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信濃の修羅〜現代人の俺、存在しないハズの真田の三男坊として転生す〜  作者: ギュネイ山本
第二章【ここは西国、修羅の国。源四郎、佐土原にて又七郎と出会うの段】

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14/16

其之二

――石崎川河川敷――

ざわざわ…

どこからどう広まったのか…先日の流れ者との一戦とは比べものにならないほどの人だかりが既に出来ていた。

それほど又七郎の喧嘩は佐土原の名物と化しているのだろう。

「来たぞ!【若君】じゃあ!」

そんな中又七郎と源四郎が河原へ着く。

サァアアア

まるで旧約聖書のモーセが海を割ったかの如く人々が道を開ける。

「【若君】ぃ!今日も勝てよぉ!」

「おぅ丁稚の小僧ぉ!少しはいいとこ見せろよぉ!」

「【若君】ぃ!」

「【若君】ぃ、そんな馬の骨に負けんなぁ!」

今日も今日とて民衆の声援を一気に受ける又七郎。

多少源四郎にも声援は送られるもののやはりそこは地元贔屓とでも言おうか。

「かぁあああやかましか奴らじゃ…ってうぉ!?」シュ

観衆の声に反応していた矢先の又七郎に先に河原に降りていた源四郎の蹴りが飛ぶもそれを間一髪避ける!

「おい、もう始まってんだろ?」

完全に【殺る気満々】の目で又七郎を見据えながら言う源四郎。

それに対し…

「あぁ!先に待ち構えといて手ぇ出すなよ!」

「【若君】まだ支度整ってないだろ!?」

「ずるいぞ!」

「信濃者はそういうことすんのかぁ!?」

「げげげ、源四郎様ぁ!今のは流石に…」

観衆からズルいだなんだとの声があがり、それを聞いた弥五郎が狼狽えるも…

「黙れ。」

「やかましっ!」

源四郎と又七郎がほぼ同時に応える。

「「これ(こい)は【戦】だ(ぞ!)」」

ビクッ!?

観衆が二人の【怒気】に押し黙る。

「(いいいいいい!?やっぱりどっちも【殺す気満々】だぁああ!)」

内心で途方もなく焦る弥五郎。

そこへ…

「…これはなんの騒ぎだ?」

先日美々津での一件を遠巻きに見ていた男…高橋統虎こと弥七郎が弥五郎の隣にやってくる。

「あ!お武家様!おたくの【若君】がうちのに喧嘩売っちまって…ともかく止めて下さい!」

「?()()()()()()()()()()()?(ボソッ)」

「ええええええ!?」

島津の者でないのに武士然とした格好でこの佐土原を彷徨いていると(小声とはいえ)あっけらかんと話す弥七郎、それに心底驚く弥五郎。

その反応も無理ない。

なぜなら弥七郎のやっていることは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「しっ!やはり驚くか?が…お前たちも似たようなものであろう、()()()()()()(ボソッ)。」

「!?お武家様、どこでそれを!?(ボソッ)。」

「なぁに、美々津の港でそなたらの大立ち回りを見かけただけよ…しっかし本当に真田の縁者だったとはな小県と言うたからまさかと思ったが(ボソッ)。」

「!!!」

弥五郎、痛恨のカマかけにひっかかる。

まだまだ修行が足りない証拠だ。

「で、では!(ボソッ)」

「ん?」

「お武家様はどちらの家の者であられるのですか!?(ボソッ)」

「俺か?俺は()()()()()()()()()()()()(()()()()()()()()())()()()が嫡男、高橋弥七郎統虎よ。」

「え…えええええええええええ!?大友が重臣、高橋主膳正殿のご嫡男!?こ、こんなところを彷徨いていて平気なんですか!?(ボソッ)」

「ん?あぁ〜確かにこの間島津家の者六〜八人に囲まれたが………まぁ()()()()()()()()()()()。あ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「はぁ!?もぅ訳がわからないよ…(ボソッ)」

弥五郎が小声で返し頭を抱える。

武辺者、戦闘集団、戦キ●ガイ…として勇名を馳せる島津家の者六人から八人に囲まれたらその段階で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それこそ先に出会った()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そんな島津の者達をこの若武者、高橋弥七郎は()()()()()()()退()()()と言うのである。

