レッツファイト
入学式を終えた俺たちは今、女子と男子にわかれ寮を案内されている。
「新入生達、ここがお前達のこれから9年間過ごすことになる寮だ。Aクラスは相部屋で、Sクラスは1人部屋となる。また新設されたZクラスは隣の一軒家だ。 」
そう言って指差された一軒家を見てみると、まず頭に浮かぶのは別荘だ。
元の世界のお金持ち達が持っていそうな感じだ。
俺とアリアで住むとしても有り余る大きさだろう。
「寮への入り方だがこの生徒手帳をこう翳すことで入ることが出来る。この技術は詳しくは言えないが、セキリュティで言えば鉄壁と言えるので安心してくれ。」
寮のドアに先程渡されたプラスチックみたいなもので出来た生徒手帳を翳すとカチッとなり空いた。
なんてハイテク技術なんだ。
俺がそんなこと考えているとグレイに肩を叩かれる。
「ルディの部屋、というより家だな。 後で遊びに行ってもいい? 」
「いいよ、俺とアリアだけじゃ少し寂しいしね。」
「そうだった、お前メイドいるんだった。 うらやましいぞ、掃除しなくていいなんて。 」
そこかよ。と思ったがこのくらいの年頃ならそうかと納得する。
「そんなことないよ。 でもなにする? 」
「そうだね〜、あ! そうだ他の人も呼んでまくら投げやろう、親睦会も兼ねて。」
まくら投げか、修学旅行でやった以来だな。
腕がなる。
「いいね、僕の家なら全員呼んでも大丈夫そうだしね。 」
「よし早速これが終わったら呼びかけてみようか。」
「オーケー。」
「‥‥‥‥これで説明は終わりだ。 何か質問は、ないな。最後に言うがはしゃぎ過ぎないように。解散! 」
俺とグレイと話しているうちに説明は終わったようだ。
ゾロゾロと各自の部屋に帰ろうとしているところに呼びかける。
「おーい皆んな! これから親睦会を兼ねて枕投げをルディの家でやろうと思うんだけどやる人! 」
それを聞いた男子諸君は目を輝かせた。
「へ〜、枕投げか。 豪腕と呼ばれた俺に勝てるかな? 」
「枕投げはインファイトを制した者は試合を制すると言われているスポーツ。 ふむ面白い。」
「フッ! フッ! 残像のタッチを捉えられるかな!? 」
かなり乗り気らしい。
皆んな各々の特技や枕投げの自論を披露しあっている。
‥‥というよりなんでこんな生き生きとし始めたんだ? この世界の男子は枕投げ大好きなのか?
「よし! 皆んな参加だな! 各自枕を持って夜、ルディの家に集合! 」
「「「おー!! 」」
こうして、枕投げ大会が開催される事となった。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
枕投げ大会の開催が決定してから家に入り夜まで寛いでいるとドアがノックされた。
「坊っちゃま、みなさん来ましたよ。」
「入れていいよ。 」
俺はアリアにそう言って、今手に持っているカップに入っている紅茶を飲み干し、キッチンに運ぶ。
俺がリビングに戻ると闘気を滾らせた男子諸君がいた。
見た目からも本気具合が伝わってくる。
なんていうかこう、一人一人が枕投げの達人の様な面構えになってるのだ。
これは危なそうだと、気を引き締め枕を握りなおす。
「皆んな枕投げのルールを確認するぞ。 スキルの使用は可、だが家の物を壊さない様に。
まあそんな素人はいないだろうが。」
グレイが首を振り小馬鹿にする様に言うと男子諸君は鼻で笑う。
‥‥なんなの君たち。 どんだけ枕投げやってきたの?
