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from my dreamin'

✗first dreamin'✗

 「雨の日に、人は死ぬわ。曇りの日もそう。晴れでもお構いなしね。でもどうしてだと思う? どうして人は、雨の日にも、曇りの日にも、晴れの日でも死ぬのかしら」

遠く流れる川のほとりで、少女の様な存在は問う。姿形は少女そのものな彼女は、しかしながら人間とはかけ離れた雰囲気を持っていた。そして実際、人間ではない、らしい。

「人が死ぬのに天気は関係ないからじゃないかな」

当たり障りのない返事を、僕はした。少女は笑う。

「そうなの? くふふ、でも、本当にそうなのかなぁ。だって、晴れの日に死ぬ人は、けして雨の日には死ねないわ。曇っていても駄目だし、雷でも、雹でも、死ぬことはできないのよ」

とても納得できた言葉じゃないのに、僕は一瞬喉を詰まらせる。間違ってない、けれど、それは違う。

「人は一度しか死ねないし、それも何時死ぬかなんて決められないから、その日がどんな天候でも、関係無いと思う」

「何時死ぬか分かる人はいないけど、何時死ぬのか決められる人はいるわ。ううん、人は基本的に、いつだって死ぬ権利を持ってるのよ」

「それは、自殺ってこと?」

「そう」

愉快そうに微笑む少女から目を逸らす。議題がすり替わっていると思って、そうではないと思い直した。彼女は最初から、天気と死の関係性を論じていたのではない。少女の言っていたのは、元より、始めから、揺らぐこと無く「死」の話だった。

「自殺。そうそう、自殺だわ」

僕の提示した単語を、舌の上で確かめるように反芻し、それから彼女は、続けて言葉を放つ。

「自殺よ」

「え?」

それが僕宛てに生まれた言葉であるのは、少女の視線からして違い無い。だけど、主語が無かった。いや、違う、主語は必要ないのか。

何処とも分からぬこの場所で対話を始めてから、少女は一貫して「死」を語っている。

「……もしかして、なんだけど」

「うん、そう、君のこと」

『僕』の「死」を、語っている、らしい。

「君は、自殺して死ぬの。おテンキの日に、晴れの日に、君は自殺して死ぬの。曇りでも、雨でも、雷でも雹でも無いわ。他殺でも、事故死でも、病死でも無いし、ね」


 ✗second dreamin’✗

 夢。これは夢だ。向こうに流れるゆるやかな川も、他に何も無い地平線まで延びる草原も、そして何より、目の前に佇む少女の存在も、全て僕の脳が生み出した、有限の夢世界。

「夢。君は寝ていて、意識は無くて、そして自分の死ぬことについて考えている? ノンノン、違うよ。確かにこれは夢。夜、部屋の明かりを失くした後の続きの世界だわ。でも君は、今死にたくてわたしと話しているんじゃないのよ。自己の中の自殺願望が、わたしとの対話を作っているわけじゃないわ」

ちっち、と、舌を鳴らして彼女は否定を重ねる。

「ごめん、僕には意味が分からない」

「くふふ、想像力の欠如ね。でも仕方ないわ、人間は、起きている間に起こることしか信じられないもの。起きているから起こるのよ」

その通りだと思った。自分の目に映る、対外的な事象でのみ人は現実を認識できる。自身以外の存在と関係して、今居る世界を確信する。夢は、己の脳のみで展開される仮想世界での出来事で、他の干渉を認めることは叶わない。生み出すのは自分で、感じるのも自分なのだ。どこもかしこも、自分だらけ。

「でもそれなら、君はどうして僕の夢に居るのかな」

「君がわたしを不確定要素とするなら、答えは簡単じゃない? 世界の創造主が感知できないのは、何時だって外からの干渉だけ。私は外から、君の夢に入り込んでるのよ」

「ファンタジー小説みたいだ」

「あるいは、そうなのかも知れないわ」

口角を引き伸ばして、少女は笑った。この少女は、つまり僕の脳とは無関係の、イレギュラーだと言うことか。起こるのは起きている時だけで、でも僕は眠っている夢の中。パラドックスと捉えるのか、若しくは、これも含めてイレギュラーと見るか。どちらにせよ、考えられるのは僕自身だけだった。どちらの答えを選んだところで、どちらが正しいのかは分からない。

