言葉の重み
今回は少ないです。
「完敗だ。まさか儂まで負けるとはな‥‥。クロエの事頼んだぞ。」
頭の一部分が若々しくなったお祖父さんが手を差し出しながらそう言う。
それに対して俺は笑顔で手を握り返した。
「はい、クロエの事はしっかりと守りますよ。 まあまだいろいろと早いですけどね。」
「アッハハハ! そうだな。 確かにまだ早い。 学校を卒業するまでは手を繋ぐまでにしておきなさい。」
ん、ん〜キスしちゃった事ばれないようにしないとな〜。
「そうですね。 それよりも最後の技、魔剣技でしたっけ? 凄かったですね。」
俺のブラックホールに簡単に飲み込まれちゃったけど、それはブラックホールが強すぎただけであの技もかなりの威力だったし、何よりカッコよかった。
ぜひどんなのか聞いてみたい。
「ああ、それはだな。 アークライト流剣術の秘伝に当たる技なんだ。 おいそれと教える事を出来ん。 すまな。」
目を逸らしながらそう言うお祖父さん。
そうか、そう言う事なら仕方ない。俺も教えられない事もあるしな。
「そうですか、変な事を聞いてすいません。」
「よいよい。ん? そろそろ帰る時間だ、門まで送ろう。 おい! 」
空を見てそう言い準師範の人達を呼ぶお祖父さん。確かに、もう空は茜色に染まっている。確かここに来たのが昼頃だったから、三、四時間は経ったのか。
気づかなかった。
「パ、パンダムなんだその頭は!? 」
俺が空は見上げていると、お祖父さんが素っ頓狂な声をあげた。
あ、そう言えばパンダムの頭を大変な事にしたんだった。改めてパンダムの髪型を見てみると所々10円ハゲの様になっていて後頭部に至っては髪は見受けられない。
うん、ヤヴァイ人の髪型だ。
でも、その、斬新でいいと思うよ俺は。ゾディック家1のヘアスタイリストと謳われる俺でも思いつかないくらい奇抜な髪型だからね。
「ガハハハハ!! いい、すごくいいぞパンダム! 」
「パンダム‥‥プッ! 」
「目を逸らしたくなるほど、素敵な髪型ですね。」
お祖父さんの素っ頓狂な声に準師範の人達もパンダムの現状に気づいたのか各々笑い始めた。
アリアとアイリスも、口を押さえて笑うのを堪えている。
「え? ななな、何だこれは!? 僕の自慢の髪がぁ! 」
最初のうちは? という顔をしていたのだが、自分の頭を触った事で気づきどんどん顔が青ざめていく。
「も、もう外に出られないー! 」
パンダムはそう叫びながら頭を隠して建物の中に走って行ってしまった。
それを見て俺は心の中でまた生えてくるんだから許してと合唱する。
まあ、俺が刈り取ったんだしあとで何か送ってあげよう。昆布とかワカメとか。
(あなた、止め刺しに行く気ね。)
やだな〜俺の事雑魚とか言った事を根に持ってないってば〜。
(持ってるんじゃない‥‥。)
俺が心の中でレヴィと会話していると走り去ったパンダムから目を逸らしたお祖父さんが俺に話しかけてくる。
「まったく髪型が何だと言うんだ、いずれ生えてくるだろうに。さて、パンダムが抜けてしまったが行くか。」
それに俺は貴方が言うと重みが違いますねと思いながらアリアとアイリスと一緒について行くのだった。
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