OUT-6
「あしたー」
「もう、原型なくしてるよな。お前のありがとうございました」
海がいつものようにダンボールを抱え、陳列の準備を始めた。
「うるさいなぁ。進化だよ進化。これでも500人の人生を救った英雄だからな。もうちょい感謝してくれよ」
「英雄なら、シッカリしなさいよ!」
日和が言う。
「それに今回は、ウチの店でバイトをしていたから、解決できた話なんだし。私に感謝しなさいよ」
「えー!それは偶然だろ。」
「えー!じゃない。それに、アンタが来てからお客さんが何故かグッと減ってるし!今度はウチを立て直しなさい!」
「それは、俺の責任じゃないだろう?証拠でもあるのかよ。あるなら、弁償してやるけどさ~」
拓斗はニヤニヤと笑った。
「証拠……証拠なんてあるわけないじゃない」
イライラとした口調で日和が言う。
「ほら、じゃあ日和の思い過ごしだって」
「そんな事ない!証拠…証拠があれば」
「証拠といえるが分からないが、昨日面白い物を見つけたぞ」
海が口を挟む。2人が同時に振り向いた。
「最近、気が付いたんだけどな。店の近くに道路反射鏡があるだろ?
「道路反射鏡?」
「道路に立っている、標識ぐらい大きさの丸い鏡の事だ」
「ああ、ウチの前に立ってるやつね?」
日和が頷く。
「そう。前、在庫の積み下ろしで、たまたま道路から道路反射鏡を見たら、店の中が丸見えなんだよ。特にレジの辺り。そりゃ、しょっちゅう怠けるレジ係が見えたら、客足ダウンだ」
口元に冷徹な笑みを浮かべ、日和がジロリと拓斗を睨む。
「なるほどね…」
「い、い、いや、日和会長。これは不可抗力だって!」
「うるさい、こんな時だけ会長呼ばわりするな!一ヶ月バイト代抜き!次はウチのピンチを切り抜けなさい!」
日和は拓斗の頬をグリリリリとつねった。




