表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
32/220

バブバブ言語

俺がこの男に魔剣を押し込みそれを男が耐える形で固まる。


い、今何とおっしゃいましたか? 母さん。

あなたという事は、この人俺の父さんって事になるじゃないか!


「サーシャ今、この赤ん坊の事ルディって言ったか? もしかして俺の息子なのか? 」


驚愕を隠そうともせずに俺と母さんを、眼が行ったり来たりしている。


「そうよ! 今日の夕方に帰ってくるって言ってたのにそれがどうして朝早くにルディと斬り合いしてるの!? それにルディ! どうしてパパに斬りかかっているの! 説明しなさい! 」


母さんが鬼の表情で問い詰めてくる。

言えない、泥棒に間違えて殺そうとしてたなんて言えないぞ。

ここは赤ちゃんパワーを使おう。


「あーい? バブバブ! 」


まだ言葉分かりませんアピールだ。

これで説明しなくて済む。まあ、この状況は誤魔化せないが。


「おい! さっきまでペラペラ喋ってただろ! なに誤魔化そうとしてるんだ! 」


余計なことを! クソ親父め!


「あなた! 赤ちゃんに向かって何て言葉使ってるの! 」


ハハハ 怒られてやんの、赤ちゃん最強だ。


「で、でも本当に喋ってたんだ。 悪役みたいな台詞をペラペラと‥‥。」


そんな事、誰が信じるか。

俺は母さんの前ではマンマとそれに連なる事しか言ってないんだぞ。

見られでもしない限りバレはしない。


「それは、見てたわ。 ルディちゃんどうゆう事かしっかり説明してね〜? 」


み、見られてた!

それに顔は笑っているのにも関わらず、何だこの威圧感は‥‥!

正直に話そう。助かる道はそれしか無い。


「仕方ないでしょ、ママ。 朝早くに玄関のベルが鳴ったからあやしいと思って、視たんだ。そしたら廊下を不気味な笑みを浮かべながら「久しぶりだ、本当に‥‥。 今日はタップリとあの顔を見せてもらおう。ああ、思い出すだけで、クククク。」って言ってたから泥棒と思って‥‥。」


そこで区切り、父さんに目を向ける。


「殺そうと思ったんだよ。ママ達が殺される前に殺せばいいってね。」


俺の言葉が予想外だったのか、父さんと母さんが驚いている。

そりゃあそうか、些か過激すぎるもんな俺の考え。

でも、命を落としてからじゃ遅いんだ俺みたいなことが全員に起こるなどあり得ない。

だから、俺がなによりも先に殺す、取られる前に取るんだ。


「ルディ、俺の息子よ、よく聞け。 確かにその意見は正しいでもな、そういう人にも間違いを正す権利がある。どうしても殺さなければいけない。そうしないと、自分の命、大切な人の命が危険っていう時になるまであんまりそういう手段を取らないでくれ。」


つばぜり合いの大勢を崩し、俺の頭を撫でながら言ってきた。


俺は、それを心の中で鼻で笑う。

なにを甘ちゃんなと、その権利とやらが有るのなら俺は俺を殺した奴を殺せないじゃ無いか、と。

所詮は殺された事の無い奴が言える贅沢な台詞だ。

誰だって殺されたら分かる。

殺しにきたら殺せ、奪いにきたら殺せ、目には歯を、歯には歯を、ここに行き着くのだ。


ルディは自分が殺されてから自分や自分の大切なものを少しでも傷つけた者に対する、反撃の価値観が過激思考にかなり傾いた事に気づいているが直そうとしない。

それが正しく、絶対優一と思っているのだ。


「分かりました。 父さん! 」


微塵も納得していない事を、さも分かったという風に言うルディ。


「でも、この歳でこんなに流暢に喋れるものなのか? おかしく無いか? まだ5ヶ月だろ? 」


ああ、この人は常識人なのね‥。


(あなたのお母さんが抜けているだけよ。 あんまり考えていないという方が正しいかしら? )


そうだな、ここは話を逸らさねば、自重はしないが問い詰められたくない。

父さんとは考えが合いそうにないからな。


「ねえ、父さん。 どうしてレヴィの事知ってたの? 」


「レヴィ? ああ、レーヴァテインの事か。 その魔剣は、昔に人類の3分の2を大地の染みにした最恐最悪の魔剣と、おとぎ話に出てるし、色々な伝説も残っているしな。知らない人の方が少ないんじゃないか? 」


そう父さんが身震いしながら言う。


し、称号にあった最恐最悪の魔剣の契約者って言うやつか‥‥。


お前、昔に何やったんだよ!

遺伝子レベルで恐怖が叩き込まれてるじゃねえか!


(私じゃないわよ。 その時のマスターがちょっと頭おかしかっただけ。 右手が疼くって言って砦ペチャンコにしたり、俺の封印されし右目が! って言って都市を消滅させたりしてたのよ。)


おい、何て奴と契約してんだよ。絶対、そいつ中二病じゃねえか!

一番ダメだよそれ! 混ぜるな危険だよ!


(最後の方は、我はこの世に生きるものを滅殺するものなり、とかなんとか言ってたわ)


覚醒したんだなきっと、うんそういう事だ。


「その伝説というのは?」


どこまで能力がばれているか知りたいからな。


「えっとな〜。確か‥‥あ! そうだった。 その魔剣、世界の理を操りて、我らを縛り付ける、見たら決して逆らってはいけない、逆らえば圧殺されるだろう。 だったな。」


能力もろバレじゃねえかよ。

次から堂々と使おう。隠す意味ないしな。


因みにレヴィの能力は、重圧を自由自在に操る事。

今は俺の制御がダメダメだから、プカプカ浮いたり、重力を増やして圧殺する事しか出来ないがもっとうまくなると重圧の方向を自由自在に変えたり、重力球を作ったり、ブラックホールを作ったりする事が出来るらしい。


もう魔法いらないんじゃないか? という位に強い。

これからはこの制御も訓練に入れようと思う。

俺がこれからの訓練メニューを考えていると、母さんが先程の重圧が伴う笑みで話しかけてきた。


「ルディちゃん? まずはパパに言う事があるでしょう? 」


「ごめんなさい。 父さん。」


プカプカと浮かびながら頭を下げる。

まあ、小さいので体ごと回っているようにも見えるが。


「いいよ、俺も母さんの驚く顔が見たくてこっそり入ったのがいけないんだ。 だから、おあいこだ。」


そう言ってまた頭を撫でてきた。

この人考えは合わないが、いい人だ。 俺が勘違いして襲いかかったというのに‥‥。

俺だったら、3日分のおやつを要求している。


「はい! 父さん! 」


「さあ、じゃあ家に入ろうか。 壁も修理しなくちゃなー。」


その言葉に俺、母さん、父さんは家に入っていく。

よし、成長が早すぎる事は流せたぞ。

まあ、魔眼とか魔剣とか知られたのでそれが原因じゃないかと想像するだろう。

俺は知らないふりだ。面倒くさそうだし。


そうして俺の初めての父さんとの対面は幕を閉じたのだった。


感想、評価よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