそうですけど‥‥。」
アリアもシナスの時に一緒にいたので俺と同じことを思ったのか眉間に皺を寄せ迷っている。仕方ないまあアリアとアイリスに手を出させたりはしないけど。
「まあアリアは僕が守るから安心してね。」
「ぼ、坊っちゃま‥‥。」
アリアが、俺の言葉に頬を染めると同時に走っていた馬車が止まった。
どうやら騎士学校に着いたようだ。
「あ、着いたようだよ。アリア、アイリス行こうか。」
俺はアリアとアイリスに声を掛け馬車を降りる。
「はい! 」
「ちょっと、坊っちゃまお待ちください。」
俺が馬車から降り、まず目に入ったのが明るい茶髪をした長身の男性だった。
誰だろうか?
「初めまして、君がルディア・ゾディック君で合っているかな? 」
俺がそんな事を考えながら見つめていると、そう尋ねられる。 俺の名前を知っていて確認してくるとは学校の関係者か。
「はい、僕がルディア・ゾディックです。貴方は? 」
「私は1ヶ月間ルディア君が入る1-1の担任グスタフ・バーミリオンです短い間だけど宜しく。」
なるほど、担任か。 アホ貴族見たいな人じゃなくてよかった。
安堵した俺は姿勢正しくお辞儀する。
「こちらこそよろしくお願いします。」
俺のお辞儀を見たグスタフさんは何故か驚いているみたいだ。 もしかしてあのクソジジイ余計なこと言ったんじゃないだろうな?
「じゃあ早速、1-1に案内します。 ついて来てください。」
そう言ってグスタフさんは歩いていく。しかし広い学校だ。 シナスほどとはいかないが在籍しているだろう生徒の数から考えたら相当だな。
金が掛かってらっしゃる、床なんて大理石だし。
俺達がコツコツと歩いていると、グスタフさんが話しかけてきた。
「この学校は貴族の子弟のみが通っている学校ですので使用人の同伴は2名まで認められています。その使用人は各授業時教室の後ろに控えることとなっていますのでそちらのメイド達もその通りにお願いします。」
へー2人まで連れて行けることは知っていたけど後ろに控えるんだ。 てっきり待機室みたいな所で待っているのかと思った。
俺がそんな事を思っていると、上に1-1と書かれたプレートが吊り下げられた教室で立ち止まった。ここが、1ヶ月俺が過ごす教室か。 緊張するな。
「先に私が入るので合図したら入って来てください。」
先にグスタフさんがドアを開き中に入っていった。
中からザワザワとした声が聞こえてくるが恐らく、漫画で見たような展開が繰り広げられているのだろう。俺がどう挨拶するか考えていると中からグスタフさんの声が聞こえてきた。
さあ、最初が肝心だ。 気張っていこう。
気を引き締め俺はドアを開けたのだった。
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