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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
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ポークチャップにしてやろうか!


「グァァァァ! 」


空中に浮かべた盗賊は体に細長い槍を8本程生やして絶叫をあげる。


「ホラホラ! まだ100本も残っているんだよ!? たった8本で音を上げていたら持たないからね! 」


俺はそれに対して背後に盗賊の体に刺さっているのと同じ槍を100本浮かせたままあざ笑うように話しかける。


「やめてくれ! 頼む! 頼むからぁ! 」


盗賊は身体中から血を流し、顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら懇願してくるが俺はそれに対して体を抱え引くわ〜、といった顔で返す。


「ふ〜ん 意外とマゾなんだね。 手加減をやめてくれなんて言うなんて。」


「ち、違う! 」


俺の言葉を聞いて必死で盗賊は否定してくるが俺は取り合わないで、おちゃらける様に腕を広げる。


「でも安心して。 僕は一流のエンターテイナー、どんなご要望にもお答えしましょう!

ほら纏めて100本、もってけ泥棒! 」


指をパチンと鳴らし100本の槍を纏めて盗賊に向かって飛ばす。


「アギャァァァ!! 」


全ての槍は盗賊の体に余すとこなく突き刺さり盗賊をハリネズミにした。無様だ。


「ふぅ、嬉しくて死んじゃったみたいだよ。 自分の事を棚に上げて助命するなんて恥知らずにも程がある。 糞虫が。」


この盗賊はどうも拷問趣味があった様で、痛めつけられた女性の死体がかなりあった。 そんな奴が助けてくれなんて笑わせる。


「坊っちゃま終わりましたか? 」


「ルディ終わった? 」


俺がハリネズミになった男をゴミを見る様な眼差しで見ているとアリアとアイリスが話しかけてきた。アリアはなぜかこういった光景を見てもニコニコとしているのだ。 何故だろうか?


そしてアイリスはやっと離れてくれた。 盗賊の隠れ家に向かっている時にアリアが「ところで坊っちゃま、其方の方は? 」と聞いてきた時にアリアが俺のメイドと気づいた様で興味がアリアに向いた様だ。今では、アリアからメイドとはなんたるかを学んでいるらしい。


良かった、良かったあのままだったらずっと張り付かれているところだったからな。 アリアには感謝だ。


「うん。 これで全部。 エイバに帰ろうか。」


そう、これで盗賊の隠れ家は3つ目。 2つ目はかなり大きな隠れ家で捕まっていた人もそこに住んでいた盗賊達も桁が違った。 勿論全員助け出して、盗賊は皆殺しにしたが。

しかし、ヴィクティムの新たな情報は得られなかった。 皆が皆ジャックは教育係ということしか知らないのだ。 徹底している。


「「はい! 」」


またもや天井に大穴を開け、俺達は上空に待機させている助け出した人たちのもとに向かう。


「皆さんこれから、エイバに帰ります! 帰ってゆっくりと休むといいでしょう。 もう貴方達を脅かす輩共は居なくなりました! 」


助け出した人たちのもとに到着した俺は両腕を大きく広げ芝居掛かった口調で語りかけた。

これも、ルディア教布教のため。 恥ずかしいが我慢しよう。


「「「有難うございます! ルディア様〜! 」」」


俺の言葉を聞いた助け出した人たちが歓声を上げる。

どうやら成功した様だ。


「では帰りましょう。エイバに。」


そう言って俺は、大勢の人を引き連れエイバに飛んで戻って行ったのだった。



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



「お主、ド派手にやったのう。」


大勢の人を連れエイバに降り立った俺を学園長と豪華な服をきたブクブクと太った豚の様な男が多くの兵士を引き連れて出迎えた。

しかし、先程から豚が俺を睨みつけている。


「学園長、これは小耳に挟んだ体調が良くなるという民間療法を実行した結果です。」


俺がしれっと答えた言葉に学園長は目を細め笑った。


「ホッホッホ、そうじゃったか。 して体調は良くなったかのう? 」


「はい、気分爽快です。この街の空気が良くなったかの様に錯覚してしまうほど、ね。

どうでしょう? 学園長も実践してみては? 」


「お前、ふざけているのか! これは暴動だ! 不敬罪だ! 反逆罪だ! 」


俺がニヤリと、学園長に返していると突然豚がブウブウと乱入してきた。

こいつ誰だろうか?


「まあまあ、ピッグトン卿。 皆の話を聞く限り、ルディアは盗賊を討伐して、しかも攫われた人達を助け出したそうではないか。 いささか、行動が派手だとしても咎められることではないと儂は思うがのう。」


そう学園長は豚、ピッグトン卿を宥める。だがピッグトン卿は興奮しているようで止まらない。


「そうは言われましても、此奴は何やら怪しい宗教を広めている様子。 それだけでも反逆罪は妥当だと思いますが!? 」


「おかしいのう。 王国法では宗教の布教は自由とあった筈じゃが? 」


それを聞いた学園長は顎に手を当てそう返した。


「それは過激派を除く、です! ルディア教なるものはルディア・ゾディックが危機に瀕した際助けよと説いているそうではないですか! これは解釈の次第によってはいかようにも取れる! 」


「ふむ、それはどの宗教でも説いていることではないかのう? 神の教えに従えとかのう。」


どうやらピッグトン卿は学園長に論破されたようで俯き顎の肉をプルプルと震わせている。


「そ、それは‥‥ええい! 領主権限で学園長とそこのガキを捉えることを命ずる! 者共やれ! 」


ズゥゥゥゥゥン!!


ピッグトン卿が俺と学園長を指差してふざけた事を警備兵達に命令したので俺はピッグトン卿のみに重力をかけ這い蹲らせる。警備兵の人達は突然豚がは這いつくばったので困惑顔だ。


黙って聞いていれば好き勝手言いやがってこのまま押し潰してポークチャップにしてやろうか。それにしてもこいつ領主だったんだな。


「これはこのまま押し潰していいので? 」


俺は一応確認する。 領主ということは貴族だ。 盗賊達にしていたみたいに好き勝手はできないだろう。


「いや、動けないようにするだけでよい。 ピッグトン卿、お主何故そこまでルディアを拘束しようとするのじゃ? 儂達が国王陛下のご命令で動いていることをお主は分かっておるじゃろう。 これを妨げることが陛下の意思に背くことである事もの。」


「‥‥。」


学園長が屈み込み豚に問いかけるが豚は這いつくばったまま答えようとしない。


「言えぬようじゃのう。 仕方ない、お主は国王陛下に対する不敬罪として爵位の剥奪する。警備兵、此奴を拷問にかけよ。 何やら隠しているようじゃから吐くまで徹底的にのう。」


「な!? 」


豚が驚きの声を上げる。だが声には出していないが驚いているのは俺も同じだ。


驚いた、そんなすぐに爵位って剥奪出来るのか? それとも学園長が、それ程の権限を持っているのか?


「「は! 」」


「は、離せ! 私は領主だぞ! 汚い手で触れるな! 」


学園長の命令を受けた警備兵達は、暴れる豚を引きずり連れて行く。ものすごい滑稽だ。 とても面白いものを見せてもらった。しかし、トントン拍子で進んだな。 もしや、このジジイ初めからこうなる事を読んでやがったな。


俺はもしやと思い学園長の顔を見てみるがどうやらその通りらしい。

口元が笑っている。


やっぱり食えないジジイだ。

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