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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
24/220

青山とデート

デートしたことないのでほぼ願望です。

ここがおかしいぞとかあったらどしどし言ってください。

「あー酷い目にあった。」


そう呟いているには、ついさっき氷ずけの刑から解放された龍太だ。朝ご飯の間ずっと氷ずけにされていたのである。


「しかたないでしょ。本当に死ぬかと思って心配していたら、あんなアホな理由だったなんて‥‥。なんかまたイライラしてきたわ。お仕置き追加しようかしら?」


指をコキコキ鳴らしながら、青山が恐ろしい提案をしてくる。まだ怒りが収まってなかったようだ。


「すんませんでした。2度と変な妄想はいたしません。この命にかけて誓います。」


龍太にとってあの恐怖は、死の恐怖より勝るらしい。


「妄想はしていいわ。男の子だもの、そこは分かっているつもりよ。ただ‥‥私を思い浮かべてくれなかったのが腹が立っただけ。」


顔を赤らめながら何ともいじらしいことを言う青山。それを見た龍太はどうやらハートを打ち抜かれたらしい。


「青山‥‥。」


ボーと青山を見つめる龍太。やや顔が赤い。


「はい、今回のことはもうおしまい。もう時間だから行きましょ。」


手をポンと叩いてから龍太の背中を叩いて歩き出したが何かを思いついたように、あっと振り返った。


「せっかくだから門の前で待ち合わせしない? デートっぽくていいと思うんだけど。」


青山は門で待ち合わせをしたいらしい。確かに待ち合わせはデートの定番だ。


「いいぞ。じゃあ10分後に門で待ち合わせな。」


それを龍太は快諾する。龍太もやってみたかったのだ。


「はーい、じゃ門でね。」


そう言って今度こそ歩いていく。暫くして、青山が見えなくなった。


「それじゃ、俺も準備するとするか。」


龍太も自分の部屋に戻っていった。



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



「遅いなー、もう10分経ってるぞ。何やってるんだ青山?」


5分前に到着して、かれこれ、20分ほど待っているが青山が来る気配はない。


あーそう言えば、父ちゃんが待ち合わせで女の子を待つのは、男の勲章だとか何とかサムズアップしながら言ってたな。でも流石に2時間まったのはどうかと思うけど。あんなこと自慢されてどんな反応しろってんだよ。


「彩月! 待った?」


考えをしているうちに青山が来たようだ。俺は遅いなと言う少々の怒りの気持ちを込めて、声のした方向に視線を向ける。だが、その視線は青山を捉えた瞬間飛散した。


「青山、その格好‥‥。」


「ああ、これ? 王国から支給されたものなんだけど‥‥。」


そこで言葉を区切り、クルリと回って見せた。その動きに合わせ、純白のワンピースがフワリと舞ってまるで妖精のようだ。触れたら消えてしまうかのような儚げな印象を抱かせる。


「似合う?」


ワンピースに両端をチョンっと持ってそんなことを聞いてくる。


「‥‥綺麗だ。」


俺はそんなありきたりなセリフしか出てこなかった。人はあまりの美しいものを見たとき数々の賞賛の言葉より、たった一つの言葉に行き着くらしい。


「あ、ありがとう。ボソボソ(愛子ちゃんにいろいろ相談しといてよかった)」


青山は、顔を赤くしながらお礼の言葉を言ってくる。可愛すぎる‥‥。しかし、愛子ちゃんとやらが誰か知らないが、思わずその道のプロでないかと疑ってしまう。俺はただ一言愛子ちゃんにこの言葉を送りたい。素晴らしいものをありがとう!俺はなぜか遠くの空に誰かも知らない愛子ちゃんがサムズアップしている気がした。


そんな2人の間に甘酸っぱい雰囲気で満たされていく。主に青山が垂れ流しているのだが‥‥。さっきからずっとモジモジして動かない。これはこれで可愛いからいいのだがさっきから門番が目で、早く行けよ!と催促している。仕方ないので、青山の手を取り歩き出す。


「さあ行くぞ。まずどこいきたい?」


うわ、初めて青山の手を握ってみたけど柔らかいな、そして小さい。こんなに小さかったのか‥‥。龍太が初めての青山の手の感想を心の中で述べているとようやく青山が反応した。


「そ、そうね。まず服を見に行きたいわ。 メイドの人に聞いた、人気な服屋に行ってみたいの!」


まだ、顔の赤みが取れていないが普段通りに戻ってきたようだ。俺はというと、緊張が一周回って平常心になった。物事は何事でも一回回してみるべきだなと、龍太が訳のわからないことを考えているうちにその人気な服屋に到着したらしい。


なぜわかったって?それは今俺の目の前の光景を見たら誰でも納得するだろう。人気の服屋らしき店の前に朝にも関わらず若い女性、女性見渡す限り女性だ。これでここじゃないという奴がいたら、俺は速攻病院にお連れする。


「これは本当に人気なんだな‥。」


ハ、ハードル高いぞ。見たところ男が1人たりともいない。ここは戦略的撤退を、いやこういうのにも付き合うというのが彼氏というものだろう。俺が決死の覚悟を決めていると青山が目をキラキラさせながら話しかけてきた。


「彩月、すごい人だよ! 楽しみだね!」


言えない、ハードルが高いとか戦略的撤退を考えていたなんて決して言えない。


「ああ、そうだな。行こうか。」


悟られないように、顔をキリッとさせて店に先導する。青山の青をチラッと見てみたがばれていないらしい。乙女高感度センサーから逃れることが出来たようだ。俺は、ホッと密かに胸をなで下ろす。


