目覚め
「ん? ふぁ〜 ここはどこだ? 」
目を覚ました俺は布団をどかし辺りを見回す。
広い部屋に1つだけ置かれたベットに上品な白いカーテン。
花瓶に生けられたみずみずしい花。
ここは病室だろうか? 確か俺は魔族の男を倒して気を失ったはずだ。誰か俺を運んだのか? クロエはあの腕で俺を運ぶことなんて不可能だし。
俺は疑問が次々と浮かんできて頭が痛くなったところで、レヴィの声が聞こえてきた。
(やっと起きたのね。 もう3日よ3日。)
ああ、というか俺は3日も眠っていたのか。
(そうよ。 魂喰で急激に進化させられた反動ね。)
はぁ〜、強くしてくれるのはありがたいんだけど時と場所を選んでほしいな。
進化してる時にブサリなんて笑えないぞ。
(それは仕方ないわよ。 そういうスキルなんだから。まあ、それは置いといて進化でかなりステータスが上がっていると思うわ。 見て御覧なさい。 )
ああそうだった。 アレだけの痛みでちょっとしか上がってなかったら泣くかもしれない。
「【ステータスオープン】 」
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名前 ルディア・ゾディック 暦年《817》
年齢 7
職業 魔剣王、勇者
lv.1
[体力] 76400
[魔力] 370000
[智力] 45700
[攻撃力] 45700
[防御力] 37800
[耐久力] 37800
[俊敏性]37800
スキル 魔剣召喚 〈lv.-〉 聖具召喚〈lv.-〉 魂喰〈lv.-〉 観測眼〈lv.-〉 以心伝心〈lv.-〉
重力操作〈lv.-〉 聖気〈lv.-〉魔力操作〈lv.極〉身体強化〈lv.極〉 危険察知〈lv.極〉剣術〈lv.極〉 体術〈lv.極〉
称号 最恐最悪の魔剣の契約者 魂を喰らう者 魔剣王 超人類
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‥‥‥能力値の桁がぶっ壊れてるぞレヴィ。
それにlvが1に戻っているんですけど。これが進化の効果なのか? 凄すぎだろ。
しかもまた魂が溜まれば進化出来るんだろ? 無限に強くなれるじゃないか。
(そうみたいね、しかも貴方と同化している私の性能まで上がってるわ。)
そうなのか、かなり凄いな魂喰。 疑ったことを謝りたいくらいだ。
そう言えば新しい固有スキルがしれっとあったな。
見てみよう。
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聖気〈lv.-〉
聖なる気を身に纏い自らの傷を癒すことができる。魔力が続く限り死ぬ事はない。
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アハハ、俺の魔力の量なら不死身じゃないか。
どんどんぶっ壊れてくぞ、俺のステータス。
これで魂喰の進化している時動けないという弱点も消えるし、重力操作も完璧になった。
もう俺に敵はないと拳をギュッと握りしめる。
俺がそんな事をしていると、病室のドアの向こう側から聞き知った声が聞こえてきた。
「坊っちゃまはまだお目覚めになられておりません。 医師によるとじきに目を覚ますとのことですが、もう3日も‥‥。」
アリアの声だ。誰かと話しているのだろうか?
「ルディ‥‥グスグス 」
「大丈夫よヴィオラ。 ルディは強くてカッコイイ王子様っていつも言ってたじゃない。 なら大丈夫だよ。 」
「そうだよ。 すぐに目が醒めるって。 」
「今は泣いちゃダメですよ、ヴィオラちゃん。 ルディア君が起きた時にいっぱい泣くんです。」
ヴィオラちゃんと仲良し3人組か。 お見舞いに来てくれたんだな。
ヴィオラちゃんは存分に泣かせてやるとしよう。
「大丈夫、大丈夫。 ルディは大丈夫。 」
「そんなに大丈夫連呼して不安なの? まだまだね。 」
「煩いわね! 心配なのよ! 」
クロエとエルザちゃんの声まで聞こえてきた。かなりの人が来ているようだ。
しかし、クロエとエルザちゃんはここでも険悪とは‥‥。
「お兄ちゃん、うぇぇぇん! 」
「大丈夫だよリザ。お、お兄ちゃんがルディが目覚めるのを保証する。」
アハハハ、フォーカス兄妹か。何となくどんな状況か想像できるぞ。
リザが、グレイに抱きついて泣いているのをグレイが微妙な顔をして慰めているんだろうな。
それにしてもみんな無事でよかった。俺は守れたんだな。
俺がホッと胸を撫で下ろしていると、コツコツと複数の足音が近寄ってきた。
そろそろ着く頃だな。
手を振って出迎えてやろう。
「皆さん入りますよ。 くれぐれもお静かに。」
アリアがそう言ってガチャっとドアを開ける。
「やあ、心配かけたね。 今、目が覚めたよ。」
「‥‥‥。」
カチンとドアノブを握ったまま固まり動かないアリア。
「ねえどうしたのアリア? 固まったりして‥‥」
アリアが動かない事を不審に思ったクロエがドアから覗き込んでくる。
そしてクロエも固まり、少し経ってアリアと同時に叫び俺に駆け寄ってきた。
「「ルディ! 」」
今初めて知ったがアリアは驚くと俺の事をルディと呼ぶらしい。
アリアとクロエの声を聞いてまだ俺が起きている事に気づいていなかったみんなもドタドタと入ってくる。
「ルディが起きたの!? 」
「ルディくん! 」
「ふぇぇぇん! ルディ〜 」
「みんなおはよう。 心配かけたね、僕はこの通り無事だよ。そしてみんなが無事でよかった。」
「「「「「ルディ(くん)!! 」」」」」
俺が手を広げ笑顔で言うとみんなに泣きつかれてしまった。
涙で服がぐしょぐしょだが、これはどれだけ心配してくれていたかの証でもあるので不快感はない。
俺はみんなの泣き声を聞きながら、ちゃんと守れたという事実がただ嬉しく自然と笑みがこぼれるのだった。
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