それにグレイお前そんな口調じゃないだろ。
「自分以外を気絶させ最後まで立っていた、ただ1人が勝者だ。 開始の合図はこのコインが地面に落ちた瞬間から開始とする。いくぞ? 」
そう言ってポケットから取り出したコインを指で弾いた。
コインが宙に舞い地面に落ちた。
それと同時に俺に2人襲いかかってくる。
俺は顔と足を前後から挟み込む様に迫ってきた枕を顔の方は枕で防ぎ、足の方は飛び跳ね避ける。
「「な!? 」」
刹那の間に繰り広げられた攻防を終え着地した。
相手の方は避けられると思ってなかったのか驚愕している。
「「我ら枕兄弟の攻撃を避けるとはさすがZクラスだな。」」
「なめるなよ? これでもゼログラヴィティのルディと呼ばれているんだ。このくらい造作もない。」
一切呼ばれたことない2つ名を髪を掻き上げ言うルディ。
皆んな何かしら2つ名があることに急遽自分で付けたのだ。
「ゼログラヴィティの真髄を味わうがいい。」
腕をした斜め45度まで広げ空中に浮かび上がる。
「いくぞ。」
そう言って枕兄弟の後ろに回りこむ。
「「早い!! 」」
「君たちは遅いね! 」
枕を上段から振り下ろす。がお互いの枕をクロスした枕兄弟に防がれてしまった。
「「なんてな。 我らのコンビネーションの前に個人技など無意味よ! 」」
そう言ってルディを弾き飛ばし右左右左と交互に枕を打ち付けてくる。
それを持ち前の機動力でなんとか避けているが当たるのは時間の問題だろう。
「「止めだー!! 」」
枕兄弟が枕を振り上げたところ見てニヤリと笑うルディ。
「君たちがね。」
するとルディが搔き消える。
再び現れたのは枕を振り抜いた体勢だった。
ルディが現れたと同時に枕兄弟が倒れ込む。気絶した様だ。
「最後気を抜いたのが仇となったね。 しかし、初っ端からコレだと!? 」
ルディが言い切る前に枕が飛んできた。
それをなんとか体ををのけ反らせることで避ける。
あ、危なかった。しかし何処から?
辺りを見回すがそれらしき人物はいない。
「無駄だよ、僕はスナイパーと呼ばれているんだ。 見つけることは不可能。 」
声が部屋に響いて何処にいるか特定できない。
しかしとルディは言う。
「その通りだ。でも、もう枕はないだろう。 はじめに当てなかった時点でお前の負けだ。」
それを聞いたスナイパーはルディをあざ笑う。
「ハハハハ! もしかして枕は1つだと思っているのかい? 」
「ま、まさか!? 」
「そう、誰が枕は1つなんて決めたのかな? さあさあ! 踊れ! 」
四方八方から枕が飛んでくる。
顔面に来た枕をはたき落とし、後ろから来た枕を回転して避ける。
クソ! キリがない。
居場所さえわかれば‥‥。
「解析完了。 ルディくん左斜め前に投げて! 」
いきなり聞こえてきた言葉に従い枕を投げるとグハッと言う悲鳴が聞こえた。
「あ、たった。 何者だ!? 」
俺が呼びかけると背後からメガネをかけた子が近づいてくる。
「私はジャストアンサー。 スナイパーは厄介だったので協力させて、グヘ! 」
その子を上から降ってきた影が襲った。
「俺はアサシン。 姿を見られたからにはグッ! 」
俺に向け構えたアサシンが飛んできた枕を受け吹っ飛んでしまった。
な、なんて激しい戦いなんだ‥‥。
これは枕投げであって枕投げではない。命を削る戦いだ。
改めて気を引き締め直し俺は激戦の真っ只中に突撃していく。
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「はあはあ、やっぱり最後までお前が残ったな。」
そうグレイは言う。
「俺はお前が残るなんて思わなかったぞ。」
「言ってくれる、な! 」
隙をつき枕をぶつけてくるのを後ろに飛んで避ける。
油断も隙もない。
「おっとと、危ないな。」
「そこまで余裕とは、化け物か!? 」
「そろそろ限界だろ。次で決めてやる。」
俺はそう言って枕を構える。
「抜かせ! 」
グレイも次で決めるようだ。
「ウオオオオ!!」
「ガアアア!!」
俺とグレイの枕がお互いを打ち付けようよしたところでドアがバタン! と開かれ、厳ついおっさんが入ってきた。
「お前ら! 何やってる、とっくに消灯時間は過ぎてるんだぞ! 」
「「‥‥あ。」」
どうやら俺達は枕投げに夢中になって時間を忘れてしまったらしい。
「早く自分の部屋に戻れ! ったく入学早々面倒起こしやがって。」
こうして先生の乱入という閉まらない結末で枕投げ大会は幕を閉じたのだった。
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