「まぁそれ以降、島津の者に襲われたことはないがの。ともすると家久公が泳がせてくれとるのかも知れぬがな、ははは♪(ボソッ)」

「(ははは…じゃねぇんだよ、この化生が!!!)」

弥七郎の豪胆さに最早呆れるしかない弥五郎。

そんな弥五郎に弥七郎は問う。

「して、あそこで【島津の若君】と殴り合ってるお主の主は真田の家の者か?それとも家臣か??(ボソッ)」

「今更隠し立ては無理でございますから白状しますが…あれなる粗野粗暴な童ではありますが……残念ながら真田家当主たる真田昌幸様のご三男。真田源四郎様にございます。(ボソッ)」

「なんと!真田の三男坊とな?それが何故縁もゆかりも無いこの日向へ??(ボソッ)」

「そこは流石に…って、あぁ!?」

弥七郎との話に夢中になって源四郎と又七郎の【戦】の行方を見ていなかった弥五郎であったが…

ほんの少し目を離したうちにとんでも無いことになっていた。

――少し遡って弥七郎がやってくる直前――

「おりゃ!」ブンッ

「…。」シュ

ゴスッ。

「がふっ!?」

又七郎の拳を最小限の動きで躱しつつカウンターをその顔面に入れる源四郎。

ここはやはり経験の差か、ただの素手ゴロで向かってくる又七郎に対し源四郎は前世で培った【徒手格闘】や【CQC(米軍との合同訓練に参加した際に会得)】を駆使し着実かつ一方的な戦いを見せていた。

「(何なんじゃ、こいつの戦いかた…おいが相手したどんな輩とも違う!!!)」

又七郎もまた武辺者たる島津の男児、ここ佐土原の地でこれまで様々な修羅場を経験している。

が、そんな又四郎をしても源四郎はやはり異質であった。

「…どーした?」

そんな又七郎を尻目に余裕綽々と言ったテイの源四郎が又七郎に問う。

実戦経験こそないがこれまで培った技術には絶対の自信がある。

それがこの場にはない【レンジャー徽章】を持つ精鋭たる自負であり源四郎の根幹なのである。

「おはん!こがな技をどこで…」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「!!!!!」

完全に【殺す気】の目で又七郎を見据え言い放つ源四郎。

最早目の前の男、島津又七郎は憧れの【島津豊久】…ではなく()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「気にいらんのぉ……おはんのその余裕、くずしちゃるわ!」ダッ

又七郎が再度向かってくるも…

「…真正面から来ることしか知らんのか、阿呆が。」スッ

クイッ

「!?」

瞬間、又七郎の身体が宙を舞う。

源四郎がまたしてもさらりと又七郎を躱しものの見事に腰投げを決めたのである。

「がはっ!」ドッ

受け身も取れず背中から河原に落ちる又七郎。

そこへ…

「…。」

ドカッ

「げぇ!?」

源四郎がガラ空きの鳩尾を踏みつける。

「…武辺者揃いと聞いていたが()()()()()()()()()()。」

――現在――

「うわぁ…源四郎様、えげつないあなぁ。」

真田の郷でも見せたことない源四郎の技に驚嘆する弥五郎。

その横で…弥七郎はふと()()()()()()()()

「おい、源四郎と言ったか?()()()()()()()()()()()()()()()()のではないか?」

「えっ?えぇ…郷では源四郎様に勝てるものなど。剣術の稽古なれば兄弟達に遅れは取りまするが…()()()()()()()()()()()()()()()。」

「ふっ。なるほどの…なれば【島津の若君】にも勝機はあろうな。」

「?負けなしの源四郎様相手に??」

源四郎の負けを見たことのない弥五郎は怪訝そうな顔をする。

実際、源四郎は剣術においては源三郎、源次郎、茂誠に後れをとるがこと子供同士の喧嘩では負けなしだったのである。

無論郷の内外を問わず。

そんな弥五郎を尻目に弥七郎は続ける。

「そういう奴ほど【ほんの少しのきっかけ】で崩れるものよ、まぁ見ておれ。」

「そういうものでしょうか…?」

そう言って弥五郎が二人に視線を戻すと…

()()()()()?…きさんはぁああああ!」

「吠えたところで状況は…」

ベリッ!

「〜〜〜〜〜ッ!?ってぇ!」

源四郎が言いかけたところで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

源四郎は行商人の丁稚を装っている為に足袋を履かず素足に草履である。

()()()()()()()()()

なんと又七郎は()()()()()()()()()()()()()()()()()()

身悶えする源四郎。

そんな千載一遇の好機を又七郎が見逃す訳はなかった!