「……外から来たって線でいこう」

「懸命だわ。わたしが嘘でも本当でも、君とわたしが交わす話は変わらないもの」

「そうかもしれない。ところで君は、どういう存在なの?」

「わたしは君に死を教えに来たのよ。君は死にたくないかも分からないけれど、死ぬのは仕方ない事だから、無慈悲に無感動に、教えに来たのよ。死神とか悪魔とか、そんな認識でいいんじゃないかな」

死神、悪魔。人の魂を死に誘うと言われる最も分かりやすい形式だった。どうにも僕には、彼女がそのどちらとも思えないけれど、しかし、これ以上の詮索は無意味だろう。本題はそこじゃない。

「小悪魔のでびるんって呼んでもいいわよ」

「キャラがぶれてる……」

確かに小悪魔めいた語り口だけれど。ともかく、僕はでびるん(仮)に、呼称よりも問わなければならないことがある。

「僕は何時死ぬんだ?」

「次目を覚ましたら」

情け容赦なく。鋭利過ぎて斬られたことを知覚できない刃で切断するかのごとく。どこか未だに少女の言葉を信じ切っていない僕の心臓を跳ねさせるに、それは充分過ぎる回答だった。彼女を信用していなかった常識の自分に気付き、今の一言で現実としての死を形をもって認識させられたことに呆然とする。

死ぬ。僕は死ぬのか。この夢から覚めたら、僕は。

「でも、僕は、自殺するんだよね」

「うん。君は自らの意思で、自らの命を絶つわ。外は晴れていて、とても良い天気よ」

「最近は雨天続きだと記憶してるけど」

「もう止んでいるわ」

「目を覚ましたら、か」

彼女は頷く。変わらず微笑んだままに。続ける。

「僕は今まで、自殺を考えたことなんてないよ」

「考えることになるのよ。結果は訪れるだけ」

「今日、布団から出ない事にすれば?」

「無理ね。理性があるから人は考える。君はその点では、紛うことなき人間だわ。考えれば、やっぱり結果は訪れる」

「何か、自殺したくなるようなことが、僕の身に起きるってこと?」

「そうかも知れないね」

要領を得ない返事を最後に、僕の質問は底をついた。どうあっても、僕は死ぬらしい。更に次ぐ言葉も思い浮かばず、黙りこむ。少し経って、少女が僕を覗き込んでいることに気がついた。目を合わせる。

「何をそんなに恐れているのかな、君は」

心底分からないと言った風な、そんな表情だった。なにをって、そんなの。

「死ぬのは怖いよ。僕はまだ死にたくないんだ」

「でも、君は死ぬことを選ぶのよ。今はそうは思えなくとも、君はいずれ明確な意思を持って命を投げ出すわ。その時の君は、死にたくないとは思ってないと思うんだけど」

「……そうかも知れない。けど、今僕は、やっぱり死にたくないから」

「過去と今と未来、同じ脳から下される信号なのに、どうして時間によって考え方が変わるのかなぁ。それって、同じ人間だと言えるのかしら」

「状況によって人の考え方は変わるんだよ」

「ふぅん? おかしなことだね。初心を通せと、人は良く言うでしょう? 初志貫徹なんて言葉もあるわ」

「ケースバイケースって言葉もある」

「つまり、人はその都度自分に都合の良い要素を引っ張り出してくるってことね。柔軟な対応なんて逃げるけれど、意志を貫けない弱さを隠しているだけの場合が多々あるわ」

「何が言いたいのさ、結局」

「君は自殺するってことよ。死にたくない、自ら命を絶つことなんて考えられない今の君は、状況に合わせて柔軟に対応して、死を選びとるのよ」

ここに来て初めて、少女はあからさまに皮肉な言い回しをした。あるいは、僕により明確な死へのビジョンを植え付けるために。生き続けたい人の意志は、場合によって容易く置き換えられると、彼女は言外に、しかし明らかに言っている。人類代表として責められているような気分に、僕はなった。