「うん!」


そうして俺たちはお店に入っていく。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



「はあ〜〜〜、疲れた。想像以上に精神的に来るなこれ。」


俺はようやく青山の服選びから解放された。女の子の服選びは長い長いと聞かされていたが、まさかこれほどまでとは思いにも寄らなかった。例えばねえ、左と右のどっちが似合ってる?と聞かれて左かなと言うと、え〜、そうかな〜私は右のだと思うんだけどと言って右を選んで、暫くってからやっぱり、左かな?ねえどう思う彩月? というのが何回も続き、最後の方に俺はそうだねと言う人形と化していた。本当に疲れた。


俺が肩をほぐしながらそんなことを考えていると、店から青山が出てきた。


「お待たせ、彩月。 もうこんな時間ね。お昼にしましょうか。」


青山は空を見上げてそんなことをいう。


「ああ、屋台でちょこちょこ食べながらにしないか?その方がいろいろと楽しめそうだし。」


俺は、服を選んでいる時に出てきたであろう屋台を指差して提案する。


「いいわね、そうしましょ。」


そう言いながら腕を組んでくる。どうやら、買い物でテンションMAXらしい。ルンルンと、効果音がつきそうなくらいである。可愛い、そう思わず呟いてしまう。今日何度目かになるであろうか、いつもとのギャップが激しすぎて歯止めが効かない。これがギャップ萌えなのだなと1人納得した。そこへ、香ばしい匂いが漂ってくる。


「この匂いは、焼き鳥?」


そう、まんま焼き鳥の匂いだ。


「行ってみないか?」


「今日のお昼ご飯は焼き鳥か〜、うんいいわね!行きましょ!」


食べたいものに則したらしく、グイグイと腕を引っ張られる。


「おじちゃん、これ10本ください!」


青山が屋台のオッサンに焼き鳥を注文している。


「お! 可愛い嬢ちゃんだな。彼氏とデートか? くー、焼けるね。一本銅貨3枚で、合計27枚だ。一本サービスしとくよ。」


この世界の通貨は銅貨、銀貨、金貨と色々あるらしいが、今の俺たちには関係ない。


「はい、おじちゃん。」


「ん? こりゃあフリーカードじゃねえか!? 嬢ちゃんお偉いさんだったのな。」


そうこのフリーカードがあるからだ。このフリーカードは国の要人などに渡され、自由に買い物ができるという優れもの。国持ちのクレジットカードみたいなものだ。


「まあ、そんなとこかな。」


そう言って焼き鳥を受け取りこちらにやってきた。


「はい。」


「ありがとう。」


青山から5本焼き鳥を受け取り、かぶりつく。


「おお!これはうまいな!」


本当に、うまい。噛むとごとに溢れ出てくる肉汁に時々ピリッとくる独特のタレがたまらない。気付いたらあっというまに食べ終えてしまった。もっと味わって食べてればと、今になって後悔する。


「食べ足りないの? 仕方ないわね。はい、あーん」


それを見た青山が焼き鳥を一本手で押さえながら差し出してきた。

こ、これは!伝説のアーンというやつか!


俺はもう死んでもいいと考えていると考えていると青山が手を止め、口元を悪戯げに歪ませながら、「いらないの?」と聞いてきたので、キリッとイケメンフェイス(自称)を作って「いただきます。」と即答した。


「じゃあ、改めて、あ〜ん」


「あ、あーん」


う、うまい!さっきの1000倍は美味いぞ!これからは青山に食べさせてもらえないかな〜と後で考えたら悶絶死確実なことを考えながら、食べ歩きは続いて行ったのだった。



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



「食べたなー、しっかしこの世界にもクレープがあったとは。」


そうなんとこの世界にクレープがあったのである。味もそのまんまで驚いたものだ。


「そうね〜、嬉しい誤算かしらね。」


「そうだな。」


青山と和気藹々と話しながら王城に戻っていると、ふと視線を感じ振り向いた。そこには身長180㎝ほどの銀髪をした、人とは思えないほど整った顔をしたイケメンがこちらを見ていた。


そのイケメンは遥か昔を懐かしむような目をこちらに向けている。

誰かと、俺たちを重ねているのだろうか。

とても悲しげな瞳だ。

しかしなんだろう?名指し難いこの感覚は?


「ねえ、彩月? 何を見ているの?」


俺がその感覚の正体を考えていると、青山が肩を叩いて聞いてきた。


「いや、視線を感じて振り向いてみたらあそこに俺たちを見ていた人がいてさ。なんだろうと思ってね。」


それを聞いた青山が、俺の指差した方向を見る。


「何言ってるの?あそこに人なんていなかったわよ?」


首を傾げながら奇妙なことを言ってくる青山。


「な、なんでそんなことわかるのさ。青山は前を向いてただろ?」


「ううん、私はスリとかされないように常に魔法で周りを見てたのよ。 でもそこに人なんていなかったわよ?」


嘘、そんな魔法使ってたの!?びっくりだわ。

しかし、そうなると本当にいなかったのか?

ま、まさか幽霊!?

‥‥考えないようにしよう。

俺は幽霊が大っ嫌いなんだ!


「ど、どうやら見間違いだったようだよ。あは、アハハハ」


「そう、じゃあ帰りましょうか。」


「ああそうだね。」



龍太と青山のデートは、青山にとっては楽しく、龍太にとっては最後不気味なものを見て終わりを迎えたのだった。



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