準師範共
「師範代、このヒョロイガキがクロエ様を? 」
「ふ〜ん僕より弱そうだね。 」
「殺すぞクソガキ。」
「ふむ。」
お祖父さんさんと一緒に仁王立ちをして待っていた人達が俺を見てそれぞれ言葉を漏らしている。1人物騒なことを言っているが気にしない。
「お祖父さんこの人達は? 」
俺はその4人を見てそうお祖父さんに聞く。
「こいつらはアークライト流剣術に4人いる準師範達だ。儂が今日クロエの婿になるかも知れん奴を呼ぶと言ったら同席させてくれと言ってきたのだ。ほれ自己紹介せんか。」
準師範、つまり師範代の一個下か‥‥。
しかし、なんでまたそんな人達が全員集まってるんだ?
「私はアークライト流剣術準師範二太刀のシュペンザーだ。 私はクロエ様を妹のように思っている。どこの馬の骨とも知れない輩、ましてや男になど渡しはしない。」
そうSっ気の強そうなメガネをかけ腰に刀のようなものをさした男性がそう言う。
刀この世界にあるんだ。 かっこいいな暇があったら鍜治屋とかに見に行ってみよう。
「僕はアークライト流剣術準師範パンダムだよ。最年少準師範として巷では有名なんだ。
君みたいな雑魚より僕みたいな容姿端麗で将来が約束されている人がクロエ様には相応しい。」
ツヤのある白い髪を掻き上げながら自信満々に13歳前後だろう男の子がそう言ってくる。
どうやらナルシストと呼ばれる類の人種らしい。
あと俺に雑魚と言うとは覚悟できてんだろうな。
「アークライト流剣術準師範激流のガンゼルフ。 クロエ様に近づく男は例え誰であろうと俺が抹殺する。というわけで死ねぇ! パンダム! 」
片目に大きく傷をつけた大男がそう言うなりさっきの髪を掻き上げた体勢を維持したままのパンダムに殴り掛かった。 その一撃をパンダムはしゃがむことによって避ける。
言うだけの事はあるようだ。
「ちょ!? いきなり何するんだよガンゼルフ! 」
「言ったはずだ、誰であろうと抹殺すると! 」
「そっちがその気だって言うならこっちからも行くからね! 」
そう言うなり戦い始めた。もう訳わかんない。
「あの馬鹿どもはほっといて君がクロエ様の手紙に書いてあったルディ君か。なるほど、可愛いな。 おっと、まだ自己紹介してなかったな。私はアークライト流剣術準師範剣姫アルフォルだ。 クロエ様を宜しくな。」
ん? 私? 剣姫? この人女なのか!? き、気づかなかった。 髪短いし、男物の服着ているし、何より胸が‥‥。
しかし、この人もさっき俺の事睨んでなかったか?
「アルフォルさんさっき僕のことを睨んでませんでした? 」
「ああ、それは場のノリというやつだ。 大人になったらわかる。」
そう言って頭を撫でてくる。 なるほど、空気を読んだんですね。 わかります。
「聞き捨てなりませんねアルフォル。 その言い方ではそのヒョロガキを認めたように聞こえますが? 」
俺が心の中で頷いていると、さっきのSっ気強め系眼鏡男子のシュペンザーが腕を組みながら近寄ってきた。
「そうだ。そもそも私は反対などしていない。 ここにはクロエ様がご執心の男の子の顔を見に来ただけだ。」
アルフォルさんがそう答えるとシュペンザーは鼻を鳴らして嘲笑う。
「ふん、貴方は男の恐ろしさを分かっていないようだ。 男というのは女を道具と思い使っては捨て、使っては捨てを繰り返すゲスな生き物なんだぞ。」
おいおい、お前も男だろうが。
「お前がいうか? 昨日も複数名の女性が道場にシュペンザー様、捨てないでくれと泣きながら駆け込んで来ていたそうではないか。」
「だから言っているのだよ。 男については私がよく知っている。」
そう眼鏡をくいっとあげドヤ顔で言うシュペンザー。
こいつかなりのゲスだ。
「お前らいい加減にしろ。」
「「「「申し訳ありません。師範代。」」」」
声に怒気を滲ませお祖父さんがそう言うと準師範の人達はサッと頭をさげた。
俺はそれを見て顎に手を当て考える。
しかし、王都はキャラが濃い人達が集まっているのだろうか? と。
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