「いいわ、どちらにしたところで、成るようになってしまえば、残るのは結果で出されるのは一択の解答だもの。夢は刹那、そろそろ醒める頃合だしね」

釈然としない僕に、少女は一方的に語りかける。小さく右腕を持ち上げて、ぱたぱたと手を振った。「さよなら」でなく「また後で」と。

(そら)への案内はしてあげるわ、地上人。安心して、想う通りに死んで来なさい」

パチン、と。泡が弾けるような音がして、「      」世界が回った。


 ○living time○

 見慣れた天井とベッドの感触に、失っていた現実味が帰ってくる。目覚めは良好だった。カーテンを開けば、なるほど晴れやかな陽光が、雨上がりの空から差し込んでいる。夢枕から離れて、普段思い返すことの無いそれを、今日の僕は、記憶として覚えていた。胡蝶の夢。否、夢と現の区別はついている。地続きの夢か、地続きの現実か。ここまで来て、確かなことは一つだった。階下から聞こえる起床を促す母親の声に応えながら思う。

今日、僕は死ぬ。

自殺して死ぬ。

……まだ、死にたくは無いけれど。考えを重ねる程に、自分が死んでいるビジョンが明白に浮かぶようになっていって、きっと僕は、本当に死ぬだろうと思わせられる。

朝食を摂って家を出る。今日は平日で、だから、十代の僕は学校だった。休むことも考えなかったわけではないけれど、でも僕は、普段通り、学校に足を向けている。日常と言うものは、この期に及んで、僕の生活回路を敷かれっぱなしのレールに沿って動かすようだ。

線路沿いの道を一人行きながら考える。僕が死んで、健在の両親は、祖父母は、よくしてくれた伯父はどう感じるのだろう。突然の結果に、何人が涙を流すのだろう。僕の死の価値は、どれほどのものなんだろう。僕が消えて、残された僕に関わりある全ては、どんな風に変わっていくのだろう。答えは出ない。

また、想う。自殺を選びとる僕は、その僕のこれまでの人生には、如何なる価値があったのだろうか。自問自答に、どうしてか僕の答えは出ない。はっきりと問われた時に、僕にこの問いに答える言葉は無い。価値無き人生だったというのか。違う。

僕は嬉しかった。腹立たしかった。哀しかった。楽しかった。感じていたのだ。僕が過ごし経てきた時間には、僕だけの揺るがない価値がある。僕はこの価値を否定しない。


 下り坂を終えて、交差点に差し掛かった時、ぞっとするようなクラクションが、周りの空間を巻き込んで鳴り響いた。反射的に、道路の方に目を向ける。

信号が赤に変わるギリギリにスピードを落とさずカーブして来た車と、車道を越えて転がって行ったボールを取りに飛び出した幼児を視界に捉えた直後、いや、そのわずか前には、僕は鞄を放って駆けだしていた。

今日、僕は死ぬ。

自殺して死ぬ。

死にたくなんて、相変わらずに無いけれど。同じ死ぬなら、子どもの一人くらい助けて死んでやる。飛びこむようにして伸ばした手が幼児の両肩を突き飛ばす感触を得て、それが、生身の僕が感じられた最後の感覚だった。


 ✗last dreamin’✗

 「ごめんなさい」

立ち眩みに襲われて、平衡感覚を失いかけた僕の耳に少女の声が届いた。

「ごめんなさい。本当なら、無理に説得してでも『助けないよう』言うべきだったの。夢に引きとめておくことだって考えたけれど、現からの干渉で、ここは容易に崩れてしまうから」

