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忠狼墓碑の建設予定地

作者: 式十

恐らく、これが俺の最期の言葉になるだろう。

後2日もすれば、俺はほぼ確実に死ぬのだ。家の電話が鳴り担任がやってきた時には、既に刺されて死んでいるか、首を吊って死んでいるかのどちらかになっている。死期が近づくと全てが現実味を帯びなくなってくるが、死はリアルだ。ただ確実に、苦しみと共に這い上がって身体を蝕んでいく。

死なずに済むと言う選択肢は考慮していない。そんな選択肢を選べるほどの努力を俺はしなかったし、したかもしれないけどその先にも無惨な死が待っているからだ。殺されるぐらいなら、俺は自殺してやる。

また、寿命で死ぬつもりもない。こちらにどれほど理解者がいても、現実にはいないのだ。絶え間なく責め立てられるのだ。そんな事をされたら、俺は3日と経たないうちに俺の背負う苦しみに耐えられなくなるだろう。自分の苦しみは自分だけで背負うモノだし、誰かが背負うモノではないと考えているから。


……とまぁ、俺が死に至る経緯は書いた。後は何を書けば良いのか分からない。普段言いたい事を言い続けたせいで、上手く言葉が出てこないと言うのは何と言うか変な気分だが、今もう一度書いておこう。

死後の世界には興味があるけど、本当は死にたくない。まだやり残した事が、やりたい事があるんだ。

もう一度最初から音楽をやってみたい。

バイトなり何なりして、母さんに今までの恩返しをしたい。

応援してくれる人のためにも、作品をちゃんと自分の手で完結させたい。

ベロキチを名乗っていた以上、世に溢れる不味い菓子を全て食い尽くしたい。

バカみたいだけど、本当に数えられないぐらいにある。

まだ県境を越えた町角探索は終わっていないじゃないか。

愛する人にはまだ愛を伝え足りないじゃないか。

何でこんな辛い思いしなきゃいけないんだよ。俺は皆のために生きてたのに、何で死ななきゃいけないんだ。努力不足とか言って笑うなよ。最後の最後で、ようやく頑張ったから努力してただろ。

嘘だ。

ああ、どうせ分かっていたさ。俺はいくら頑張ったって報われないんだ。今更何を言おうともう遅い。とにかく今は潔く、格好良く、言葉を残さなきゃいけない。

全ての友よ。俺は貴方達と過ごした時間を現実と信じたい。

親友よ。俺はあんた達といた時間に1分1秒でも有意義でないモノはなかったと信じている。

愛する人よ。俺がいなくなっても、どうか世界を呪わないで。俺が貴女を愛した証は、永遠に残るのだから。


そして、これを読んでくれた俺の大事な女の子達に。

この世界から俺が霞んで消えようと、何も変わらない。享楽主義の一匹狼としてのそのそと歩き続けてみるさ。死後の世界でもやりたい事が出来たら絶対にやる。絶対にだ。でもたまにはこっちに顔を出すかもしれない。もし俺の姿が見えたら、手を振って欲しい。

俺は喜んで君達を襲いに行く。それでは、恒例の言葉を。

アイルビーバック。


……これ仮に生きてたとしてもなんかなー。上手い事言えたから残しときたいなー。

いや遺してやる。絶対にだ。死ぬまで遺してやる。

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