新たなチカラ
「それにしても、プッ、お前の頭すごいことなってんぞ。ファッションか?」
「え? 嘘!? なにこれ!」
ようやく頭の惨状に気づいたようだ。慌てて髪を整えている。
「雷、直撃しただろ?あれじゃないのか?」
「あっ、あー!」
みるみる顔が赤くなり、プルプル震えている。
「…なさい。」
ボソボソと言っていて全く聞こえない。
「何だって?よくきこえないんだけど?」
「忘れなさいって言ってんのよ!」
「そんなの無理だって。しっかり記憶しちゃったもんなー」
そう言うと目を見開き、どんどん光が消えていく。
「いいわ、私が今使える最大の魔法に魔力を全てつぎ込んで貴方を記憶ごと消し去ってあげる。」
「えっ?! ちょっ! まって! 何がおまえにそこまでさせるの!?」
「闇を統べし邪悪なる王よ、我は消滅を望む、全てを消し去り安寧をもたらせ」
聞くからにアブナイ魔法なんですけど!俺は慌てて青山の口を塞ぐ。
「ん~、むぐ、むぐぐぐ。」
「わかった、わかったよ。 すぐ忘れます、今すぐ忘れます。 はい忘れました~あれー、いままでなにやってたんだロー。」
それを聞いた青山の目にひかりがもどっていく。
「そう、それで良いの。 最初からそうしなさいよね。バカ」
「バカって言うほうがバカなんですぅーバーカ。」
「それあんたもバカってことになるわよ。」
「なに!? 謀ったな孔明!」
「青山よ。名前も覚えられないの?愚かね。」
さりげなくバカを使わない青山。
「グギギギギ」
腹が立ったので、【睨む】を使う。
「なに?」
結果、睨み返されて撃沈しました。
まあ、俺の睨みは小型犬と互角らしいし?仕方ないっちゃ仕方ないけど。……女の子に睨みで負けるって俺の存在ってなに?
「はい、では次は、龍太様と高木様お願いします。」
俺が途方にくれていると、処刑のお知らせが届いた。俺は、牛歩で試合を行う場所に歩いてく。すると突然頭のなかに無機質な声が聞こえてきた。
《歩くの熟練度が規定の数値を越え、lv.3にアップしました。これにより歩く:ムーンウォークが使用可能になりました。》
「ブフォ!ゲホゲホ」
え!?これが噂の声ですか!?突然止めてくれません?思いっきりむせたんですけど。それでこれは牛歩でレベル上がったんですか?……なんも言えねぇー
それにムーンウォークってなに!?あのムーンウォークなのか?いやまて、まだ早い。歩くスピードがアップするとか、かもしれん。とにかく確認してみよう。
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歩く:ムーンウォーク
まるで前に歩いてるかのように見せながら後ろにに歩く。
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まんまじゃん!使えねー、ぜんぜっん戦いに関係ないじゃん!こういうときにレベルアップするやつは使えるやつであるべきだと思うんですよ。ご都合主義発動求む!
…ないからこんな雑魚なんですよね~。わかります。
俺は歩くのを再開した。
「よぉ~、準備できてっか~、死ぬ準備をよ!あっひゃひゃひゃ」
止めなさい高木くん、はしたないですよ。それにしてもこいつ、地球にいる頃と性格変わりすぎじゃないか?
地球にいた頃なんて、話しかけたら目を合わさないわ、ドモルわでかなりコミュ障だったのに、今では世紀末の人みたいになってんぞ。
「頑張りなさいよ。負けたらぶっ殺すからね!」
ボコされてぼろ雑巾になってるうえで殺すとか鬼畜すぎだろ!
「殴るだけだ、それで終わる。」
それは、貴方だけです一緒にしないでください。(切実)
「頑張ってね~、私応援するから!」
ヨシッ、なにがなんでも勝とう!男には負けられない戦いがあるんだ!!
「僕も応援してるからね。負けないでよ?」
そう言ってウィンクしてくる。とりあえずそのウィンクをムーンウォークでかわす。結構使えるなこれ。まあ取り合えず、皆が応援してる事だし精一杯やりますか!
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