地続きの現実で正解だったかなと思った。遠くには、水の流れる音が聞こえる。

「さっきも謝られたよ。聞こえなかったけど、そうでしょ?」

「……うん」

申し訳なさそうに、彼女は眼を伏せる。君が悪いわけじゃないのにと言おうとして、掠れた喉に邪魔された。

「あのタイミングでなければ駄目だったの。死ぬことを一瞬でも躊躇えば、どちらにしても幼児を救おうとした君は命を落としていたわ」

「よくわからないよ。確かにあの時、僕は死を受け入れていたけれど」

「そう。君は覚悟して、それであの子を救ったわ。……そして、ここに来た」

「うん、やっぱり、死んだみたいだ」

苦笑気味に言って、肩をすくめて見せる。後悔は沸いてこなかった。助かったのか、あの子。

安堵の息を吐く僕に、しかし少女は首を振った。

「君は死んでいないのよ」

「――――え?」

彼女の科白に、僕は一瞬思考を停止する。どういうことだろう、だって僕は、確かに。

「轢かれたわ。思い切りね。でも、死んでいないのよ。死ねなかったと、言ってもいいわ。だって此処は、君の夢の中だもの」

はっとする。確かにそうだ、ここは少し前の夢と、まるっきり同じ場所。となると、僕はあの状況で、生還したってことだろうか。

「僕はまた、もう一度目を覚ますことが出来るってこと?」

口をついて出た希望の言葉に、しかし少女は先程までより更に顔を歪めた。悲痛な、見ている方が痛いくらいの表情。

「それは、無理よ。君は死んでいないけれど、君が君として目覚めることは無いわ。直に、君と言う人格は目覚めを迎えて、消滅する」

「……どういう意味」

「起きた後の世界で言うなら、記憶喪失」

記憶喪失。僕が僕として積み上げてきた絶対要素である記憶を、形成してきた人格を、無かったことにされる。されてしまった後、と。

「ドラマなんかで言うと、記憶って元に戻る可能性もあるんだよね」

「……そうかも知れないわ。でも、ここは夢の世界。起きていない世界では、起こる奇跡も存在しない」

今度こそ、僕は沈黙する。おかしな話だった。僕は結論として、彼女の言う通りに死を選んだと言うのに、いなくなることを覚悟したのに、そのはずなのに、いざ別の形で消えるとなると、また恐れて、おろおろしている。

天への案内はしてくれると言った。でも、天より上には、行けなかった。安心して、想う通りに死ねと言うのは、このための布石で。嵌められたって、そのはずなのに、僕の気持に、少女に対する憤りは、どうしてか沸いてこなかった。それより、知りたいことがある。

「本来なら、僕は間にあわないはずだったんだよね。躊躇ってから飛びだして、少し遅れて命を落とす。あの子も救えない」

「……そうね」

ごく僅かに、彼女は頷いた。そっか、それなら、いいじゃないか。

「うん、なら、何の問題も無いよ。君が僕に死への意識をくれたから、ただ死ぬはずだった僕は、最後に他の誰かの死を防げたんだよ。それは、結構素敵なことだと思う」

残された家族には申し訳も立たないけれど。でも、僕はしたい通りに出来たんだから。

「……君がいなくなる世界の住人を助けて、それで君はただ死ぬより苦しい消え方をするのよ。(うつつ)に目覚めた君で無い君が、君の身体で残りの人生を過ごして、周りから見てもその新たな君が本当の君として書き換わった後に、君として死んで行くのよ。君の消えるのは、誰からも死として認められないのよ」

「それでも、だよ」

「わたしは君を騙したことになるのよ」

「だとしても。君が僕を焚きつけてくれたおかげで、現実の僕は死なないし、あの子も助けられたし、本来なら僕ら二人を殺してしまうはずだった運転手も救われたんだ」

そう言う意味じゃ、君はむしろ天使と言っても良い存在なんじゃないかな。そこまで言って、僕は小さく息を吐く。少女は、依然として俯いたままに僕の言葉を聞いていたが、やがて静かに面を上げると、以前のような小悪魔的な微笑でもって、僕を見据えてきた。

