可愛がらないでください前編
バトル行けなかった(泣)
今日の俺たちの予定は、午前座学、午後訓練だ。訓練は、ラインハルトさんが担当するらしいが、午前は別の仕事があるらしく別の人が担当するらしい。そして、座学をやる場所で待っているが、全然先生が来ない。
「ここ来てから1時間くらい経ってるのに来ないんですけどぉぉぉぉぉぉ!!」
「まったく教師の風上にもおけないぜ。教師をなんだと思ってんだ?」
貴方にだけは言われたくないと思います。
「グガァァォァァ、ズォォォォォ、グガァァォァァ、ズォォォォォ」
白眼を剥きながら怪物の雄叫びの様ないびきをかく正義。こいつは、5分で船をこぎ始め、10分でこの状態になった。もし通りすがりの人が見たら、あまりの恐怖に気絶するだろう。
ガチャ
漸くきたか、そう思いドアの方を見ると寝癖ボサボサで中学生くらいの見た目をしたちみっこい女の子が入ってきた。
「朝家を出たら、通りすぎのお婆ちゃんが倒れましてここで見捨てるのは人としてどうかと思い教会に連れていったらお礼をしたいと言われ断ることができず、結局家にお邪魔させてもらっていたら遅れました。言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、これは真実です。」
入ってきた途端、捲し立てるように言う。
……嘘くせ~~
そんな寝癖ボサボサで、目やにがついてる目で言われても全く説得力がない。
指摘したらめんどくさいことになりそうなので黙っとく。
「そこの貴方、いま嘘臭いと思いませんでしたか?」
おっふ、バレテーラ。
「こんな純真無垢で天使な私を信じないなんて、信じられない!そんな人間滅べばいいのです!」
いいんですか?貴方以外の人類滅びますよ?魔族が狂喜狂乱しますよ?
「信じてます、信じてますからホント。」
「嘘ですね、まあいいです。私が座学の担当をする筆頭宮廷魔導師フラン・ルグルスです。宜しくお願いします。」
こんなチミッコが筆頭宮廷魔導師かよ。ロリババアというやつだろうか?
「失礼ですね!私はピチピチの160歳ですよ!」
ババアじゃん。
「もういいです。時間ないので、授業始めます。」
お前が言うなよ!!
「まず、『職業』と『スキル』について説明します。『職業』とはその人の才能を表したものです。この『職業』によっては能力値の上昇率が10倍は違います。ちなみに『職業』には、普通職、上位職、最上位職があり理論上、努力次第では最上位職まで取れると言われています。まあ、理論上なのでほとんどの人は生まれたままの『職業』で一生を終えます。『スキル』は、出来ることを示しているだけですので、『スキル』があるから出来るではなく、出来るからスキルがあるということになります。『スキル』のlvは、1~2は素人、2~4は普通、5~7は達人、7~8は人外、9~極は神です。」
どうやら俺の妄想は、神の領域に達しているらしい。全然、まったく、これっぽっちも嬉しくない。妄想が神とか悲しすぎる。それに歩くが素人ってなに?16年間たゆまぬ努力を重ねてきた俺の人生はなんだったんだ。
もういいやふて寝しよ。俺は学生生活で磨いてきた居眠りスキルを駆使して眠りについた。
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教室のざわめきに、龍太は意識が覚醒していくのを感じた。居眠りのプロを自称してるだけあって起きるべきタイミングは体が覚えている。その感覚から言えば、まだ昼休憩に入ってからそう時間たっていないはずだ。
んっ、と背伸びをする。クラスメイト達はもう昼御飯を食べに行ったらしい。
「グガァァォァァ、ズォォォォォ、グガァァォァァ、ズォォォォォ」
まだ爆睡している正義をたたき起こす。
「おい、もう昼だぞ。起きろ」
目をグリンと回し目を覚ます。怖い、怖いよ正義さん。
「んぁ~、まだ先生来てないのか?おせーないっちょ叱ってやるか!」
「いや、来たから。お前が、寝てただけだから。」
最近正義のアホ化が進んでる。農民の5分の1の智力が原因だろうか?
「飯いくぞ、飯。」
「肉がいいな肉!肉肉肉肉肉肉肉」
鬼の形相で肉肉言うから、すれ違ったメイドさんとかが悲鳴を上げている。
「変な呪文唱えないでくれ。頭いたくなる。」
広間に到着した俺たちは、皿に料理を盛席につく。この城でのご飯は、いつもビュッフェ式なので早くしないと野菜しかのこらなくなってしまうので注意しないといけない。
おれが皿に盛ったのは、謎の肉ステーキだ。湯気が立ち上ぼり香ばしい匂いが食欲を掻き立てる。辛抱たまらんと、肉を切り分けかぶりつく。口の中にいれた瞬間とろけるこの感覚、とても癖になる。朝食のときに分かったが異世界食事情は、思ったより良かったらしい。ただ訳のわからん色をしたべ物が出てくることがあるので油断ならない。朝なんて、オレンジジュースみたいなノリで
「ゲナジーいりますか?」
と濃紫色をしたゴポゴポと泡立っている飲み物渡された時は思わず絶叫してしまった。因みにこのゲナジー、ラズベリーの味がして飲むと体から力が沸いてくるらしい。今では先生の愛用ドリンクになっている。
一通り満足したところで今度は、訓練所に向かう。正直訓練なんかしたくない。俺にもチート、いやせめて、兵士並みのステータスがあればもっとやる気がでただろう。へっぽこステータスの俺が何をやったってたかが知れてる。これで、やる気に燃えてたら相当のマゾだ。足を引きずるようにして訓練に向かう。あー憂鬱だ。
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訓練所に着いた俺達をラインハルトさんが地面に剣をさしながら仁王立ちをして待っていた。
「遅いぞ貴様ら!キビキビ歩け!ウスノロどもが!!」
……ラインハルトさん?貴方そんなキャラでしたっけ?
後ろにゴゴゴゴゴってエフェクトでてますよ。
「ラ、ラインハルトさん?どうしたんですか?」
「貴様教官に向かってその態度はなんだ!?歯を食いしばれ!」
そういった瞬間ラインハルトさんが消えた。どこだ?と思ったらすでに、殴り飛ばされていた。地面に2、3度バウンドしてようやくとまった。早すぎるだろ!10メートルは距離があったんだぞ!
「貴様らいいか!これからは、私のことは教官と呼べ!はいは、サーイエッサー、いいえもサーイエッサーだいいな!」
「「「サ、サーイエッサー!」」」
「声が小さい!、蚊のほうがよくなくぞ!」
「「「サーイエッサー!!」」」
「よし、ましになったな。これより訓練を開始する!貴様らは無駄にステータスが高いから可愛がってやる!喜べ!」
「「「サーイエッサー!!」」」
ちょっと待て、俺ステータスバリ低いんですけど。可愛がらなくていいです。むしろ捨ててください。
「まずは、準備運動に100周走ってこい!」
「「「サーイエッサー!!」」」
我先に走り出す、2-A諸君。イヤァァァァァ、モンスターと戦う前に死ぬぅぅぅぅ!!!