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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
158/220

人外の者共①

舞台へと出る所でマイクさんに呼ばれるのをメフィストさんと待ちながら胸に手を当てて胸の鼓動を調べるとトクントクンと通常の鼓動が聞こえてくる。どうやらやっと元に戻ったらしい。しかし、なんであんな事をいきなりやってきたんだろう? 冷静に考えていつものアリウシア様からは考えられない事だ。そんな技術を持っていたとも思えないし。まさか天然であれをやったというのか!? う〜んでもなんかしっくりこないんだよな。背後に何かが見え隠れする。なんだろう? まあいい、どっちにしても決勝が終わったら落とす事に変わりはない。


「ほほう、君も緊張するんだね。てっきりそういうものはしないものかと思ってたけど。」


俺が胸に手を当てたまま決心しているとメフィストさんが話しかけてきた。どうやら、胸に手を当ててる俺を見て緊張していると勘違いして緊張を解くためにわざわざ話しかけてくれたようだ。しかし、緊張している訳ではないので俺は首を振り答える。


「いえ、これは女の子から精神攻撃を受けまして。今し方やっと治ったところなんですよ。」


胸に手を当てたまま真顔で答えた俺を見て目をパチクリとさせたメフィストさんは次第に笑い出した。ツボにはまったのかゲラゲラと笑っている。


む、失敬な笑い事じゃないんだぞ。心臓破られると思ったんだからな。


むすっとし始めた俺を見てようやくメフィストさんの笑いが治った。


「ふぅふぅ、これは失敬。しかし、聖魔ルディアに手傷を負わせるとはかなりの手練れみたいだな。」


「ええ、常人なら一瞬で落とされていたでしょう。」


目に浮かんでいる涙を指で払いながらそう言ってきたメフィストさんに俺は目を瞑りながら首を左右に振って答えた。するとまたゲラゲラと笑いだして、今度は転げ回っている。


俺がそんなメフィストさんを見て此奴試合でボコボコにしてやる思っているとマイクさんの声が聞こえてきた。


『みなさんいよいよ長いようで短かった龍王剣舞祭も今日で最終日を迎えました。今日行われる試合はたった1試合です。1試合とだけ聞いてしまえば え? 物足りなくない? となるでしょうが内容が違います! そう! 決勝です! 王国の最強を決める決勝戦です! 物足りないはずがありません! いえ、これまでの試合よりさらに白熱した戦いが見られるでしょう! さあ出てきてくれ! まずはルディア・ゾディック選手! 』


「「「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」」」


「「ルディア! ルディア! ルディア! 」」


「「ルディア様〜! ルディア様〜! 」」


俺がマイクさんの合図と共に舞台へと出ると今日が最終日という事もあって昨日とは比べ物にならないほどの熱狂的な歓声が上がった。昨日はうるせえとか思っていたが、この声援が今日で終わりと考えると寂しいもので全然気にならなくなった。ルディア教の連中の歌も気にならない。気にならないったら気にならない。


『ルディア選手は7歳という若さ、とは言えませんね。7歳という幼さで龍王剣舞歳に出場しバッタバッタと強者達を倒してきた神童です! 力の限界は未知数、これまでの試合もどこか余裕を残していたように見えます! 決勝そのベールが脱がれるのか楽しみです! 』


観客達の声援に手を振り答えているとマイクさんが俺の説明をした。それを聞いて俺はニヤリと笑う。


見せてやるさ、メフィストをボコボコにするためにな! ハッハハハ!


『対するはSSランク冒険者メフィスト選手です! SSランク冒険者といえば人外の領域に足を突っ込んだ者達。しかもこちらもこれまでの試合をみるにまだまだ力を隠している様子。ああ楽しみになってきました〜!』


「「ウオォォォォォ!! 」」


俺が心の中でどやってボコしてやろうかと考えているとメフィストが出てきた。目に涙が浮かんでいる事から呼ばれる直前まで笑い転げていたのだろう。ああ、あの顔殴りたい。


『恐らくルディア対策だろう。 手の内を隠すとはメフィストらしいな。』


ん? メフィストらしい? お祖父さん、メフィストを知っているのか? ん〜知り合いかな? まあいいや知り合いだったとしても今まで封印していた技を解放する事に戸惑いはない。存分に痛ぶってやろう。


俺が指を一本ずつボキボキと鳴らして口元に悪い笑みを作っているとマイクさんが試合開始の合図を出す。


『さあ! そろそろ試合を始めてもらいましょう。龍王剣舞歳 決勝戦試合開始! 』

メフィストとの戦いどう展開していこうか‥‥悩む

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