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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
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フェイクプリンス

講堂に入った俺たちは近くに空いていた席に座る。

結構広いな〜と視線を巡らせていると、前の座席に座っていたエメラルドグリーン色の髪をした子達が振り向いた。

見覚えのある顔だ。


「ねえ君、ルディア・ゾディックだよね。 僕はグレイ・フォーカス宜しく。 こっちは‥‥。」


「リザ・フォーカスです。 」


「僕たち双子なんだ。」


「双子です。」


そう自己紹介をされるが俺はマジマジと顔を見続ける。

何処かで‥‥。


「あ! ゲースィの時の双子! 」


そうだった、そうだった。 ゲースィの時の双子だ。

ふースッキリした。

喉に引っかかる感じで気持ち悪かったんだ。


「ああ、ごめんごめん。 僕がルディア・ゾディックだよ。 宜しくね。」


「へ〜あの時いたんだ! 面白かったよね! ゲースィの真の意味は希望、光、正道っていう意味だって父さんが言ってたんだぞ!って思わず笑っちゃったよ。」


その時の次期当主君のモノマネをして言うグレイ。


「アハハハハハ!! 上手い、上手い。」


俺が笑ったのを見て双子は目を丸くした。


「噂と違うなリザ。 」


「うん、もっと怖いって言ってたよねお兄ちゃん。」


どうやらその噂をまに受けたらしい。

一応どんな噂か聞いてみる。


「なあグレイ、リザその噂ってどんなのだ? 」


「破壊趣味のある狂人とか、7歳にしてハーレムを築きつつあるハーレム野郎とか、かな。」


あ、あながち間違ってないぞ。

全て思い当たる節がある。


「身から出た錆ね。 自業自得だわ。」


そう言いてソッポを向くクロエ。


「ルディのエッチ。 」


なにを持ってそんな結論に、達したのか分からないことを言うエルザちゃん。


「‥‥‥‥。」


アリアはただ微笑んでいるだけだ。


「どうやらハーレムの方は本当のようだね。 リザも気をつけろよ? 」


「‥‥ポッ」


グレイに冗談混じりで言わたリザは視線をそらし、頬を染めた。


「え、嘘!? リザ!? いつなんだ、いつやられたんだ! 」


「さっき笑ってる時の顔がカッコよくって‥‥。」


そこで言葉を区切り俺に視線を向け頬をさらに赤くした。

‥‥マジかよ。 俺のフェイス恐るべし。


「キサマァァァ! 表に出ろ決闘だ! 妹を返してもらう! 」


とばっちりじゃねえかよ。今回なにもやってないぞ。


俺がどうするかと考えていると壇上に制服を着た生徒が出てきた。


「これより入学式を開始する。 席につけ。」


「ほら始まるって、な? 」


俺がどうどうと諌めるとなんとか落ち着いたようだ。


「今回は見逃してやる。 だが、俺の目が黒い内は指一本触らせないからな。」


そう言って前に向き直った。


「お兄ちゃんがごめんね? でね、その、さっきのは嘘じゃないから。 それだけ! 」


最後に爆弾を置き見上げにして前を向くリザ。

その爆弾にさっきからつねられていた両脇に同時で捻りが加わる。


エルザちゃんとクロエこんなところで仲の良さ発揮しないでください。

是非とも別の機会で!


俺が心の中で嘆いている内に入学式は進んでいく。


「‥‥‥‥新入生代表ルディア・ゾディック。 」


俺の名前が呼ばれた。どうやら出番が来たようだ。

これで捻り地獄から抜け出せる。


「はい! 」


腹から押し出すようにイメージし大声で返事してから立ち上がり、壇上まで歩いていく。

コツコツと階段を登り学園長の前までたどり着く。


ニヤニヤしているところを見るに、俺の推測は当たっていたようだ。

だが、残念だったな。俺に万事抜かりはない。

子供殺法秘伝 フェイクプリンス!


子供殺法秘伝 フェイクプリンスとはルディが幼い頃より築き上げてきたキャラ、人外じみた顔を駆使し理想の王子を演じることだ。


「暖かな春の風が吹き、新たな生命が芽生える今日この頃。私は未来への希望、これからの学生生活への喜び、そして少しの不安を胸に門を潜りました。」


「しかしそれは間違いでした。 暖かに迎えてくれた先輩方、私の手を取り不安はないよと言ってた友人達。なにも不安を感じる事などなかった。1人ではなかったのです。」


「先輩方、先生方このような素晴らしい入学式を行っていただき有難うございます。

感激の気持ちで一杯です。 きっと今日という素晴らしい日は私の人生の1ページとして爛々と輝くことでしょう。」


「まだまだ未熟な私たちですがどうか支えてください。見守っていてください。よろしくお願いします。最後になりますが私たち100名は栄えあるこの王立リーデンブルグ学園に入学します。新入生代表 ルディア・ゾディック。」


言い切ったぞ。結構思いつきで言ったから危ないところもあるが、ハリウッド並みの演技力でカバーした筈だ。


だがなんだこの静寂は。まさか失敗したのか。


(やりすぎよ、バカ )


レヴィ、それはどういう‥‥。


「「「ウオオオ!!! 」」」


俺がレヴィに聞き返そうとすると爆発するような声援が巻き起こった。

よかった通じたようだ。 これで白けてたら恥ずかしくて不登校になるとこだったぜ。


俺は悔しがっている学園長を背に自分の席に戻っていく。


「こっち向いて〜! ルディア様〜! 」


歩いてる途中でそう言われたのでニコッと笑って手を振るう。


「「キャーー!!」」


アイドルみたいだな。

あー、エルザちゃん達にお仕置きさせれそうだな。


(それは大丈夫みたいよ。)


なんで?


(ほら、固まっちゃってるじゃない。 )


本当だ、赤くなって固まってる。 さすが秘伝、かなりの威力だ。

ホッと胸をなでおろし席に着いた俺は、お仕置きされる事もなく無事に入学式を終えたのだった。



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