未来へ
クソガキどもを躾してから2年経過した。
クソガキどもはあの後ちょっかい出そうとして来たのでちょっと過激な躾を施した。
今では自分から近所の掃除を行ういい子達になった。
いい仕事をしたと思う。
しかし、あの後からヴィオラちゃんと遊ぶ時にちょくちょくお父さんが影からコッチをこっそりと覗いてる時がある。
ヴィオラちゃんが抱きついてくるたびに飛び出して来ようとするのはどうかと思う。
まあその度にエルさんに捕まって連行されているが‥。
懲りない人だ。
魔物狩りは最近は停滞してしまってる。
あれから魔物がいそうな森、洞窟を結構潰しに行ってるのだがサイクロプス以上の魔物がいない。
雑魚ばかりだ。
数だけはいるので上がるには上がるが遅い。
まあ、そんな強い魔物が人の住む場所の近くにいるほうが問題なので複雑だ。
家族の目があるとあまり遠くに行けない。
俺が魔物狩りしている事言ってないからな。
でも父さんは感づいていると思う。
噂で、どこどこの森が一夜で全壊したとか洞窟が瓦礫の山になったとか流れているそうだ。
この噂を聞いた人は大抵ホラ話と思っているらしいが父さんの俺を見る目線が鋭い時がある。
バレるのは時間の問題だろう。
そして今の俺のステータスだ。
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名前 ルディア・ゾディック 暦年《815》
年齢 5
職業 魔剣王、勇者
lv.53
[体力] 10100
[魔力] 26020
[智力] 6790
[攻撃力] 6790
[防御力] 5390
[耐久力] 5390
[俊敏性]5000
スキル 魔剣召喚 〈lv.-〉 聖具召喚〈lv.-〉 魂喰〈lv.-〉 観測眼〈lv.-〉 以心伝心〈lv.-〉
重力操作〈lv.-〉魔力操作〈lv.極〉身体強化〈lv.極〉 危険察知〈lv.4〉剣術〈lv.7〉 体術〈lv.7〉
称号 最恐最悪の魔剣の契約者 魂を喰らう者 魔剣王
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ここ3ヶ月レベルは上がっていない。
毎回ステータスを見るたびにため息が出る。
どこかに強い魔物はいないものか‥‥。
レベルの事は置いておくとして、能力値は見ての通りこの年の子供いや、普通の大人の兵士や冒険者達からみても高いのではないだろうか?
軽くジャンプしてみると10メートル飛んだ時は大変だった。
主にいろいろ壊したくなっちゃって‥‥。
止めてくれたレヴィには感謝だ。
危うくみんなが使っている川をグチャグチャにするところだった。
スキルは魔力操作、身体強化が極になった。
神レベルだ。
此処までとはポンポン上がるとは世界には随分神レベルがいるんだなと思ったが俺が特別らしい。
普通、スキルレベルを上げるのに早くて1年遅くて5年かかってやっとだそうだ。
いろいろとレヴィには恩恵を貰っているので何かお礼をしようと聞いてみたのだが、いらないだそうだ。
時が来たら復讐を手伝ってくれるだけでいいんだと。
新しく覚えたスキルもある。
剣術はレヴィの指導で覚えた。
観測眼で敵の軌道を見ながらレヴィの指示通りに動くと剣術レベルが上がるわ上がるわ。
面白くて練習台をみじん切りにしてしまった。
危機察知はあの日からかなり大胆になったレヴィちゃんのアプローチを受けていると自然と身についた。
解せぬ。
ここ2年の成果を思い浮かべながら母さんと父さんに呼ばれたリビングに向かっている。
何の話だろうか?
外出許可は予測ができた俺だが今回は全く予測できない。
とても大事な話らしいが‥‥。
「父さん、母さん来たよ。」
「あ、ルディちゃん。 お父さんと一緒に椅子に座っててね。 すぐに終わるから。」
食器を洗ってた母さんがリビングに来た俺を見てそう言う。
「はーい。」
チラッと父さんを見たが腕を組み目を閉じている。
考え事をしているようだ。
話しかけないほうがよさそうだな。
椅子を引き座る。
なあレヴィ何の話だと思う?
