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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
33/220

ヴィオラちゃんの仰せのままに

父さんと初めて会ってから7ヶ月経った。


その間に色々な事がわかってきたり、できる事が増えてきた。


まず、俺の父さんは冒険者らしい。俺が生まれた時は大規模な討伐に行っていたそうだ。

なんでも、かなりの高ランクらしくご飯中にしょっちゅう武勇伝を聞かせてくる。

最近ではあんまりにもうるさいので、かっこいい! とか 僕もお父さんみたいになりたい!とか適当に言っている。

鼻を膨らませて喜んでいるので、リップサービスくらい、いいだろう。


次に俺が住んでいる場所は、エガシーと言う辺境で村を出ると魔物、魔獣がわんさか出てくるらしい。


これは俺にとっては好都合だった。

1人で外に出られるようになったら、コッソリ狩りに行こうと思う。


そしてようやく歩けるようになった。

いつもの日課のばれずにお菓子をとろう! 訓練の最中に逃げ込んだ部屋で初めて転生してからの姿を見た。


黄金を溶かしたような細い金髪に、輝くような碧眼、幼いながら分かる人外染みた端正な顔立ち。

天使だった。

これは将来、相当な女泣かせになるなと、鏡の前で頷いたものだ。


そこでふと、観測眼を発動したら眼はどうなるのだろう? と考え発動してみた。


すると、眼に魔力を込めた段階で金色に変わり薄く光ったのだ。そして、観測眼を発動してみると眼に魔法陣が浮かんだ。


それを見た俺は、内なる心に眠るもの(中二病)を抑えるのに苦労した。



ここ、7ヶ月の事を思い出しながらおやつを食べていると母さんが話しかけてきた。


「ねえ、ルディちゃん。エルさんがヴィオラちゃんを連れてきてるんだけど。あってみようか。」

そう言って俺を抱き上げる。


「やだ! 子供の相手したくない! 」

俺は抵抗を試みる。


「ルディちゃん。 ルディちゃんはいつも1人で楽しそうに遊んでいるからお母さん心配なの‥‥。 将来一人ぼっちになっちゃうんじゃないかって。」


そう目を伏せながら、心配そうに言ってくる。


か、母さん‥。

仕方ない、お友達とやらを作ってやりますか!

母さんを心配させるのは忍びないし。

前世合わせて、17年のコミュ力舐めるなよ!



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



「あらー、その子がルディアくん? カワイイわね〜。」


そう言って、俺の事を撫でてくるエルさん。

エルさんは燃えるような赤髪をした、ナイスバディなお姉さんといった感じだ。

子持ちの人には全く見えない。


今俺は母さんに抱かれてリビングに連れてこられている。

ここに来たのはヴィオラちゃんと会うことが目的らしいので、エルさんの腕に抱かれているヨダレを垂らした子がヴィオラちゃんだろう。


「そうかしら? ヴィオラちゃんもカワイイねー。」


そう言いて母さんがヴィオラちゃんの頭を撫でる。

ヴィオラちゃんは無反応だ。


「あら? ヴィオラちゃん眠いのかな〜? 」


「違うのよこの子、興味がないといつものこれなの。でも、興味があるものにはものすごい反応するのよ。」


「へーそうなんだ〜。 ルディちゃんはいつもあっち行ったりこっち行ったりしてるわ。」


ママ友トークを聞きながらぼんやりとヴィオラちゃんを見ると目があった。


「あー」


ヴィオラちゃんがうめき始めた。ロックオンされたらしい。

母さんたちは話に夢中なのでまだ気づいていない。

なんか嫌な予感がするので、目をそらす。


「あーあー」


こちらを瞬きせずにジッと見つめてくる。


「‥‥。」


あーが一つ増えた。

どうやら興味レベル上がったようだ。


「あうー、ばば! いひゃあ! 」


もう完全に俺に興味を示したらしい。

分かりやすい。


「あら、ヴィオラ、ルディくんと遊びたいの? サーシャさんうちの子がルディくんと遊びたいらしいのいいかしら? 」


さすがに、バッブバッブうるさかったのでエルさんが気付いてしまった。

俺は母さんに助けを求めて視線を送った。

しかし、その視線を何と勘違いしたのか一つ頷いて俺の希望とは正反対のことを言った。

因みになんで言葉で言わないかと言うと、母さんたちは良いかもしれないが他の人がどう捉えるか分からないから一応である。


「良いわよ。 さあ行ってきなさいルディちゃん。」


そして俺とヴィオラちゃんは床に降ろされた。


するとヴィオラちゃんは降ろされた途端に俺に高速ハイハイで襲いかかってきた。


「りゅ〜? べ! べ! 」


俺に抱きつきながら、俺の耳をハムハムしてくる。

それをされている俺はというと‥‥。


「はうあ! ひゃい! あう〜 」


ヒロインが言いそうなことを連呼するしか出来ない。

耳をハムハムされるという未知なる感覚に混乱しているのだ。


き、気持ちいい‥‥。


「ヴィオラちゃん、ルディにゾッコンね。 将来お嫁さんになるのかしら? 」


「そうね〜、こんなにヴィオラが興味を示すなんて初めてだわ。 本当にそうなるかもしれないわね。」


母さんたちは俺とヴィオラちゃんの状況を見てきゃいきゃいと楽しそうに話している。


ちょ! 助けてよ! だれかー!!


(プッ、プププ! アハハハハ! も、もう我慢できない。 どこまで耐えられるかと思ったけどもう無理! アハハハハ!)


レヴィ! 今日は静かだと思ったら、そういう事か!


「ハムハム、ハムハム」


ヴィオラちゃんいつまでハムハムしてんの!?

そんなに美味しいんですか! 俺の耳は!


「ハムハム、ハムハム」


い、やあああああああ!


ヴィオラちゃんのハムハム攻撃は、日が暮れエルさんが帰るまで続いた。


因みにハムハムし終わったルディの耳はふやけていたのだった。


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