「るぁああ!」

ゴスッ!

「がっ!?」

するりと源四郎の足元から抜けた又七郎の渾身の拳がこの喧嘩、いや【戦】が始まって以来初めて源四郎の頬にまともに入る!

「…。」ツゥー

唇が切れたのか源四郎の口元から血が流れる。

するとこれまで固唾を飲んで見守っていた観衆たちが堰を切ったように声を挙げだす!

「やったぜぇ【若君】ぃ!」

「信濃の田舎モンなんざのしちまえ!」

「ちょっと押してたからって調子に乗んなよ!」

「おう坊主こっからだぞぉ!骨のあるとこ見せてやれ!」

だいたいは又七郎を推すが時折源四郎への声援も混じる。

「いい気なもんじゃのぉあ奴ら…で、どうじゃ()()()()()()()()!?」

勝ち誇ったように問う又七郎。

それに対し源四郎が答える。

「…()()()。テメェ()()()()()()()?」

「はっ!やはり気づいとったがか。」ポロリ

言うと共に拳を解く又七郎。

その手の内から()()()()()()()()()()

「な!?いつの間に!?!?」

「ふっ、直情的かと思えば…島津の若君もなかなか。」

又七郎が石ころを握り込んだのを見抜けず驚く弥五郎とそのしたたかさに感心する弥七郎。

「ですが…ですがこれでは!」

「これでは…なんだ?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

「…そうかそうか。てめぇ俺にそうまでして勝ちたい………つまり()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「!!!!!」

「ほぉ…」

弥五郎が言い切ると同時に口を開き怒りをあらわにする源四郎。

そしてそれとともに放たれる【怒気】に怖気づくどころか何か感じ入る弥七郎。

「あほぅが!戦場で(おなご)がどうこうと…」

「もういい黙れ。口臭えんだよテメェ。そのまま死んどけ。」ゴッ

又七郎が言うのを遮り源四郎の拳が向かってくるも…

「ぬんッ!」ガスッ

ツゥー

「〜〜〜〜〜ッ!」

その拳を額で受ける又七郎!

受けられた源四郎が拳を痛めたのであろうか、苦悶の表情を浮かべる。

だが源四郎の拳もまた()()

受けた又七郎の額から血が滴る。

「素手で人の頭を割るか、真田の小僧め。なかなかの剛拳よ。」

「家中の者としては気が気じゃないんですけど!?」

弥七郎の褒め言葉にそれどころの話ではないと言わん勢いで返す弥五郎。

「はっはっは!家中のものとしてはそうよな。まあまあ案ずるな、いざとなれば俺が…」

「やってくれたなぁクソガキがぁ!」ゴスッ

「おはんもガキじゃろうがぁ!」ガスッ

「おぉ?」

「ああ!源四郎様ぁ!」

弥五郎と弥七郎のやりとりもなんのその、更に過激さを増す二人。

膝で肋骨を狙いにいけば肘でいなし、即座に目突き。

それを躱すやカウンターで顔面に拳が入り、そこから怯むことなく下段蹴りが脹脛を襲う。

そんなやり取りを続けつつ…

「おはん!なんでじゃ!なんで女を貶されたくらいで…」

「…()()()で済ませられねぇんだよ。」

「あぁ!?」

()()()()()()()()()()()!【お前の最愛の女房の敵を討ち滅ぼす剣となれ】ってなぁ…だからよぉ!」

「!」

「例え()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

ゴスッ!ブッ!

源四郎の渾身の頭突きが炸裂し源四郎もまた額が割れる。

「…ほぉか。この島津又七郎を……()()()言うたかぁあああああ!」

瞬間、石ころ扱いされた又七郎がこれまで以上にキレる!

「そう言ってんだボケェ!石ころが一丁前に口をきくなぁあああああ!」ゴスッ!

「がぁ!…っだぁ!」ゴスッ!

「でッ!?…あ゛あ゛あ゛!」ガスッ!

「ぐっ!…でぇああ!」ガスッ!

そうこうする間に頭突き合戦に入る二人。

()()()()()()()()()()()()()

「!いけない!!源四郎様ぁ!【若君】!!」ダッ

「!!!よせ!!」

これはマズいと弥七郎の制止も聞かず止めに入る弥五郎。

だが…

「邪魔だやごろおおおおおおおお!」ガッ!