(とうとうあなたが森とかを潰し回ってるのが気づかれたんじゃない? )
うえ、マジか。 それが本当なら面倒くさそうだな。
逃げよっかな〜
(あなたの蒔いた種なんだからダメよ。)
魔剣のくせに常識的なのなレヴィは。
(魔剣くらい常識はあるわ。 甘く見ないで。)
すこし怒った声で言ってくる。
はいはい、すみませんでした。
俺がレヴィと心の中でやり取りをしていると食器を洗い終わった母さんが、席に着いた。
「ルディちゃんお待たせ〜。 アルス、あなたが話すんでしょ? 」
母さんが父さんにそう言った。
やはりばれたか、さてどう説明しようか‥‥。
でも父さん達俺の能力知ってるよな。これは素直に黙って行ったことを謝るか?
それしかなさそうだな、うん。
俺が謝るシュミレーションをしていると、目を開き組んでいる腕を解いた父さんが口を開いた。
「ルディお前の才能は常軌を逸している。この才能どう伸ばそうかとお前と初めて会った夜から考えていたんだ。でも思いつかなかった。すでに5ヶ月の時点で父さんが身体強化と火炎の衣しか使ってなかったとはいえA級冒険者の父さんと互角以上の戦いができるお前をどう指導できるのかと。剣術を教えようにも俺の剣術は荒削りでお前に教えたら変な癖が出来てしまう。」
「お前には、しっかりとした剣術を覚えて欲しいし、父さんも半端な事を教えたくない。
お前はきっとすぐに父さんを越え遥か高みに行くだろう。そこでだ、父さん思いついたんだ。ならお前を教え導くに足る人たちが集まった所に任せてみようかって。
ルディ、お前は学園都市にあるこの国の神童、天才達が通う王立リーデンブルグ学園に行くんだ。すこし寂しいがそれがいいと判断した。」
‥‥な、何だと。
この人ここまで考えていたのか。
初めて知ったぞ。
(そこ!? そこなの!驚くとこは! )
「それにな、お前は周りの子達と距離を置いているだろう。 ヴィオラちゃんは別だが他にも友達を作って欲しいんだ。父さんの勝手なわがままだが生涯の友となる奴らは得難いものだ。実際に父さんも何度となく友達に助けられたことがある。」
「あそこの学校なら、お前には及ばないが才能のある子ども達が集まっている。そこならお前も疎外感を感じずに友達が作ることができるだろう。」
父さんは今まで考えていたであろう事をつらつらと述べていく。
ここは俺も真剣に答えようそれが礼儀というものだ。
「わかったよ、父さん。 僕は王立リーデンブルグ学園に行くよ。でも、ヴィオラちゃんはいいの? 僕が言うことじゃないと思うけどかなり好かれてるし嫌がると思うけど。」
王立リーデンブルグ学園に行くことは俺にとってもいいことだが、問題はヴィオラちゃんだ。
これまでヴィオラちゃんはこれまでに意図せずに好感度アップイベントをこれでもかとこなしてしまってる。認めてもらえるのは困難を極める。しかし、黙っていくのも忍びない。
八方塞がりだ。
「ああ、それなら大丈夫よ。 あらかじめエルさんにこのことを話したらヴィオラちゃんも同じ学園都市にある全寮制の学校に通わせることになったわ。 なんでも、親は娘の恋路を応援しなきゃねですって。」
手をポンと叩いて、にこやかにそんなことを言う母さん。
どうやらヴィオラちゃんについては解決済みらしい。
しかし、エルさんも大胆なことをする。
お父さんは説得できたのだろうか? いやできてそうだな尻に敷かれてそうだし。
「じゃあ解決だな。 学園には7歳からの9年間だ。しっかりヴィオラちゃんを見ることと休みには帰ってくること。ああ、アリアも連れてけ。さすがに心配だ。」
アリアもか、今年14歳になったアリアはお胸様の成長が著しい。
あれだけの女性なら男の影が見えてもいいはずだがとんとない。もしやあっち系の方では? と最近思い始めた。
「わかったよ父さん。 ヴィオラちゃんもアリアもしっかりとみるよ。」
「ああ、アリアも一応女の子だ何かあったら守れよ? 」
「はいはい。」
「ま、学園に行くと言ってもあと2年あるそれまで色々やろう。川に行ったり、山に行ったりな。」
確かに父さん達とそういう事してなかったな。
それもいいか。
存分に楽しむとしよう。
でもよかった、やってたことばれてなくて。
「うん! 楽しみ!」
俺はこの話を通して父さんと距離が縮んだ気がした。
それこそ本当の親子として。
こうして俺は王立リーデンブルグ学園に通うことになったのだった。
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