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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
28/220

初めての‥‥

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今俺は狭くて暗い場所を潜っている、と思う。

何せよく見えないからな。

そうして、ズンズンと進んでいると光が見えてきた。


うお、眩しい!

暗い場所からいきなり明るい場所に出る。

そして徐々に目が見えてきた。


見え始めた目に飛び込んできたのは優しい表情をしたお婆さんだった。

助産師さんだろうか?

でかい、でかいよ。違和感半端ないな。


そのお婆さんは俺を抱え上げて背中を叩いてきた。

これは泣けという合図だろうか? 確か泣かないといけないんだよな。

じゃあ、思いっきり泣いてやろう。


「オギャアアアアア!オギャアアアアア!」


その鳴き声を聞いたお婆さんはホッとした表情をして、金髪をした綺麗な少女の前に持っていく。

その少女を見た俺は驚愕した。

何故なら、転生する前の俺と年齢が大差ない様にしか見えなかったからだ。


え?、若くないですか?

この人が俺の母だとすると必然的にヤンキー夫婦か、父親がロリコンという事になってしまう!


(貴方、どうしてそんな思考回路になるのよ。 この世界ではこれくらい普通よ。)


俺がそんな事を考えていると、レヴィがこのくらい普通と言ってきた。

俺がその事実に再び驚愕してると、お婆さんが俺の母さんであろう人に話しかける。


「サーシャさん、元気な男の子ですよ。」


それを見たサーシャさんは、俺に笑顔を向け抱きしめてくる。


「ああ、私の可愛い赤ちゃん。私とアルスの赤ちゃん。」


額に汗を浮かべ、涙を流しながら頰ずりをしてくる。

ひとしきり頰ずりをして満足したのか、俺から顔を離した。


「貴方の名前は、ルディア。ルディア・ゾディック。これからよろしくね。」


そういって、微笑んだ。

俺はそれを見て、ああこの人が俺の母さんだと思った。

勿論元の世界の母さんも母さんもだけど、それは又別、母さんが2人いてもいいじゃないかという気持ちが湧いてくる。


「あいあー(ああ宜しく、母さん。)」


俺がそう母さんに返していると瞼が重くなっていく。

赤ちゃんだからだろうか?何故か眠るのが我慢ができない。

そして俺の意識が落ちていった。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



俺がルディアとして転生して、およそ3ヶ月が経過した。

今俺は、ゆりかごの中であうあうしている。


「はーい、ルディちゃ〜ん。コロコロ〜」


そういって、コロコロとなるオモチャを俺の前で振ってくる。

ちなみにルディとは俺の愛称だ。


「あいやあ! あうー」


それに対して俺は無邪気な赤ちゃんを演じながら答えた。

‥‥恥ずかしい。ずいぶん前からやっているが慣れそうもない。

そりゃあそうだろう、心が16歳の男でしかも同い年の少女にやっているのだ。

想像するだけで悶絶死しそうになる。


(よくお似合いよ。 ル・ディ・アちゃん♡ プッ)


おい! 笑うなー!

俺だってな、やりたくてやってるんじゃないんだよ!

だがお前には見えないのか、この嬉しそうな母さんの顔が。

これで、無表情を貫いてみろ? 多分泣くぞこの人。


(はい、はいそうゆう事にしておくわ。ルディアちゃん)


ちゃんとって、お願い。

何でもするから!


(じゃあ今日から訓練ね。そろそろ魔法の訓練をしていい頃だわ。)


ようやくか、退屈だったぞ。


(仕方ないでしょ? 最低限でも魔力がないとやろうにも出来ないんだから)


そう、俺はここ3ヶ月間魔力がないという事で何もできないで寝るか、母さんの相手をするか、ご、ご飯を食べるしかなかったのだ。まあそれも、少しは楽しかったのだが‥‥。


(ちゃんと、オッパイ飲んでたって言いなさいよ。それに、何が少しよ。ニヤついてたじゃない。)


おい! 恥ずかしいからぼかしてたのに、何ストレートに言ってんだよ!

それに俺はニヤついてなんかいなかったぞ。

俺のポーカーフェイスは完璧だ!


(喜んでいたことは認めるのね。)


あ、‥‥。

それで、何をするんだ?


(なかった事にする気ね。 まあいいわよ、見逃してあげるわ。 訓練についてだけど夜にね。 ほら貴方のお母さんが泣きそうよ?)


うわやっべ! 忘れてた!


俺がレヴィと話すのに夢中になってしまい、母さんの相手をするのを忘れていた。

母さんから見たら、さっきまでキャッキャ喜んでいた赤ちゃんが突然無表情になり喜ばなくなった様に見えるだろう。

もう涙腺が決壊しそうだ。


「ルディー、ママのこと、き、らいになっちゃった?」


まずいな、次の対応で何とかせねば‥‥。

母さんの泣き顔を見たくない、あれをやるしかないだろう。


「あうあ!」


クソ、喋りにくい。もう一度だ!


「まうあ!」


今俺がやろうとしているのは初めてマンマと呼ぶことである。

いささか早い、いや早いどころではないが自重する気はこれっぽっちもないのでいいだろう。

この人が成長が早い程度で俺を不気味がる人ではないのはここ3ヶ月でよく分かった。


「え? ルディちゃんどうしたの?」


俺の懸命な叫びを聞いて何かを伝えようとしているのは分かったのか、鼻をすすりながらも聞いてくる。


「まんま!」


よし出来た。これで悲しみなど吹っ飛ぶだろう。

‥‥吹っ飛ぶだけだといいな。


「え? え?」


俺にまんまと呼ばれたのが余程衝撃的なのか、え?を連呼している。

暫くそれを繰り返し、徐々に理解し始めたのか興奮気味に俺に呼びかけてきた。


「ルディちゃん! 今、まんまっていった!? ヤー! スゴイ、ルディちゃん天才よ!」


そう言って、小躍りしている。

天才どころで済むとは、流石母さん。

思った通り、優しい人だ。


(優しいんじゃなくて、抜けてるっていうんじゃないの?そこは)


レヴィがなんか言っている気がするが無視だ、無視。

しかし、母さんいつまで踊ってるんだ?

原因を作った俺が言うことじゃないけど、ちょっと恥ずかしいぞ。


余程嬉しかったのかその母さんの踊りは俺が眠気に負けるまで、続くのだった。


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