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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
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食前のデザート

闘技場でカシアさん達と別れた俺は宿で暫くゴロゴロしてから夕方になるのを見計らって外に出た。宿を出た俺は左手に見えるアイスクリームを売っている屋台に寄る。少し小腹が空いたのだ。


「坊っちゃまご飯前にアイスクリームを食べるのはどうかと思いますが。ご飯が入らなくなりますよ? 」


そんな俺を見てアリアがいけませんと窘めてきた。


う〜ん確かにそうだけどアイスも食べたしな〜 あ、そうだ。なら3人で分ければ良いか。それならアイスも食べれるし、夜ご飯に影響を与える事はない。


そうと決めた俺はアリアとアイリスに向き直って提案する。


「じゃあ1つのアイスを3人で分け合って食べない? そうすればアイスも食べれるし、夜ご飯にそこまで影響を与える事はない。どうかな? 」


俺の提案を受けたアリアとアイリスはサッと俺から離れて話し始めた。一体なんだと思うがあっとなる。アイスを食べたい一心で提案したがもしかしてこれって間接キスだよね? と。


それに気づいて恥ずかし! と心の中で悶えているとレヴィがイライラとした声色で話しかけてきた。


(本当気づくのが遅いわね。 いつもはそういう事に機敏に反応する癖にこういう時にだけ鈍くなるのってなんかイライラするわ。)


仕方ないだろ。 アイスに目がいってたんだから。あとなんだよイライラするって更年期障害か? いやそう言えばお前ってかなり長く生きているから更年期なんて呼べる歳じゃないな。


(へ〜良い度胸じゃない。 いいわ、教えてあげる。女性に年齢の話をしたらどうなるかを‥‥)


俺が思わずといった具合で言ったことにレヴィは声に特大の怒りを滲ませながら返してきた。


やっべ、女性に年齢の話題は禁句だった! しかもレヴィほどの歳をくった女性には核弾頭にロケットランチャーを打ち込むも同じだ。ここは素直に謝ろう。さもないと俺の命が危ない。


本当すみません! そういうつもりじゃなかったんです! 許して!


(‥‥あなた心の声が全てドストライクに私に届いていること忘れてないかしら。まあいいわ。今回だけは許してあげる。でも次行ったらシメるからね。)


どうやってシメるか知らないけどありがとうございます!


そうだった、て事はあの事全て聞いて尚許してくれたのか。まじエンジェルだな。


俺が心の中でレヴィにお礼を言ってから意識を切り替えて遠くでヒソヒソと話しているアリア達へと意識を向けると話し声が聞こえてきた。


「‥‥それってつまりアレよね。レーティシア。」


「うん、アレだね。 なら‥‥」


「「アイスクリーム食べましょう! 」」


アレとは間接キスの事を指すんだろうなと考えているとアリアとアイリスが話し終わったのか戻ってきて同時に言い放った。それを聞いた俺はアイスクリームを売っているおばちゃんに話しかける。


「おばちゃん、これひとつ頂戴。」


「あいよ、ひとつねぇ。銅貨3枚だよ。」


「ありがとう。」


俺の注文を聞いたおばちゃんは鍋の中のアイスクリームをへらのようなもので掬いコーンに盛り付けて渡してきた。俺はそれを受け取り、銅貨3枚を手渡してから露店をあとにする。


「また来ておくれぇ〜」


後ろから聞こえてくる露店のおばちゃんの声を聞きながら手に持っているアイスクリームをぺろりと舐める。するとひんやりとして甘い味が口に広がった。


「うん美味しい。」


少し物足りない感じがするけど誤差だ。もう一回アイスクリームを口に含んだ俺はアリアにアイスクリームを手渡すためにはいっと差し出す。


「アリアとアイリスも食べな。」


アリアは俺の差し出したアイスクリームを見て少し屈み髪を耳にかけながらパクリとかぶりついた。


あれ、手渡すつもりでやったんだけど。まあいいかアリアの髪を耳にかける仕草が見れたしな。


「本当に美味しいですね〜。」


俺が心のフォルダーに先程のアリアの仕草を保存していると姿勢を戻したアリアが口に手を当てながら美味しいですねと笑いかけてきた。あ、その表情も保存しとこ。


「ルディ、私も私も! 」


アイリスが俺の裾を引きながら言ってきた。その小動物のようなアイリスに苦笑いしてアイスクリームを口の前に持って行ってあげる。


「はい。」


「美味しい〜 」


それを見たアイリスは目を輝かせてアイスクリームをペロペロと舐めた。よほど気に入ったのか両頬に手を当てて美味しい〜と悶えている。気に入ったようだ。


明日もあそこでやっている様なら買おうかなと考えながらペロリとアイスクリームを舐めるとアリアとアイリスが2人とも顔を赤くした。それに俺は首を傾げる。


なに2人とも今更恥ずかしがっているんだ? 自分たちも俺の口つけたの舐めただろ。ああそうか、俺に舐められるのが恥ずかしいのね。可愛いな。


少しにやけた口元をアイスクリームで隠しながら歩いていると前にまんぷく亭が見えてきた。それを見た俺は急いで残り少なくなったアイスクリームを食べてアリアとアイリスに話しかける。


「アリア、アイリスまんぷく亭が見えてきたよ。今日はタダらしいから存分に食べよう。」


「ああまた今日もお肉か大丈夫かな? 」


「ステーキ食べたいな〜 」


アリアはお腹を触りながら心配そうな声色で呟き、アイリスは腕を振り上げステーキと言っている。


流石にアリアは年頃か、そこまで気にするほどでもないと思うんだけどね。


俺はアリアをちらりと見てそう思いながら、まんぷく亭のドアを開ける。しかし、店内を見た俺はドアを開けていた手を途中で止め絶句した。


「なんじゃこりゃ‥‥」

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