「うせろこんダボぉおおおおお!」ゴッ!

「げふぅ!」

二人から()()()渾身のアッパーを喰らい、比喩でも何でもなく吹き飛ぶ弥五郎。

「はっはっはっは!あ奴ら存外息が合うではないか!はっはっはっは!」

その息ぴったりの一撃に笑い出す弥七郎。

「うわぁひでぇ…自分の丁稚仲間だろ(ヒソヒソ)」

「というか【若君】がここまで追い詰められたのって初めてじゃないか?(ヒソヒソ)」

「あの坊主、本当に行商人の丁稚か?そもそも身のこなしからして【武】の心得ある者じゃ…(ヒソヒソ)」

「待って待って!【若君】額割れてるじゃない!誰かそろそろお城へ人を呼びに行ったほうがいいんじゃない?(ヒソヒソ)」

「ばかいうな!こんな見てて気持ちのいい喧嘩、生まれてはじめてじゃ!こがなところで終わらすな(ヒソヒソ)」

そんな弥七郎を尻目にヒソヒソと話し出す観衆。

「むぅ…確かにそろそろ潮時ではあるがな、額も割れて血も噴き出ておるし。さて…」ダッ

言うなり弥七郎が駆け出す。

それも()()()()()

そして一瞬のうちに間を詰め源四郎と又七郎の横につくと…

「…双方死ぬぞ。そこまでじゃ!」ゴッ!

ガッ!

両の拳で一気に二人に拳骨を見舞う。

「がッ!」

「でッ!」

その威力たるやまるで【雷】。

一瞬にして源四郎と又七郎が座り込む。

「〜〜〜〜〜〜ああああああああ!」

「おおおおおおおおおおおおおおおお!」

座り込み頭を抱える二人。

額が割れているところにそんな一撃を食らったのだからその痛みたるや言うに及ばず。

「これ、何もガキの喧嘩で戦場よろしく命をかけ合うな。お主らはこれから家を背負って立つ武家の子じゃ、命とは一度きり。賭け時を誤れば…」

スッ!

「!おっと!?」

ゴッ!

「おぉ!」

言いかけた弥七郎に対し源四郎の拳、又七郎の蹴りが飛ぶも軽々しく避ける弥七郎。

「ほぉ〜…まだそんな余力が残っとったかお主ら。いささか止めるのが早かったかの?」

涼しい顔をして問う弥七郎。

それに対し…

「なんだ、てめぇは?」

「おい…こいはこん馬鹿とおいの【戦】ぞ?」

「「横から出てきて何様だテメェ!!!!!!」」

「「「「「「ひぃいいいいいい!?」」」」」」

「お〜怖い怖い♫…が、そういう台詞は自身の姿を見てから吐け?かようにボロボロでは格好がつかぬぞ??ま、その心意気と性根は認めようかの♫」

二人の放つ【怒気】に観衆が気圧される中、弥七郎だけは余裕の態度を崩さない(むしろ二人を()()()()()()()()()())。

それが生来のものか、はたまたこれまでの()()()()()()()()()かは定かではないが…おおよそ余程場数を踏んだ武辺者でもなければ出来ない芸当である。

「抜かせ!」ダッ

「半端に手ぇ出したこと後悔させたっど!」ダッ

言うなり二人揃って弥七郎に向かっていく。

そんな中当の弥七郎は…

「やれやれ困ったガキどもよ…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…と言うのを教えてやるかの♫」スッ

()()()()()()二人を迎え撃つ体勢を整える。

「ふん!」ダッ

「見えておるわ。」スッ

「ちゃりぁあ!」ガッ

「隙を突いたつもりか?」スッ

()()()()()、まるで()()()()()()()()()()()()()弥七郎に襲いかかる二人。

だが弥七郎には届かない。

この男の【武】は【自衛隊で培われた軍隊格闘】を持つ源四郎、【戦闘集団島津の技】を叩き込まれている最中の又七郎。

この【武家のサラブレッド】たる二人を以てしてもなお追いつけない遥か【高み】にあるのである。

「はぁはぁはぁ…」

「ぜぇぜぇぜぇ…」

「…どうした、終いかガキども?」

肩で息をする二人を尻目に息をきらすこともなく、それどころか汗一つかいていない弥七郎。

「…っるせぇ!てめぇ、余裕こきやがって。」

「そのしたり顔、へこませてやっど。」

「そういう台詞はそんな這々の体で吐くなと言ったであろう?…来ないのならばこちらからゆくぞ。」ダッ

ゴスッ!

