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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
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我に力を後編

「じゃあいくぞ。【ステータスオープン】」


声と共に、現れる俺のステータス。先程までガヤガヤ騒がしかった謁見の間が静寂で満ちる。その一時の静寂は、石化から解けたクラスメイト達の驚愕の声に破られる。


「「「なんじゃこりゃ~~!!」」」


「嘘だろ!」


「マジかよ!」


ひとりきり驚愕をしたところで、落ち着いてきたのか俺に嘲笑、哀れみを向けてくる奴が出始めた。


「ね、ねえ彩月。このステータスは、本物なの?」


青山が、あまり数値の低さに疑惑の声を向けてくる。その声の中には、そうであってほしくないという希望の色が見え隠れしていた。


それはそうだ。農民の平均的な数値に全て値1を足しただけのステータス、なめ腐っている職業、あってもまるで意味を成さないスキル、このどれをとっても勇者として召喚された者のステータスでは考えられないものだ。恐らく農民でも、これほどふざけたステータスはないのでは?と思うくらいである。


改めて自分のヘッポコなステータスを、考えてゲンナリする龍太。もはやある意味勇者だと現実逃避した。


「ああ、そうだよ。この能力値も、スキルも、職業も全部本当ですよ。だから見せたくなかったんだよ。」


「ま、まあ気にするなよ、龍太。まだこれからじゃないか。レベル上がったら化けるかもしれないぞ?」


肩に手を起き慰めの言葉を言う正義。だが目をそらしながら言うため、全く説得力がない。


「正義の言うとおりだぜ?今のステータスなんか重要じゃねーよ。一番重要なのはこいつだ。」


そう言って拳を握り、突き出してくる。意味が全くわかりませんよ先生。俺は、先生がなんで必滅の拳なんて凶悪な名前のスキルを持ったか分かる気がした。


「そうだよ!妄想<lv.極>凄いよ!いいなー私もね!時々いろんな事妄想するんだけど、あんまりうまく想像できないんだ~」


ほんとにこのゴミスキルが凄いと思ってるらしく、目をキラキラさせ見てくる。山田さんは純粋だなと、荒んだ心が癒されていく。


「くくく、彩月くんらしくていいじゃないか。僕はいいと思うな。皆もそう思わないかい?」


目に浮かんだ涙を指ではらいながら、そんなことを言う光輝。どうやら光輝の中の俺は、勇者(笑)らしい。


「そうだよな。龍太ら・し・いよな。」


「ププ」


笑いをこらえながら答えたのは、たしかクラスで常にマンガとかアニメの話をしていた蛭田徹、高木謙治だ。俺のステータスがツボに嵌まったのかまた吹き出してる。チッ! やっぱり笑い者にされてるぞ。


「ん、んっ! 彩月龍太様、確認終りました。お次の方どうぞ。」


ずっとプップ、プップ笑っている蛭田と高木にピシャリと言う。ほらそんなことしてるから言われるんだばーか。


………………………………………………………………………………………………


俺の衝撃のステータス発表よりしばらくして、漸く全員のステータスの確認が取れた。蛭田と高木のステータスはなんと言うか、普通だった。確かに一般的に見たら高いのかもしれないが、なんと言うか特徴がない。それでも俺よりは高いのでさっきからどや顔を維持してこっちを見てくる。地味に同じ表情を維持しているのが凄い。顔筋を自慢したいのだろうか?


そんな高木、蛭田のどや顔も光輝と山田さんのステータスを見て一時崩れていた。そう、それほどまでにすごかったのだ。


これが、光輝と山田さんのステータスである。


………………………………………………………………………………………………



名前 比嘉光輝        暦年《826》


年齢 17


職業 勇者


lv.1


[体力]2000

[魔力]1500

[智力]700

[攻撃力]700

[防御力]600

[耐久力]600

[俊敏性]800


スキル 勇者の威光<lv.-> 聖剣召喚<lv.->     覇道<lv.-> 全属性適正<lv.極>       魔力操作<lv.9> 剣術<lv.極> 

    体術<lv. 極> 隠蔽<lv.7> 


称号 勇者 世界を照らす光 召喚されし者


………………………………………………………………………………………………


………………………………………………………………………………………………



名前 山田愛理 暦年《826》


年齢 16


職業 聖女


Lv.1


[体力]1000

[魔力]3000

[智力]1500

[攻撃力]150

[防御力]150

[耐久力]150

[俊敏性]150


スキル 聖女の癒し<lv.-> 癒しの波動<lv.->

聖属性適正<lv.極> 魔力操作<lv.極>


称号 聖女 召喚されし者


………………………………………………………………………………………………


チートの権化である。2-Aのほぼ全員は、何かしらのチートを持っていたが、この二人は別格だ。光輝は、ほとんどの数値が、クラスのトップに位置してるし、スキルは極、と固有スキルのオンパレード。これが本家の勇者だとまざまざとみせつけられた。どこぞの勇者(笑)とは大違いだ。


山田さんは、回復に関係するだろうスキル、魔力以外は一般的な兵士より少し強いくらいだが回復に徹していればこれほど心強いものはないだろう。ほんとになんで俺だけこんなんなんだろう?ステータスつけた奴、神様だろうか?チートばっかつけすぎて飽きたのか?そして俺ではっちゃけると……


ありそうなことが怖い。そんなことを考えていると


「終わったようだな。今日はなにかとあって疲れただろう、晩餐会を開く用意をするのでそれまで案内する部屋寛いでいてくれ。おい!」


王様に呼ばれて、立派な髭を生やし執事服をきたダンディーなおじ様が王様の後ろからてきた。さっきまで、いなかったのに何処にいたのだろうか?執事の嗜みという奴だろうか?


「はい。何でございましょうか?陛下。」


「勇者達を案内してくれ。」


左手を右胸に当て、右手を後ろにまわし深く腰を折る執事。


「畏まりました。では皆さん此方へ。」


スタスタと姿勢良く、謁見の間の右手にある扉からでていく。それに続くクラスメイト達を眺めながら、今日起こった事を振り替える。いつも通り学校いって、召喚されて、ゴミステータスに驚いて、ほんとに今日は色々あった。はぁ~最初は、この世界ヘルモードと思っていたけどこれが本当のヘルモードか……。俺生きていけるのか?


「おい!龍太。さっさと来い!置いてくぞ!」


「へいへい。いまいきますよ。」


まあこれからだ。とりあえず今は、夕食まで休もう。


こうして彩月龍太のヘルモード異世界生活が幕を開けた。

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