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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
161/220

人外の者共④

俺が両腕を振り下ろしたと同時に極大のプラズマキャノンは解き放たれる。物凄い勢いで 舞台に迫るプラズマキャノンを見て俺は笑みを浮かべた。


これでチェックだ。残り1つの瞳がどの様な能力を持った魔眼だったとしても、あの青い炎がどんな効果があるとしてもこれは防げない。舞台と共に消し飛べ。‥‥あ、殺したらまずいんだっけか? やっちまった! ノリノリでやってたから忘れてたー!


「こっちだ。お望み通り使わせてもらったよ。残り1つの魔眼を」


俺が急いでプラズマキャノンを止めようと手を翳していると真上から声が聞こえた。声の聞こえた方へと顔を向けるとそこには3つの瞳の全てに魔法陣を浮かべ剣に青い炎を纏わせたメフィストが剣を振り上げた体勢で構えていた。


いつの間に!? いったいどの様な能力なんだ! その魔眼は!


ドゴォォォォンと舞台に直撃したプラズマキャノンが起こした光が俺とメフィストを照らす。怪しくその光を反射し青く輝いている3つ目の魔眼を見てどの様な能力なのか推測していると、観測眼がメフィストが剣を振り下ろしてくる未来を捉えた。それを見た俺は魔剣を掲げて防ぐ。しかし、魔剣と剣が激突する直前にメフィストの剣が消え、代わりに俺の胴を薙ぐ軌道で剣は姿を現した。


「な!? 」


まずい、避けきれない! 重力バリアで防ぐしか‥‥


俺が目を見開き急いで体の周りに重力バリアを展開しようとするが発動しない。魔力を吸われている!? まさか!


メフィストの目を見て俺は納得した。重力操作を発動する魔力を赤い魔眼に全て吸われているのだ。それだけじゃ無い身体強化も解けている。残っているのは観測眼と聖具、魔剣のみだ。つまり、魔力を常に体に纏わせ使う身体強化と魔力で発動させている重力操作はアウトというわけか。


「私の勝ちだ。ハァァ!!」


俺が目を見開いて驚いているのを見て勝利を確信したのかメフィストは雄叫びを上げた。


それを聞いた俺はこめかみをピクリと動かし、腹に迫っていた剣を聖具に包まれている手で受け止める。掴んでいる手に青い炎が移りゴウゴウと燃えているが気にしない。熱いのを我慢しているという訳ではなく、熱くないのだ。俺の耐久力を突破する程の威力はないのか、それとも聖具が遮断しているのか知らないがこれはいいことを知った。つまり接近戦をしても問題ないという事だな。クハハハ 今までいいようにされていたお返しをしてやる。


俺は剣を掴んでいた手を引き寄せてメフィストの腹に蹴りを叩き込む。


「たかが身体強化と重力操作を封じたくらいでいい気になるなぁぁぁ!! オラァ! 」


「カハッ! 」


ベキベキと骨を折る感触が膝から伝わってくるが俺は蹴られたことで体が折れちょうどいい位置まできたメフィストの顔面をガシっと鷲掴みにして腕にしなりを作り思いっきり舞台に投げつけた。


ドゴォォォォン!!


メフィストが舞台に叩きつけられ、口から血を吹き出したのを見た俺は身体強化が戻っている事に気付いた。なるほど、あの魔眼は効果範囲はかなり狭い様だな。これで2つ目の魔眼の効果がわかった。次は最後の魔眼の正体を暴いてやる。


「【グラビティソード】【剣術:瞬突】【剣術:瞬突】【剣術:瞬突】‥‥」


グラビティソードを発動した魔剣でメフィストを外側から囲んでいく様にコンマ数秒という間隔で瞬突を放った。


ズドドドドドド!!


