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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
19/220

妄想は程々に

俺は、ゲイボルグの開いたままの瞼をそっと手で閉じ立ち上がった。


「ゲイボルグお前は、これまでにない強敵だった。俺も一歩間違えたら死んでいたかもしれない。だが俺はお前に勝って生きている。そしてこれからも勝ち続ける。だから誇り高く逝ってくれ。さよならだゲイボルグ。」


生きよう、生き続けよう。俺が殺したゲイボルグのためにも。俺は戦いを通して、友となった強敵を地面に横たえ決意を新たに立ち上がり、ずっとこちらを見ていた青山に話しかける。


「行くぞ、青山。」


ただそう告げ、歩き出す。しかし突如青山に頭をはたかれた。


「あんた、アホなの!? アホなんでしょ!」


いきなりそんなことを言い出す青山に、俺は何だ?という視線を送ったが、睨み返された。


「いきなりゴブリンと話し始めたと思えば、なにバトル漫画みたいに激闘始めてんのよ!それに何が「俺は凄腕の戦士の名前を聞かずにはいられない性分なんだ。」っよ!あれが凄腕の戦士だったら世界は軽く滅びてるわ!」


そう捲したてる様に言う青山。だが、かなり我慢してたらしくまだまだあるらしい。


「それとゴブリンの名前! ゲイボルグ? ふざけてんの!? 何でそんなにいかにも強そうな名前な訳!?」


「い、いやそれはそのかなり強かったし、ゲイボルグって名前はゲイボルグが言ってたし‥‥。」


あまりの剣幕に、だんだんと尻すぼみになっていく。正直かなり怖い。しかし止まらない青山。


「そこが謎よ! 何で急にゴブリンの言葉がわかったわけ!? 」


「激闘を通して体で語り合ったからだと思います。」


「はあ? そんな訳ないじゃない! あんな素人丸出しのチャンバラで語り合り合えるようなら言語の価値がゴミ以下になるわ!」


何だと!たとえ青山でも漢の戦いを汚すことはぜったいに許さない!


「青山! 俺たちの血が滾るような戦いが嘘だとでも言うのか! 」


「そうよ! あんなヘロヘロの突きで何言ってるのよ!」


ん? 何か青山との認識が食い違っているぞ?俺の突きは確かに軽く音速は超えていたはずだ。

しかし青山はヘロヘロの突きだと言う。

俺が間違っているというのか?いや、それはない。

俺はしっかりとこの目で見ている。

まるで俺が妄想をしてるかの様なことは、起こりえ、る‥‥。

お前か、妄想‥‥。

一体いつ発動したんだよ‥‥。

俺はそのことに気付きズーンと項垂れる。


「本当に現実と見分けつかねえじゃねえかよ。妄想。 流石神レベルなだけあるぜ。」


あ、目から涙が‥‥。あの戦いが全部妄想だったなんて、はあ〜。


「青山、ごめんいつの間にか妄想が発動してたみたいだ。あの戦いは、ゲイボルグは、俺の妄想だったんだよ‥‥。」


俺はシクシクと涙を流し、地面を濡らす。


「彩月‥‥。 でもほら! 何処までが妄想だったかなんてまだわからないじゃない!戦闘の部分は妄想だったかも知れないけど、もしかしたらモンスター言語とかそんな感じのスキルを取得してるかもしれないわよ?」


青山がそう必死に慰めてくる。そうだよなまだゲイボルグが妄想なんて限らないよな!


「そうだな青山、ステータスを確認してみるよ。【ステータスオープン】」


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



名前 彩月龍太 暦年《826》


年齢 16


職業 勇者(笑)


lv.2


[体力] 111

[魔力] 111

[智力] 56

[攻撃力] 56

[防御力] 56

[俊敏力] 56

[耐久性] 56


スキル 妄想〈lv.極〉 睨む〈lv.1〉 歩く〈lv.3〉 モンスター言語〈lv.4〉


称号 毛が生えた農民(爆笑) 召喚されし者 妄想を極めし者



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


あった、あったぞモンスター言語!

ゲイボルグは妄想じゃなかったんだ!

俺はそれを確認してふう、と息を吐く。


「あった? 彩月?」


心配そうに青山が顔を覗き込んでくる。

俺は、青山に向かって頷いた。


「あったよ、ありがとう青山、青山が言ってくれなかったら気づかなかったままだった、何かお礼をさせてくれ。」


俺は青山に感謝の気持ちを込めて頭を下げた。

俺のお礼の部分を聞いた途端青山は、目を輝かせた。


「なら、今度の休み城下町に行きましょ!それがお礼でいいわ!」


今度の休み?そんなのあったか?まあいいや、どうせ俺が聞いてなかっただけだし。

よくあることだ。


「ああ、それでいいなら。」


「ほんと!? 絶対ね! 」


ものすごく喜んでくれてるな。今度からお礼とは言わず機会を見て連れて行ってあげよう。

さて、青山とのデートの約束は、置いといて今はステータスについて考えないとな。

能力値は、体力、魔力共に10ずつ上がり、攻撃力、防御力、耐久力、俊敏性は5ずつあがっていた。

スキルは、モンスター言語ゴブリンlv.4を取得し、歩くがlv.3に上がっている。

歩くはまあ歩いてたから上がってたんだろうなとしか言えなし、モンスター言語ゴブリンについては詳しくはわからないな。戦いを通じて取得したと思いたい。


しかしゲイボルグ(ゴブリン)を倒しただけでlv.2にあがるとは‥。

魔物を狩る方が効率がいいのは本当らしい。

あの地獄の訓練所100週は何だったんだ‥‥。


「さあ、青山行くぞ。そろそろ別の魔物を探しに行こうぜ。」


さっきからずっと、何処何処にいくやら、何々を食べたいとブツブツ言っている青山の肩を叩く。


「あ、うん、もういいの彩月?」


「ああ、魔物を狩る方が効率が本当にいいらしいからな、もっと強くならないと。」


「わかったわ、彩月。 それじゃあ行きましょうか。」


青山は立ち上がり、森の奥に向け歩き出す。

それに俺は歩いてついてく。


‥‥この時の俺はゴブリンは普通の見た目してたな〜じゃあスライムはどんな見た目してるんだろ?と呑気なことを考えていた。

森の奥に最恐のモンスターがいることなど知らずに。


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