「天使。天使かぁ。良いかも知れないわね、天使。くふふ、でも、そうね。天使なら、わたしがちゃんと天使なら、君をもしかして、助けられるかも知れないわ。変な感じね」

およそ天使には見えない笑みで、語るように言を紡いで、彼女は。

「ねぇ、どう思う? わたしは君に、人の気持ちは変わると言ったわ。ころころころころ、一貫しない。くるくるふらふら、安定しない」

「そうだね。やっぱり、こうなったからかも知れないけど、僕もそう思う」

「そう。あのね、人でなくても、変わることはあるみたいだわ」

「良く分からないけど、そうなのかな」

「そうよ。だって今わたしは、確かに心変わりしたもの。現の大多数にとっての幸福のために、わたしは君と言う人格を犠牲にしようとしていたのに」

「……今は違うの?」

「今は、違う。わたしは君を、その人格を助けたいと思ってるわ」

次第に頭が混乱してくるのが分かった。彼女は何を言ってるんだ?何の話をしているんだ?

結局のところ、答えは酷く簡単で。

「君は、他の誰かを犠牲にしてまで生きたいと思う?」

「……それは、嫌だ。気付かない内にそうなってしまっていることは幾らかあっても、でも、それを知ってしまったら、僕はそうまでして生にしがみつきたくない」

「うん、それを聞いて安心したわ。ねぇ、わたしはこれから、とても悪魔的に天使らしい仕事をするね」

何も、何一つ変わることなく。いや、あるいは、回り回って、巡り巡って、変わり変わって、その先の。

「ちょっと待って。君は、何の話をしてるんだ?」

「直ぐに分かるわ。だから、もう一度、ごめんなさい」

「――――え?」

死の話を、していた。

「ばいばい。折角だから、ちゃんと生きてみればいいんじゃないかしら?」

彼女は、彼女の死を。何より美しい死を。

他殺でも、事故死でも、病死でも、ましてや自殺でさえも無く。生を失うのでなく、生き継ぐような形で。

川のせせらぐ音に思考を遮られ、空間も巻き込んで、僕の視界が歪んだ。

僕の死界が、歪んだ。


 ✗lost my dreamin’✗

 果たして僕は、今どこに生きているのだろう。瞼を開いて、最初に映ったのは真っ白い天井だった。身体を起こそうとすると、右肩に鈍い痛みが走る。痛い。痛みを感じているらしい。腕から伸びている点滴のチューブを見て、ようやくここが病院であることに思い至った。

とても長い夢を見ていた気がする。しかし、逆に、これも夢なのでは無いかと自問する心も、僕の中に確かにあった。

病室のドアが開いて、職場から駆け付けた風に見える父と母の姿が見えた。


 少しの検査と二日あまりの入院を経て、僕はいつもの日常に戻った。やっぱり、あの子どもは助かったらしい。親子三人で病室を訪れ、丁寧に礼を述べていってくれた。例の車の運転手も、見舞いに来た。きっちりと頭を下げて謝られて、格好良い大人だなと、僕は思った。焦らず生きて下さいと、それだけ言った。僕自身への言葉でもあった。


 心なし、世界が変わって見える。相変わらず自殺する気なんて無いけれど、確かなことに、僕の気持はころころ変わった。

初志貫徹も、ケースバイケースも、どちらだって間違ってない。どちらとも、並立してこそ人じゃないか。

今も尚、眠っていたあの世界が夢か現か、答えは出ないけれど。

「さしあたっては、ちゃんと生きてみることにするよ」

――――そう、と、答える声があったような、そんな気がした。



 ――――reliving one’s living――――

読了、ありがとうございました。彼はきっと、今後の人生を、日々考えながら生きて行くのでしょう。難しい事なのか、あるいは、あたり前に出来ているべき事なのか。日々を精一杯って、普通に生きている分には思い至りもしないことだと、僕は思います。一個人の意見に過ぎませんが。とはいえ、臨死体験してまで変わりたいとは、残念ながら思いませんけどね(笑)


それでは、感想評価等入れていただければ幸いです。

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