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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
110/220

容赦ないルディ

倒れた準師範の人達を傍にどかし寝かせた俺はその人達をアリアとアイリスに任せ、お祖父さんに振り返る。


「さて、お祖父さんやりましょうか。僕が勝ったらクロエとの事認めてくれるんですよね? 」


「初めて会った時に強いとは思ってはいたが、まさか準師範達をこうもあっさりと倒してしまうとはな。 その年でそれほどの力を持つか。お主はその力を何に使う? 」


そう腕組みをしながら真剣な眼差しを俺に向けてくる。クロエにも同じ事を言われたな。確かあれは、お祖父さんに仕込まれた癖って言ってたっけ。


「大切なものを全て抱え込むため、そしてそれを奪おうとするもの、奪ったものを殺すために使います。」


俺はクロエに答えたのと同じようにそう答える。俺の答えを聞いたお祖父さんは俺の目をジッと見つめてきてからふっと笑った。


「そうか、芯が通っておる。 気に入った。だが、それとこれとは別だ! 儂の目が黒い内は

クロエに指一本たりとも触らせはせん! 諦める事だ! 」


そう言って目を光らせるお祖父さん。


あれ? 応援する事は吝かではなかったんですかね?

ボケが入ったのか?


「行くぞ。 【朱天降臨 】 【身体強化 】 【魔闘技】 」


スキルを発動したお祖父さんは体に真っ赤な稲妻を迸らせながら剣を抜き放つ。

その剣は柄に宝石のような物を埋め込まれていて見るからに凄そうとわかる。宝剣みたいだ

さすが師範代。


俺がその剣を見ながらRPGであんな剣見た事あるなと思っていると、お祖父さんが物凄い速さで突っ込んで来る未来が見えた。


「ハァ!! 」


切り掛かってくる事を予め観測眼で見ていた俺は、魔剣を上に掲げ防ぐ。


ガキン!!


「グ!? 」


なんだと!? この俺が押されている? おかしい、移動速度から見て俺の方が圧倒的に能力値が高い筈だ! 俺は押し返そうとするが、少しだけしか押し返せない。


これは、力が抜けている? 俺がそう疑問に思っていると、お祖父さんの剣の柄に嵌められている宝石が光っているのが目に入った。


この剣が原因か!

そうとわかればこのままでは拙い。一先ず離れねば。

俺は重力操作でお祖父さんを弾き飛ばす。


弾き飛ばされたお祖父さんは空中でクルリと回り、着地した。


「その力、魔剣レーヴァテインのものか。一体幾つの固有スキルを持っておるのだ。

天は二物を与えずと言うがお主を見ているとそれが間違いだと思えてくる。」


この力が天から与えられたものみたいにお祖父さんが言ってくるがそれは間違いだ。天はなにも与えやしない。


「残念ながら天はなにも与えませんよ。この力は相棒から貰ったものです。」


俺は手に持っている魔剣を見ながらそう言う。


(あ、相棒って)


「ほう、それはいい事を聞いたな。 」


そんな俺を見てお祖父さんは顎に手をあてながら目を細める。


「それなら、その剣の能力を教えて貰いたいものですね。」


「それは無理というものだ。」


チッ! そう簡単には教えてくれないか。まあいいさその方が面白そうだからな。

俺は久しぶりの強敵に口元が緩んで行き次第に笑い声を上げる。お祖父さんの方も俺と同時に笑い声をあげた。


「ハッハハハハ!! 」


「ガハハハハハ!! 」


「「シッ! (ハッ!) 」」


ギン!!


同時に踏み込んだ俺とお祖父さんは鍔迫り合う。ギリギリとお互いに押し合っているが俺はやはりと確信した。

踏み込みお互いに鍔迫り合うまでは俺の動きはお祖父さんを圧倒していたが、鍔迫り合った途端互角になった。これから見て、あの剣は対象に触れた時に能力を奪うか、若しくは爺さんの能力を一時的に上げているかに絞られた。まだ他にも、あるかもしれないがこの2つのどちらかの能力はあるだろう。


俺がそう推測しているとお祖父さんが剣を引き、上段に剣を振り下ろしてくる。

それを右足を後ろに引くことで躱してから、そのまま回転して足払いをかけたが、後ろにバックステップを取り避けられてしまった。


「その剣の力、大体わかりました。 対処法も。 」


そう言って俺は腕を振り上げ戦闘で砕けた地面を大量に上空に浮かせる。


「つまり、その剣に触れなければいいんですね? 」


「ま、まさかあれを全て落とす気か? 」


お祖父さんはそう言って冷や汗を浮かべ始めた。どうやら俺が浮かべたあの瓦礫達を落とすと思っているらしい。まあ、あっているけどそれだけじゃ足りないな。教えてあげないけど。


俺はニコっとただ笑って腕を振り下ろした。


ゴゴゴ!! とまるで雨のように大きな瓦礫達がお祖父さんに襲いかかる。


「いいだろう! 受け切ってみせるわ! 」


そう言って剣を構えるお祖父さんに向かって俺は手を翳して、重力操作で潰れない程度重力をかける。


「なに!? お前に年寄りをいたわる心はないのか!? 」


うるさい、試合じゃなかったら即ペチャンコにしてる所をこんな回りくどい事してんだからいいだろ。


「なに言ってるんですか。 戦闘にいたわるとかいたわらないとかありませんから。 ほらそんなこと言っていると、直撃しますよ? 」


「こ、こんのぉぉぉ!! 」


ガガガガガガガガガ!!


さすが人類最強の一角と言われているだけあってあんな過酷な状況でも全て剣で弾き切り裂いているようだ。もう防ぐスピードが速すぎてガガガガって音になっているし。


よし、防ぐのに夢中になっているうちに次の段階にいこう。


俺は弾かれ砕かれた破片を重力操作で不自然にならないようにお祖父さんの周りに展開していく。


「これで最後だぁ! 」


ザン!


「はぁはぁ、防ぎきってやったぞ。 」


肩で息をしながらそう言うお祖父さん。 それはそうだろう。 あんな超重力にさらされながらあれだけの数の擬似隕石を捌き切ったんだ、人類最強の一角でも疲れる。


「流石です。 でも次は防げますかね? 」


俺はそれを見て拍手してから、ニヤリと笑った。


「な、なにを言って‥‥」


俺はお祖父さんが言い切る前に指を鳴らす。


すると、お祖父さんを囲むように四方八方に何百本という槍が出現した。これはお祖父さんが弾き飛ばした瓦礫を重力で圧縮して槍状にしたものだ。


そう、俺の思いついた対処法は近づかずに体力が尽きるまで永遠とこれをループでやり続けるという方法。 体力が尽きるまでやり続けるがいい。


「お、お主鬼だな。」


俺がプカプカと浮かびながら笑みを浮かべていると顔を引きつらせながらそう言ってきた。


「じゃあ降参します? 」


俺が空中で頬杖をつきながら笑いかけると、首を横に振る。


「いいや、最後までやらせて貰おう。 弟子達にも最後まで諦めるなと教えているのに儂が諦める訳にわいかんだろう! 」


震える腕で剣を構えてそうカッコよくそう宣言するお祖父さん。


「そうですか、じゃあ頑張ってくださいね。」


さすがだな〜と思いながら俺はそう言ってお祖父さんに槍を一斉に発射したのだった。


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