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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
160/220

人外の者共③

「そんな技を持っておきながらよく僕に派手とか言えましたね。貴方も大概派手じゃないですか。僕よりもキャラ立ってません?」


俺がおちゃらける様に言った言葉にはメフィストは眼を閉じ口を開けて笑う。いま思ったんだがこの人の笑いの沸点低くないか? なんでもかんでも笑っている気がするんだが。


しばらく笑ったメフィストは眼を開ける。うお! いきなりその眼で見るなよ。びっくりするじゃないか。苦手なんだよね。そういうの。


「ふぅふぅ、それを言われると痛いな。そろそろ始めるとしよう。」


俺がメフィストに眼を向けられてドキッとしていると、メフィストが腰に差していた剣を抜き放ち言ってきた。それに俺は頷いて魔剣を構える。


「そうですね。観客達も待ちきれないでしょし。」


魔剣を正眼に構えた俺と、剣先を地面につける独特の構えをしたメフィストはお互いに睨み合う。そんな俺たちに合わせる様に先程まで騒がしかった闘技場に異様な静寂が訪れた。風が吹く音が聞こえる。その風に吹かれて舞台を転がる小石の音も。コロコロと転がり、やがて舞台から落ちた。それを合図として俺とメフィストは同時にドン! と踏み込む。


「ハッ! 」


魔剣を上段から振り下ろす。シュッと風を切り裂きながら迫る俺の魔剣にメフィストは3つある内の金色の瞳に魔法陣を浮かべてから体を横に逸らして避けた。それを見て俺は眼を見開く。


まさか、魔眼なのか!? しかもあの色と魔法陣俺の観測眼とそっくりじゃないか! まさか他の瞳も‥‥


まさかと他の瞳に目を向けているとメフィストが手に持った剣に体に纏っている青い炎を纏わせて横薙ぎに振って来る未来を捉えた。それを見た俺は急いで上に飛び避ける。


俺がいた空間を薙いだメフィストの攻撃はただの攻撃ではなかった様で剣から青い炎の斬撃を出し、直線上にあった壁に激突して爆発を引き起こした。


それを俺はメフィストのはるか上で逆さになりながら見て顎に手を当てる。


ほうほう、上に逃げてて正解だったな。あのまま避けずに受けていたら、ドッカンしていた。まあ攻撃を受けても傷つかない自信があるが、得体の知れない攻撃を受けるほど俺はアホじゃないし、なんか気持ち悪いから受けたくない。気持ち悪いは冗談としてあの金眼、俺と同系統の魔眼だな? そっくりだし、動きからしてそうだろう。俺の動きをあらかじめ知っている様な感じだった。しかし、これはまずいぞ。あれが魔眼という事になると、まだ残っている2つの光っている瞳も魔眼か。クッソ厄介だな。あの青い炎も何かありそうだし。ここは近づかないで叩き情報を引きすが吉か。そうと決まれば‥‥


俺は手のひらをメフィストに翳し重力操作で重力を掛ける。


ズゥゥゥゥゥン!!


「クッ!! 」


べコンと凹んだ舞台の真ん中で舞台に剣をさし、膝をついたメフィストを確認した俺は体の周りにバスケットボール大のプラズマキャノンを5つ発生させた。5つのプラズマ達は俺にバチバチと早く獲物をと訴えかけてきている様だ。俺はその要望に答える様にメフィストに翳していた手を横に振ってプラズマ達を発射した。


「【プラズマキャノン】 」


勢いよく発射された5つのプラズマ達はゴゴゴと勢いよくメフィストに迫っていく。


さてどう対応する。このままだと死ぬぞ?


「なんてね。ハッ! 」


俺はどんな反応も見逃さないとばかりに目を見開いてメフィストを見ているとメフィストがいきなり立ち上がり剣を構え5つのプラズマと対峙しすべてのプラズマを青い炎を纏わせた剣で切り裂いた。そのメフィストの目は3つある瞳の内の2つに魔法陣が浮かんでいる。金色の目と、赤色の目だ。


やはり魔眼だったか。しかし、同時に発動なんて出来るのかよ。なんてチート臭漂う野郎だ。羨ましいこと山の如しだぞ。さてくだらない事は置いといて、あの赤い方の能力はメフィストが動けていることから身体強化するタイプか、魔力を無効化若しくは吸収するタイプだな。


自分に対する攻撃を無効化するなんてものじゃないはずだ。何故ならそれだったらプラズマキャノンを剣で捌いたりはしないもんな。メフィストがわざわざそう誤解させるためにわざと剣で捌いた可能性も捨てがたいが、それを考え出したらきりがないので頭の片隅に留めておくだけにしよう。


よし、大体のメフィスト攻略の道筋は掴んだ。ガンガン行かせてもらうぜ。


「さすがです。SSランクという事は有りますねですがこれが防げるでしょうか? 」


逆に浮かんでいた姿勢を元に戻し、両腕を上に掲げてそこに特大のプラズマを作り出していく。ハハハ!! これ程のプラズマを前に3つ目の魔眼を隠していられるか!?


「おいおい、なんて出鱈目な事しようとしてんのさ。早くもおじさんの目の事わかっちゃったのかな? 」


金色の瞳に魔法陣を浮かべたメフィストはまだ余裕という表情を浮かべならが俺を見上げてくる。


「さてどうでしょう。3つ目の瞳の事を教えてくれるのでしたら教えて差し上げますよ。」


ニヤリと口元に笑みを浮かべて言った。しかし、メフィストも口元に笑みを浮かべてから返してきた。


「お前いい性格しているな。」


「相棒によく言われます。教えて貰えないなんら仕方ありませんね。自分で調べるとしましょう。」


十分に大きくなったプラズマを確認した俺は両腕を振り下ろす。

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