アルケフィー出血症候群
デートまでいけませんでしたすいません。
ですが、何としてもこの回を書きたかったので許してください。
俺は今混乱に真っ只中にある。
何故なら、ベットで寝たはずなのに医務室らしき場所に寝かされ、これまた医師らしき人に治療されているからだ。
しかも、寝ている俺に青山が泣きついてずっと叫んでいる。
「彩月! ねえ彩月! どうして彩月がこんな‥‥。先生彩月は助かるんですか!? 」
顔を涙でグシャグシャにして医師に尋ている。その質問に医師は医師は首を振った。
「いいや、まだ分からない。取り敢えず応急処置はしたが‥‥。こんな症状医師歴30年の私でも初めてだ、彼を発見した時の状況を教えてくれないか? 何かわかるかも知れない。」
神妙な顔をして目を伏せる医師。ま、まさか俺は何かの病気にかかってしまったのか?‥‥俺は死ぬのか?
「グスッ、グス。はい先生、私は朝、彩月を起こしに彩月の部屋に行ったんです。すると、彩月部屋に入って見ると彩月がベットの上で血塗れになって横たわっていました。それで、それで‥‥うう」
そうして青山はまた泣き出してしまった。‥‥‥‥。身に覚えがあるんですけど。やっちまった! 深夜のハイテンションで後のこと全く考えてなかった!まずい、起きるか?実は、昨日鼻血を出して気絶しましったって。無理だそんなこと言えん。俺が起きるか、起きないかを悩んでいると医師がハッとして何やら語り始めた。
「もしや、これは‥‥。いや違う、そんなことはあり得ない!! あの病気は50年前に根絶した筈だ!」
何やら事態が大きくなっている気がする。
「先生何か分かったんですか? 」
縋るように医師を見る青山。
「あ、ああ。恐らくこの症状は約50年前に流行した最強最悪の病、アルケフィー出血症候群に違いない。夜のうちに鼻から大量に血を吹き出すこの症状、一致している。このアルケフィー出血症候群は、鼻から身体中の血が吹き出し必ずミイラになってしまうという、致死率100パーセントの殺人病だ。このあまりの致死率から医師たちの間からこう呼ばれたと言う。【アポカリプス】と。」
やめて! そんなに白熱しないで!それとなんだよその恐ろしい病気は!ただの鼻血からえらい事になったな‥‥。
「それは、昔の話ですよね! 根絶したんだったら特効薬はありますよね!」
「いや、根絶したのはその病に罹る人がいなくなったからだ。現に、根絶したのは全人口の約三分の一を下回ってからだ。その、少年はもう‥‥。それよりこのことを早く陛下に伝えねば、私はもう行く。」
やめて! それが国王様に伝わったとして、なんていえばいいんだよ!ハハ、実は夜にえっちい妄想してたら鼻血出しちゃいました☆‥‥俺が国王なら即刻処刑するな。よし! 起きよう。今すぐ起きよう。
「あー、その、俺は大丈夫です。」
頭を掻きながら起き上がる。それを見た医師と青山は驚いて、目を見開いている。
「き、君大丈夫なのかね!? 体に何かの異常は!?」
医師が体をペタペタと触ってくる。
「あ、はい。鼻血出した心当たりがあるんで。」
俺の言葉を聞いた医師が、ホッとした表情になった。
「よかったよ、本当に。 君が生きてるのはもちろんの事、再び人類が絶滅の危機に陥らなくてよかった。」
本当にすいません。2度と夜に妄想しません。でも、素晴らしかったな〜、いつか耐性が出来たらまたやって見よう。
「ねえ、彩月。どうして鼻血なんて出してたのよ?」
青山が心なしか、冷たい眼差しを向けながら聞いてくる。まさかばれたのか!?と思ったがそんな筈はない。俺はただの一言もそう思わせる発言などしていない筈だ。‥‥ないよね?でもこの眼差しはなんだ?女の勘という奴か?神様は何という高性能なレーダーをつけてくれたのだ。厄介極まりない。ここは、男の尊厳を守るため何としても隠し通すぞ。
「それはですね、布団でのぼせちゃったんだよ。」
「‥‥。」
俺のバカ! 布団で上気せる奴がいるか!青山の眼差しが20°Cほど下がった気がするのは気のせいだろうか?気のせいであって下さいお願いします!
混乱して龍太は、アホなことを口走る。
「と、というのは嘘で鼻をほじっていたら、勢い余って奥に刺しちゃって‥‥。」
青山は、もはや絶対零度もかくやというほど眼差しに加え、瞳孔が開ききっている。
「本当のことを言いなさい。」
もはや隠し通せる段階ではないと、龍太は確信した。ならここは正直に言って少しでも助かる可能性を上げたほうがいいだろう、そう思い包み隠さず全てを話した。
「色っぽいお姉さんの裸ワイシャツを妄想スキルを使って妄想したら、あまりの完成度に鼻血を出してしましました! これが真実であり、噓偽りなど一切ありません。つきましては、減刑をお願いします!」
全力の土下座である。
龍太の正直な告白を聞いた青山は、ニッコリと笑った。
どうやら龍太の願いは聞き届けられたらしい。
「よく言いました。いいわよ、氷ずけで許してあげるわ。」
「ちょっと待って、それって減刑されてるんですか!? 全くされてる気配がないんですけど!」
「何言ってるのよ、火炙りからの、氷ずけよりましでしょ?」
「ほんとだ〜、さっすが〜青山さん。アハハハ」
もう泣き笑いの龍太である。
「全てを凍てつかせる氷帝よ、このものを氷の牢獄へ【アブソリュート】」
青山の手に出現した魔法陣から全てを凍てつかせる風が吹きさらし、龍太を凍りつかせる。
「イヤアアアアアア!!」
その断末魔を残し、龍太は氷像になった。ちなみに、龍太の氷像は朝食の間クラスメイト達の前に飾られ続けたのだった。
次こそ、デート回です。今日中に投稿します。