俺の放った瞬突はさっき放った極大のプラズマで既にボロボロの域を超えていた舞台を蜂の巣にした。しかし、そこにメフィストの姿はない。さてどこいったか。


俺が舞台に視線を巡らせていると、真横から直径5メートル程の青い火球が迫ってきた。それに俺は手を翳して握り潰す。


青い火球はドゴォォォォンと炸裂し辺りに爆風と青い火の粉を撒き散らして消え去った。


キラキラと青い火の粉に包まれながら俺は青い火球が飛んできた方向に目を向ける。するとそこには剣を此方に突き出した状態で息を荒げているメフィストがいた。それを見た俺はメフィストに体ごと向け口を開く。


「なるほどな。その魔眼、時間を止める若しくは自身を加速させる能力だな。でなければあの攻撃の中を避けれるはずが無い。これだけ聞けば強力な能力に聞こえるが、致命的な欠点があるらしい。」


そう言った俺は額に汗を浮かべ、息を荒げているメフィストに魔剣の剣先を向ける。


もう勝負は決した。メフィストの青い炎は俺の防御力を突破できないし、メフィストの魔眼の能力はすべて俺に割れた時点で詰みだ。ここからは唯の蹂躙となる。とっと決めさせてもらおう。


「はぁはぁ、当たり前だ。強力な力を行使するにはそれ相応の対価が必要なのは常識なんだよ。それなのにお前はポンポンと技やスキルを連発しやがって魔力どうなってるんだ。」


魔剣突きつけた俺に合わせる様にメフィストも剣を構えて俺においおいとばかりに言ってくる。それに俺は首を振ってキリッとした顔を作り応えた。


「何言ってるんですか。払いましたよ。この力を得るために大切なものをね。」


男の尊厳を対価に払ってな! こちとりゃ毎日毎日魔力欠乏症を起こしているからMになり掛けてるんだよ! もう寝る前に魔力欠乏症を起こして頭痛にならないと落ち着かなくなっているんだ! 分かるか俺の気持ちが!?


「お、まえいったい? いや聞かないほうが良さそうだな。」


俺の顔を見たメフィストは驚愕の表情を作り聞いてきたがフッと笑って首を振った。分かってくれたらしい。よかった。俺もMになり掛けているんですなんて言いたくないからな。


「ええ、そうしてくれると有り難いです。さて続きと行きましょうか。」


一言お礼を言ってから指を鳴らし、メフィストを取り囲む様にプラズマキャノンを大量に生み出す。これで逃げられまい。魔力を吸収する魔眼は魔力で直接生み出してないプラズマは吸収できないし、観測眼でたとえ未来が見えたとしても同時に全方向から攻撃されれば避けようがない。それは青い魔眼も同じことだ。たとえ時を止めようと、自身を加速させようと無駄だなこと。俺の勝ちだ。


「‥‥アハハ、いや本当どういう魔力してんの。驚きが一周まわって驚かなくなっている自分が怖いぞ。」


メフィストは自分を取り囲んでいるプラズマキャノン達を見て乾いた笑みを浮かべる。だが目に諦めの意思は宿っていない。逆にさっきよりの不屈の精神の色が強くなった。


さすがSSランクと言ったところか、尊敬するぜ。


俺は心の中でメフィストに賞賛を送ってから再び指を鳴らしすべてのプラズマキャノンを発射した。


「【蒼炎乱舞】! 」


一斉に迫るプラズマの壁にメフィストは青い炎を纏った剣を踊る様に振り対抗するが、さすがに全方向から迫るプラズマキャノンにすべて対応する事は出来ない様でかなりの数のプラズマキャノンをその身に受けている。プラズマキャノンの嵐が止んだ頃にはメフィストは片手をぶらんとさせて全身血塗れになっていた。


しかしメフィストまだ健在だ。意識を保っているし、何よりまだ諦めていない。


それを見た俺は一気にメフィストに詰め寄り、胸に手を当て技を発動する。


「【体術:浸掌】」


手のひらから放たれた衝撃波はメフィストの体の隅々まで伝わり内臓を破壊し、脳を揺さぶる。


その技を受けたメフィストは口から血を流し気を失ってドサリと舞台へと落下した。舞台へと落下したメフィストが動かないことを確認したマイクさんが俺の勝利を告げる。


『龍王剣舞歳決勝! 勝者ルディア・ゾディック! 』


「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!! 」」」

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