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人=どっぺる 現代式劣化量産型

作者: 星井扇子

 僕は歩く。

 駅前の商店街を。

 

 歩く歩く。

 見慣れた住宅街を。

 

 歩く歩く。

 通いなれた学校の前を。

 

 歩く歩く。

 子供のころ友達だった女の子の住むマンションの前を。

 

 歩く歩く。

 下校中に寄ると水をくれたお姉さんがいた店の前を。

 

 歩く歩く。

 仕事で疲れた俺を癒してくれたお姉さんたちがいた店の前を。

 

 僕は歩く。家に向かって。

 僕は何度も見た道を歩く。

 

 

 

 僕は進む。

 僕が帰る場所へ。

 

 進む進む。

 僕を待つ人のいる場所へ。

 

 進む進む。

 僕が会いたい人のいる場所へ。

 

 進む進む。

 僕の心が赴く場所へ。

 

 進む進む。

 僕の思い出の詰まる場所へ。

 

 進む進む。

 僕が帰るべき場所へ。

 

 僕は進む。

 僕の思い出に色濃く残る場所へ。

 

 

 

 僕はおもう。

 初めて母に抱きしめられた時の事を。

 

 懐う懐う。

 初めて父に褒められた時の事を。

 

 懐う懐う。

 初めて友達ができた時の事を。

 

 懐う懐う。

 初めて喧嘩した時の事を。

 

 懐う懐う。

 初めて恋をした時の事を。

 

 懐う懐う。

 初めて守るものができた時の事を。

 

 僕は懐う。

 僕の記憶にある初めて達を。

 

 

 

 僕は知る。

 時の流れを。

 

 知る知る。

 人の心を。


 知る知る。

 先人の努力を。


 知る知る。

 生まれながらの不公平を。


 知る知る。

 神の定めた運命を。


 知る知る。

 世界の成り立ちを。


 僕は知る。

 僕のことを。




 僕は歩く。

 僕の行きたい場所へ。

 

 僕は進む。

 僕の行くべき場所へ。

 

 僕は懐う。

 僕の在るべき場所を。


 僕は知る。

 僕の在りたい場所を。

 

 

 

 歩き、進み、懐い、知り、その次はなんだろう。

 

 

 

 僕は理性を働かせる。

 僕を傷つけてはならない。

 

 僕は本能を働かせる。

 僕を傷つけなければならない。

 

 

 

 僕は行動する。

 僕でなくなるために。

 

 僕は行動する。

 僕であるために。

 


 

 僕は変わる。

 僕に。

 君に。


 世界の定め。

 運命の導き。

 生物の本能。




 僕は誰?

 僕は僕。

 僕は君。

 

 これが神の決めたこと。

 逆らってはならない。

 僕が僕であるために。

 

 

 

 今日、僕は僕になって君になった。

 

 

 

 この世には自身と同じ顔を持つものが三人いるという。

 

 

 

 僕は考える。

 今日、僕でありつづけるために。

 明日、僕でなくならないために。

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