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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
124/220

回避ルートは突然に

「僕達も見に行こうか。」


アイリスの頭から手を離し、露店でキャッキャと楽しそうに買い物をしているアリアとアリウシア様を見て言う。 適当に指差した露店だけどかなり楽しそうだ。

品揃えが良いのだろうか?


「そうだね。 あ、指輪以外にも何か売っているよ。」


アイリスは綺麗な髪飾りを指差し目を輝かせる。 やはり女の子はキラキラした物が好きなのだろう。


俺は歩きながら綺麗な装飾品に目が釘ずけになっているアイリスを見てそう確信する。

あ、そうだ。 あのお仕置き執行人達にもこれをプレゼントしたら何とか許してもらえないかな?

手紙送り忘れていた俺も悪いけどそもそもあのクソジジイが突然言い出したのが悪い訳だしいざとなったら全てクソジジイに擦りつけてやろう。


俺が口元にフッフフと邪悪な笑みを浮かべていると露店についたのでその笑みを引っ込め楽しそうに話し合っているアリウシア様とアリアに話しかける。


「アリウシア様、アリア何かいいのあった? 」


「あ、ルディア様! これキラキラしていて凄い綺麗ですよ! 」


「これもいいですね。 真ん中に使っているクリスタルがとてもいいです。」


そう言ってアリウシア様は真ん中に宝石があしらわれたキラキラと輝く指輪をアリアはクリスタルに黒い紐を通したシンプルな首飾りを見せてきた。


ほー、ものすごい出来だな。 露店のクオリティとは思えない。

そもそもこの世界に此処までのものを作る技術があるのか? それとも、スキルか?

どっちでも良いがとても良いな。


「確かに良くできているね。とても綺麗だ。アイリスもなにか選んでいいよ? 今日は僕がみんなの分を買ってプレゼントするから。」


隣で顎に人差し指を当て商品を眺めていたアイリスに俺はそう笑顔で言う。


「え、いいの? 」


「いいから。」


「ありがとう! ルディ大好き! チュッ 」


まさか買ってもらえるとは思っていなかったのかアイリスは大はしゃぎだ。抱きついて頬にキスしてきよった。


「本当に宜しいのですか? 坊っちゃま。」


「私も、ですか? 」


俺が熱くなった頬を隠すように手で摩っているとアリアとアリウシア様がそう聞いて来る。


「アリア言ったでしょみんなの分って。 アリウシア様も勿論です。 これはアリウシア様とのデートですので僕にプレゼントを贈らせて下さい。少し質素なものになりますが。」


「ありがとうございます坊っちゃま。一生大切にしますね。」


「質素なんてとんでもないです。 ルディア様からの贈り物という事だけで私は‥‥。い、いえ何でもありません。とにかく有難うございます。」


花が咲き綻ぶような笑顔でお礼を言って2人とも商品選びに戻った。 さて俺も選ぶか、絶対に納得するもの選ばないとな。俺の命が危ない。


俺は背中に冷や汗を浮かべ、どれにしようかなと綺麗に並べられている商品に目を向けて選んでいると職人気質と言った店主が少し伸びた顎髭を摩りながら話しかけてきた。


「坊主末恐ろしいな、その年で女の扱いに慣れてやがる。 おっちゃんに教えてもらいたいものだな。」


「そんな事ありませんよ。それよりこれらはおじさんが作ったもので? 」


それに対して俺はちらりと視線を向けただけで素っ気なく答え、置かれている商品を指差してそう聞く。言えない、前世で画面の向こう側の女の子達と話していたから慣れているんですよとは。


「あ? 全部自家製だ。」


「凄いですね。 手作りとは思えない精巧さです。 」


目の前に置かれた小鳥のデザインをした髪飾りを手に取り眺めてそう言う。しっかし本物そっくりだな。スキルなのかな〜どうなのレヴィ? 実際にそういうスキルあるの?


(あるわよ。鍛冶スキルね。なに? 取得したいの? )


まあね。武器とか作りたくてさ。 色々面白いの作れると思うんだよね〜。


(ふ〜ん。 まあ頑張りなさい。)


え? 教えてくれないの!?


(ふん! )


ちょっとレヴィさんどうして怒っているんですか!

レヴィさん、 レヴィさ〜ん! ダメだシカト決めやがった。いいし〜自分で何とかするし〜


しかし何でレヴィは怒ったんだろう。謎だ。俺が心の中で首を傾げていると店主が指で鼻を擦りながら自慢げに言って来る。


「おお、坊主には分かるか。 手の器用さには自信があるのよ。」


オヤジが頬を染めている姿を見て少しゲンナリしながら商品選びに戻っているとチョンチョンと肩を叩かれた。 アリア達が選び終わったようだ。


「ん? みんな買うもの決まったの? 」


「「「はい (うん)」」」


なるほどなるほど、アイリスはアリアが持っていたクリスタルの首飾り、アリアは雪の結晶のデザインの髪飾り、アリウシア様はカチューシャか。


「うん凄く似合っているね。 アイリスのお人形さんみたいな可愛らしさにさらに磨きが掛かってとても綺麗だし、アリアは絹のような髪に碧色の髪飾りがとても映えていて少し子供に悪い色気が漂ってくるね。 アリウシア様はいつもの凛とした雰囲気から打って変わって抱きしめたくなるような愛らしさだ。」


「エヘヘ、綺麗って‥‥。」


「もう坊っちゃまったらお世辞がうまいんですから。」


「だ、抱きしめたくなるって、ほ、本当に? 」


各々顔を赤く染めて照れている。ふーよかった。 褒め言葉としてはOKだったらしい。

ここでしくじったら悲惨な事になるところだったぜ。


「お、おう坊主お前本当に凄いな。 為になるもの見せてもらったから割引してやるよ。」


俺が密かに額をふぅと拭っていると店主が声を詰まらせながらそう言ってきた。

割引きしてくれるのか有難い。 しかし、褒め言葉を披露して割引きして貰ったのは俺が初めてではないだろうか。


「有難うございます。ではみんながつけているものとこれを‥‥。」


アリア達がつけているものに視線を巡らせてからさっき選んだ物を密かに店主に渡す。


「坊主まさか他にも‥‥。」


それを見た店主は信じられないとばかりに俺を見る。


「事情があるんですよ。男ならわかるでしょう? 」


それに対して俺は店主の目をじっと見て男の部分を強調して言う。


「ああ、分かった。別々に包装しとく。」


俺の無言の訴えが聞いたのか店主はただ頷いてそう言った。 だが少し足りないので俺は付け加える。


「プレゼント用にそれぞれ色を別けてリボンでお願いします。」


(徹底しているわね。)


最後にレヴィの呆れた声が聞こえたが気にしない気にしない。

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