見つけたぞお前らか
俺たちが係りの人に先導されコツコツと通路を歩いていると、通路に大きく声が響き渡った。
『さて今年も始まりました龍王剣舞祭! 実況は私マイク・ベルキンとアークライト流剣術師範代 剣神ウォルフガンフさんでお送りします! 』
『よろしく頼む。』
‥‥何やってんのお祖父さん。それにこれって魔術でやっているのか? 凄いな。
『ウォルフガンフさん今年はなんとなんとの2813名と言う例年稀に見る参加者数ですが、どう見ますか? 』
『そうだな参加者名簿を少し見ただけでも猛者ばかりだ。 熱い戦いが見れるだろう。』
『皆さん聞きましたか!? 熱い戦いが見れると剣神からお墨付きを貰いましたよ! 』
「「「ウオオオオ!! 」」」
実況が興奮を煽りそれにまるで闘技場全体が揺れているかと錯覚するくらい大きい声援で観客が答えた。王都の人通りから予選では観客はいないと思っていたがかなりいるようだ。クソジジイは本戦に合わせて人が集まってくると言っていたので本戦ではこれ以上の声援が聞こえてくるのだろう。
嘘でしょ、鼓膜破れちゃうよ。
(あなた時々思うんだけど人とずれているわよね。)
スペシャルと言ってくれ。
俺はレヴィと話しながら通路を歩き前に見えてきた出口から石畳が敷かれた舞台へと出る。観客席を埋めつくさんとは行かないがこの闘技場はかなりの大きさなので結構な人数の人が見に来ているようだ。
遠くにアリア、アイリス、騎士学校のみんながいるのが見えたので一応手を振っておく。
あちらも俺に気づいたのか手を振り返してくれた。騎士学校の中で不機嫌な顔をして俺に手を振っていない奴が俺が嘘つきとか言っている奴らだな。よし覚えた。俺は目を光らせ口元を緩める。
そんな俺の表情を見て教師がえ! まさか見えているの!? とばかりに慌てて手を振らせようとしているがもう遅い、フッフフ。
さて、さっきから実況しているお祖父さんはどこだと目線を巡らせてみるとすぐに見つかった。
闘技場全体が見渡せるような場所にある特別席のような所にいた。成る程あの黒い棒がマイクのような役割を果たしているのか。
『さて最高に盛り上がってきた所で予選のAブロックの選手達が出て来ました。 ここで注目選手の紹介をしたいと思います。 まずはAランク冒険者、その屈強な体から繰り出される技は如何なるものも砕く! クラッシャーの異名を持つガルーダ! 』
そう実況に紹介されて俺の後ろに歩いていた金髪の男がフン! とマッスルポーズをとった。こいつがガルーダらしい。
「ガルーダ!お前に全財産掛けたんだ、勝てよ! 」
観客席からチケットのようなものを握りしめた男がそう叫ぶ。
へー賭博みたいなのもやっているのか。 俺も自分に掛ければ大儲け出来たのに。
『お次は大会と言う大会を荒らし、その絶対的な剣術から絶剣と称される凄腕の剣士クリプト! その美麗な容姿から繰り出される魔法は必見! 奏者シンセルニア! ‥‥‥』
次々に注目選手が呼ばれていき各々投げキッスや雄叫びを上げる。
ファンサービスという奴か。
『‥‥以上が注目選手 ん? なんだこれは!? 皆さん何ということでしょう! このAグループに巷で騒がれている破壊童子、天災、金閃、聖魔、学園史上最強の神童と称されるあのルディア・ゾディックが史上最年少出場者として参加しているそうです! これは大変なことになってきたぞー! 』
俺たちが舞台の真ん中に到着してそろそろ試合が始まるかという所で実況のマイクさんが手元にある紙を見て突然そう大声を上げた。
俺はそれを聞いてほっと息を吐く。ここであの忌まわしき2つ名が呼ばれなくて良かったと。
『ル、ルディアが参加しているのか‥‥。』
俺は胸を撫で下ろしているとお祖父さんが声を震わせそう言った。
俺が出場している事を知らなかったらしい。
『おやウォルフガンフさんルディア選手の事をご存知で? 』
『ああ、うちの孫がルディアと同じ学校に通っていてそれで知り合ってな。あやつの化け物具合は本物だぞ。』
「まじか 」 「あんな可愛い子がねえ。」 「ルディア君こっち向いて〜! 」
それを聞いて観客達が俺を見て驚愕の声を上げた。
最後のお姉さんには手を振って返す。
『おおっとー あの剣神も認める強さだ! ルディア選手が一体どんな戦いを見せてくれるのか非常に楽しみです。 では注目選手の紹介を終わった所でルールの説明に入りたいと思います。予選は200名によるバトルロワイヤルで最後に残った2人が本戦出場と言うシンプルなルールです。 目潰し、金的、相手を殺してしまったりした場合は失格となるので気をつけてください。制限時間は30分! では試合開始! 』
マイクさんの合図とともに出場者達が一斉に動き出す。 よし、暴れますか。
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