壊れた価値観
サイクロプスとの戦闘を終え一息いていると、体に恐らくサイクロプスの魂であろう物が流れ込んできた。
ジュワッと溢れる旨味に時々ピリッとくる辛み、かなり美味い。
魂を食べ過ぎると舌が肥えそうだなと思いながら、ステータスの確認をする。
魔物たちをかなり殺したので結構楽しみだ。
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名前 ルディア・ゾディック 暦年《813》
年齢 3
職業 魔剣王、勇者
lv.34
[体力] 6780
[魔力] 17000
[智力] 3490
[攻撃力] 3490
[防御力] 3390
[耐久力] 3390
[俊敏性]3090
スキル 魔剣召喚 〈lv.-〉 聖具召喚〈lv.-〉 魂喰〈lv.-〉 観測眼〈lv.-〉 以心伝心〈lv.-〉
重力操作〈lv.-〉魔力操作〈lv.6〉身体強化〈lv.6〉
称号 最恐最悪の魔剣の契約者 魂を喰らう者 魔剣王
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おお! かなり上がったな。
試しに地面を殴りつけてみると、ズドン! と拳で殴った音ではない音が出た。
ぐっと拳を握り、それを見て嗤う。
確実に強くなってる、もう奪われない、俺がウバウバンダ。
「フフフ、アハハハハハ!! 」
なんだか楽しくなって手当たり次第に殴りつけた。
遠くに見えたゴブリンを襲い、首をへし折り、地面に叩きつける。
もう死んだゴブリンの死体を、殴る、殴る。
殴るたびに血が飛び散るが気にしない。
ただ殴る。
しばらく殴っているともう殴るところがなくなったので、捨てる。
そして近くにあった木をへし折り、折れたそれを岩に向け投げつける。しかし岩はビクともせず木を受け止めた。
それが、なぜだかイライラしたので岩に全力で重力を掛ける。
ズガーン!!
土煙が晴れると底が見えないほどの大穴が空いた。
「俺の邪魔をするからだ! アハハハハハ! 」
俺はもう奪われない力をつけたと、そう世界に宣言するかのように空を見上げながら両手を広げ高笑いをする。
酷く心地がいい。
もういっその事全て壊してしまおうか、そう思い始めたところでレヴィの声が聞こえてきた。
(ルディ! しっかりして! 正気に戻って!)
「正気? 何を言ってるんだ。 今の俺はいたって正気だ! 」
そう言って俺はもはや、森全てを覆うのではないかという程の範囲で技を発動し、
そして全てを、破壊した。
全てを破壊して、森の原型がなくなった所で今まで自分が何をしていたのか気づいた。
「お、俺は今まで‥‥。 」
自分の両手を見つめ考える。
今まで俺は自分の破壊衝動に身を任せていた。記憶がないわけじゃない。
全て覚えているし、自分で判断して行動して壊した。
楽しかった記憶がある。
もしかして、殺されたのが原因なのか?
奪われる事への拒絶から、奪う事に極端な拘りがあり、それに喜びを見出している感じだ。
自分の価値観が変わっていたのは知っていたが此処までとは‥‥。
気をつけなければ‥‥。下手したらこの感情が、大切な人たちに向かうかも知れない。
(やっと元に戻ったわね。 もう帰りましょ。 もう狩りをやる気分じゃないでしょうし、それに狩るものなんて残ってないわ。)
「そうだな、そうしよう。」
レヴィの言う通りだもう家に帰って寝たい。
その前に、川で血を洗い流そう、落ちるといいな。川で、血を落としてから俺は浮かび上がり、家の方角に向かって飛んでいった。
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俺が家の近くの空を飛んでいると家の裏にある丘の上にヴィオラちゃんとおよそ6歳くらいの子供たちが4人ほどいた。
ヴィオラちゃんは俺が家まで送り届けたはずだ。
何故こんなところに、と考えているとヴィオラちゃんが4人組の1人に突き飛ばされ転んでしまった。
それを見た俺は血液が沸騰するのがわかる。
「あのクソガキ、殺す。」
上空から急降下してクソガキとヴィオラちゃんの間に降り立つ。
「うわ! 」
クソガキが驚いて尻餅をついたが、どうでもいい。
俺は転んでいるヴィオラちゃんを抱き起こす。
「ヴィオラちゃん! 大丈夫!? 」
俺がいきなり現れた事に驚いていたヴィオラちゃんだが、徐々に理解し始めたのか俺に抱きついて泣き始めてしまった。
「う、うわああああん! 」
それを俺は頭を撫でて慰めながらヴィオラちゃんの様子をみる。
突き飛ばされて擦りむいたのか膝からは血が出ており、腕には爪を立てたあとがある。
あいつ! こんな小さな子に何て事を!
ふざけやがって!
「ヴィオラちゃん、ちょっと待っててね。 僕が懲らしめてくるから。」
最初の頃は殺してやる! と思っていたが、今は幾分か冷静だ。
ヴィオラちゃんにスプラッタな光景を見せれないし、やったら後々問題になる。
だが、ヴィオラちゃんにここまでしたんだ。
ゲンコツ程度はいいだろう。 最低でもその位やらないと俺の気が済まない。
「お、おい! お前どこから現れたんだ! 」
俺がこいつらの制裁方法を考えていると、尻餅をついたやつが立ち上がって俺の事を指差してきた。
腸煮えくり返る気分だが一応こうなった訳を聞いておこう。
「そんなのどうでもいい。 それより何で、こんな事をした。」
声に怒気が混じる。奴らが少しおびえているが抑える気はない。
「そ、そいつが四つ葉のクローバーよこせって言ったのに聞かなかったからだよ! 」
「‥‥るな。 ふざけるな! お尻ぺんぺん、しっぺ各100回は覚悟しろ! クソガキども!! 」
「「「「ひ、ひえ〜!」」」
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「98! 99! 100! 」
ペシン! ペシン! と最後の1人のケツを叩き終える。
最初の頃は抵抗したり逃げようとしたが、 逃げるなと怒気を孕ませて言うと大人しくなった。
「終わったぞ。さっさと行け、次はないからな。」
「うわ〜ん」
そう泣きながら走って逃げていった。
少し強めにやったのでもうこんな事はしないだろう。
もし仮にやったら分からせるまでやるまでだ。
「ルディくん! ありがとう! 」
俺が最後のクソガキが走って逃げてるのを見ているとヴィオラちゃんが抱きついてきた。
それを俺は抱きとめて頭を撫でる。
「いいんだよ。ヴィオラちゃん、僕が何があっても守ってあげるからね。」
「ルディくん大好き! 」
そう言ってさらに強く抱きついてくる。
何故丘の上に戻ったのかとかこうなった経緯を聞きたいが今は言わないでおこう。
なに、後で聞けばいい。
わざわざこの空気を壊して言うことじゃない。
そしてルディとヴィオラは日が暮れるまで抱き合っていたのだった。
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