「へっ?…ごふぅうううう!?」

言った瞬間弥七郎が一瞬にして間合いを詰め源四郎に重く鋭い一撃(ボディブロー)をぶち込む!

「なっ!?…ちぃ!」シュ

ゴスッ

「…効かんな。フンッ!」ドッ

「のぁ!?」

又七郎が蹴りを見舞うもそれを片腕で受け止め押し返す。

そうして倒れ込んだ又七郎に…

「ぬんッ!」シュ

ドフッ

「がはぁああああ!?」

鳩尾への強烈な突きを炸裂させる!

「あっああああああああ…」

「がぁああああああああ…」

強烈な一撃を貰いのたうち回る二人、同世代と比べ野山を駆け回り、質のいい食事を摂って体を作ってきた源四郎ですら全く太刀打ち出来ない一撃である。

「全く…これに懲りたら喧嘩を売る時は…」

そう弥七郎がいいかけたところで…

「若様ぁーーーー!」

「若様ぁ!どこにおられまするかぁ!」

「若様ぁ…皆のもの見よ!」

「あぁ!あやつめは!!」

「先日城下で我らを手玉にとった怪しい奴では…って!若様ぁ!?」

やいよやいよと言いながら島津家中の者がやって来る。

恐らくは観衆の者のうちの誰かが城まで走って知らせたのだろう、皆一様に「若様ぁ〜〜〜!」と叫びながら又七郎を探している。

そして河原で額を割り悶える又七郎(と源四郎に弥五郎)を発見する。

「あっ、こりゃマズいの!退散せねば!…ではさらばじゃガキども。()()()()()()♫」ダッ

「あ!これそこの者!!待たぬ…」

「バカモン!今は若様じゃあ!若様!若様ぁ!」

脱兎の如く逃げる弥七郎。

それを放って又七郎に駆け寄る家臣たち。

そうして人払いも進み静かになる河川敷。

「しかしなんたることよ!もしやとは思うがこの丁稚の小僧どもが若様を!?」

「馬鹿を申すな!武辺者たる我ら島津が!その主たる家久公のご嫡男の若様がこんなどこの馬の骨たるか分からぬ行商人風情に…」

()()()()()()()()()()()()()ではなかっど、おはんら。」チラッ

「!家久様!!」ザッ

そうこうするうちなんと佐土原が領主、島津家久が現れる。

そうして弥七郎(と半分源四郎)にノされた我が子に目をやる。

「と…申されますと?」

「こやつら…美々津の港で【信州信濃は小県】と宣ったそうじゃ。恐らく【表裏比興の者】…真田喜兵衛が手の者よ。」

「!!!!!」

「なんと!【武田に真田あり】と謳われたあの真田喜兵衛の!?」

「では早速縄につけて…」

「よい。わしら島津と武田はことば構えておらん。」

「!?家久様!?」

「そいよりわしはこいが童に興味が湧いた。このまま担いで来るがよか。」

「はっ!」ザッ 

言うなり源四郎(と弥五郎)を担ぎ上げる島津家臣たち。

又七郎は家久が直々に背負う。

「しっかし…よぅやられたのぉ又七郎!ともするとこの真田の小僧…いや今は言うまい。」ザッ

そんな状況下、まどろむ意識の中で源四郎は一人思う。

「(ちくしょう…なんなんだアイツ…ちくしょう!…こんなんで…こんなんで…何が…真田の……家族の……みおの【剣】だ………くっ…そ…が)」

そうして源四郎は意識を失う。

佐土原の空の下…源四郎、完全敗北を喫す。

しかし…これが【西国無双】立花宗茂、【島津の狂犬】島津豊久、そして【信濃の修羅】真田信良の奇妙なそして熱き縁の始まりになるとは当人達は思ってもみなかったのである。




源四郎の怒り、又七郎の意地、弥七郎の自信。

三者三様、胸に秘めたモノのぶつかり合い…

如何だったでしょうか?

さて、次回は源四郎と家久公のご対面。

果たして源四郎は島津が中枢、薩摩への道を切り開けるのか?

刮目して待て!

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