たしかあれであれなものだったような
「ルディ! カッコ良かったよ! あと本戦出場おめでとう! 」
そう言って観客席にやってきた俺に抱きつくアイリス。 少し顔に柔らかさを感じる。
前言っていた様に確かに膨らみ始めているようだ。
「坊っちゃま、おめでとうございます。」
そうムニムニと当たってくる胸を俺が冷静に分析していると、遅れてアリアがアリウシア様を連れてやってきた。
アイリスはアリアがアリウシア様を連れてやって来た事で俺を離す。 少し残念に感じるのは俺がロリコンなのではなく男だからだと思いたい。
「ありがとうアイリス、アリア。」
心の中でそう思っている事を顔に出さずに笑顔でそうお礼を返す。
「ルディア様流石ですね。 でもまさか他の出場者達全員を相手にするとは思いませんでしたよ? 」
アリウシア様は後ろに腕を組んで覗き込み言ってくる。
そう言われてもお祖父さんがあんな実況したから、全員一斉に相手をせざる負えなくなっただけで本当は各個撃破していこうと思っていたんだ。でも結果的に盛り上がったのでよかったのかな?
「あれは、そうせざる負えない雰囲気にだったと言うか‥‥。」
「ふふふそうですね。 もしクリプトさん達がルディア様を避ける様な戦いをしていたらブーイングしていました。」
「ほら、そうじゃないですか。 」
「冗談です。 ところでルディア様はこれからどうするんですか? 」
そう首を傾げて聞いてくるアリウシア様。はて、これからどうするとはどういう事だろうか?
「どうするとは? 」
「ルディア様の試合は終わったのでここで解散するという事なのですが、あと13組ほどある試合を見ていきますかといういうことですよ。本戦に出場する人を見ておいた方がいい思いまして‥‥。」
俺が?と顔に浮かべながらそう尋ねると後ろにいる騎士学校の生徒、教師達を振り返りそう言った。
げ、そうだった。まだそんなに試合があるんだった。
俺はそんなに他人の試合を見たくないというか面倒くさいので適当な言い訳で逃げることとする。
「い、いやぁ〜僕は宿に帰ります。 少し疲れてしまいまして。」
俺が目を擦りながらそう言うとアリウシア様がジト目で俺を睨みつけてきた。
「面倒くさいんですね? 」
げ、バレてる。 何でだ?
「ア、アハハハ 」
「ルディア様、息を乱さないでしかも汗ひとつ掻いていないのにそんな事を言われてもまったく説得力がありませんよ? はぁ、まったくもう良いです。あ、そう言えばルディア様前に何でも1つ言う事を聞くって言っていましたよね? 」
「言いましたけど。」
確か、マドマーゼル先生のダンスの時だよな。 ま、まさか!?
俺は嫌な予感がして冷や汗を掻き始める。
「それではまだ時間もありますしこれから私とデートして貰えませんか? 実は私一度も城外で遊んだ事がないんです。 お父様が危険だからダメだって。でもルディア様と一緒なら安心です。 こんなにも頼もしいボディーガードは居ませんから。」
空を見上げてからニコリと俺に笑いかけてくるアリウシア様。
よかった〜。 ずっと今日は予選を見ていきましょう何て言われなくて。
俺の嫌な予感が外れる事もあるんだな、と心の中でホッと息を吐きながらアリウシア様の手を左手で取り右手を左胸に当て綺麗にお辞儀をする。
「喜んでお受けしましょう。アリウシア王女殿下。」
「有難うございます。 では行きましょう! 」
そう言って俺の手をグイグイと引っ張るアリウシア様。
それを見て俺は自分の頬が緩むのがわかる。 だが、そこで俺はふと思い出し冷や汗を掻き始めた。
あ、そう言えばデートってかなりあれであれなものじゃなかったっけと。
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