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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
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力の使い方

少し少なめです

空中から大穴が開いた地面、粉々に粉砕された会場を見下ろし、満足げに頷いた俺はこちら見上げて茫然としている試験官と受験者達の所に降り立った。


「これってどうなるんですか? 攻撃威力測定装置無くなっちゃいましたけど。」


俺の質問にゼンツさんが声を震わせて答える。


「き、君の数値は測定不能とする。まだ攻撃威力測定装置で測定していないものは他の会場で測るとしよう。しかし君のその魔剣は‥‥。」


よかった、カカシ全部ぶっ壊しちゃったしな。

しかし、魔剣を指差す腕は震えている。

やはりレヴィはかなり恐れられているようだ。


「ええ、魔剣レーヴァテインです。」


俺の答えを聞いてやはりか、と顔を青くしながら頷いた。


「珍しいものを見せてもらった。さて、測り終わったものはこいつについて控え室に行け。一次試験の審査が終わるまでそこで待機だ。まだ攻撃威力測定装置で測定していないものは私についてこい。ここから一番近いB会場で測る。各自行動開始。」


それを聞いて各々動き始めた。

俺はゼンツさんが指差した人について控え室に向かう。


俺が歩くと前にいた受験者は左右に避け道を開ける。

少しやりすぎたようだ。あからさまに避けられている。でもこの程度で恐れるようじゃどの道合格は無理だろう。

諦めたほうがいい。


(あなたを基準にされたらたまったもんじゃないわね)


そうでもないと思うぞ。さっきの碧髪の女の子は目を輝かせてたし。

数値が500〜600の奴らが俺を避けてた。自称天才君達だろきっと。


(よく見てるわね。)


まあな。


俺とレヴィが話していると肩をトントンと叩かれる。

後ろを振り向くと碧髪の女の子がいた。おそらくこの子が肩を叩いたのだろう。

噂をすれば何とやらだ。


「ねえ君、凄い強さだね。まさか会場ごとぶっ壊すなんて思わなかったよ。」


「君こそ高得点だったじゃないか。 僕も君みたいな可愛い女の子があれほどの点数を叩き出すなんて思わなかったよ。」


「可愛いって、お世辞がうまいね。でも君に言われると嘘でも嬉しいかな? 」


髪を弄りながらハハハ、と軽快な笑みを浮かべそう言った。


「俺はルディア・ゾディック。 君は? 」


「あら、ごめんなさい。名前言ってなかったわね。私はクロエ・アークライト。クロエって呼び捨てでいいわよ。」


「じゃあクロエ。 クロエはどこかで剣を習ったりしたの? 」


俺はレヴィがいたがクロエはどうなのだろうか?


「道場ね。 王国内ではかなり有名なところで、私はそこの師範代の孫なの。お爺ちゃんにバシバシ鍛えられたわ。」


「へー、お爺さんに。 」


俺の質問に答えたクロエは両手を後ろに回し俺を覗き込んできた。


「じゃあ次は私の番ね。 あなたの強さについて聞きたいことがあるの。」


嫌に真剣な顔だ。俺を逃さないと目を合わせてくる。


「あなたはその力、何に使うの? 」


なんだそんなことか、なら答えは決まっている。

俺は控え室に向かって歩いていた足を止めクロエの目を見つめ返す。


「大切なものを全て抱え込むため、そしてそれを奪おうとするもの、奪ったものを殺すために使うよ。 」


しばらくこちらの真意を図ろうと見つめてきたがフッと目を細めた。


「ちゃんとした芯があるのね、ならいいわ。ルディアごめんね〜。お爺ちゃんから仕込まれた癖なの。許して? 」


目を片方閉じて謝ってくる。

そのお爺さん気になるな。一度会ってみたいものだ。

俺は再び歩き出す。


「いいよ。それとルディでいいよ。親しい人は僕のことはルディって言うだ。」


「それは私と親しくなりたいということかしら? 」


こちらをからかう様に言ってくる。

だけど甘いね、それは自分にも向く刃にもなるんだから。

俺をからかおうとした報い受けるがいい!


「そうだね。クロエと仲良くなりたいよ僕は。」


そう言ってずいっと距離を詰める。


「ちょ、ちょっと! それってどういう意味‥‥。」


顔を赤くしてあたふたし出すのを見て俺は目を細める。


「友達としてね。」


「‥‥え? なんて言ったの? 」


固まった後、俯き聞いてくる。


「友達としてね。って言ったんだよ。あれ〜? なんだと思ったのかな? 」


俺はニヤニヤしながらクロエを覗き込む。

ククク、成功した様だな。


俺は心の中でしてやったりとしているとクロエが、がばっと顔を上げた。

顔が真っ赤だ。


「友達よ! 」


「本当かな〜? 」


「本当よ! 」


「本当に本当かな〜? 」


「もう、ルディのばか! 」


遠くに見えてきた控え室にクロエが走り出してしまった。

少し弄り過ぎたようだ。


さておふざけもここまでにして、俺も控え室に行くか。

そして俺は控え室に歩いて行ったのだった。



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