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信濃の修羅〜現代人の俺、存在しないハズの真田の三男坊として転生す〜  作者: ギュネイ山本
第壱章:【目指せ修羅の巷。源四郎、薩摩への修行に発つの段】

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12/15

其之三

――浜松を出て四日後――

「いやぁ〜…源四郎様の言うようにしとくと足取りも軽くなりますな!」

「だから言ってんだろ?【疲れは足から来る】って?湯あみは出来ずとも足洗って足裏のツボ押したりふくらはぎ揉んだりすりゃ疲れたまらんって。」

草津の宿場を過ぎてからしばらく、源四郎と弥五郎が話しながら街道を行く。

「あと源四郎様のいう【ととのう】ってやつ!アレなんとなく分かってきた気がしますよ♫」

「おっ♫おまえも分かるようになったか!」

「ええ。はじめはせっかくあったまったのにまた体冷やすとか正気の沙汰とは思えませんでしたがね!」

「人を狂人扱いか?でも()()やろうとすると周りの目がなぁ。だから風呂は一番最後に入らなきゃなんだよ。」

「ほんとにそうですね。」

源四郎の言う()()とは【外気浴と水浴び】である。

当時宿場の風呂と言えば所謂【蒸し風呂】、サウナであるが現在のようにキチンと外気浴スペース+水風呂などある訳もなく…

源四郎は宿の主人に無理言って風呂は一番最後にし片付けや掃除を手伝う代わりに人払いと水の用意をしてもらい【外気浴】及び【温冷交互浴】をして疲れを取っていた(無論弥五郎も付き合わせて)。

はじめこそ自ら言ったように「せっかく温めた身体を冷やすとか正気ですか!?」なんて言ってた弥五郎も今では「ふぃ〜…あ〜。」とか言いながら外気浴と水浴び、温冷交代浴を楽しむようになっていた。

「実はな、俺たちはたらいで水かぶるだけだが…本来温まったあと水の中にしばらく浸かる方がいいんだぞ?」

「あ〜わかりますソレ、気持ちよさそう♪郷に作りませんかぁ蒸し風呂??」

「そりゃ父上も抱き込まんとな。それに……」

「それに?」

「いつかみおとも一緒に入れたらいいな…デュフフ♫」

「…この好色者め。」

「なんか言った……!弥五郎!!見えたぞ!!!」ダッ

「あっ!?ちょっと!?!?」ダッ

駆け出した源四郎、それを追う弥五郎。

その眼前には…

「おおおおおお!あれが安土の城かぁ!」

在りし日(現代日本で自衛官やってた頃)にプラモデルで見たまんまの絢爛さで【安土城】が建っていた。

――安土城下――

「すっげぇ人だな!はぐれんなよ弥五郎!」

「それはこっちの台詞ですよ源四郎様!!」

安土城下はそれはそれは人でごった返していた。

信長の政策【楽市楽座】により様々な物や職種の人間がこの城下に集まり活気付く市場。

更に海を越えやって来たキリスト教の宣教師達が「東洋の楽園」、「桃源郷」と褒め称えた美しく整備された街並み…

「どんだけ先を行くんだよ織田の殿様は…って!?弥五郎!やごろ〜!」

町並みに気を取られ弥五郎とはぐれる源四郎。

「かぁ〜!言ってた本人がこのザマかよ!ったく仕方ねぇ………一人で色々見て回るか、最悪夕暮れに宿がある界隈に行きゃ合流出来んだろ。」

開き直って城下見物を再開する源四郎。

「さてはて、どこ見に行こうかなぁ〜…って、ん??」

市場から外れ裏通りに出るとそこはまだ普請(造成)の終わらぬ普請場であった。

そこもまた様々な人々が働き賑わっていた。

「へぇ〜、この頃って城下の普請は終わってなかったんか。」

「…おい、そこの小僧。」

「ん?」

普請場の方をみていると不意に普請場で作業する者たちの棟梁だろうか?

()()()()()()()()を付けた男が源四郎に声をかける。

()()()()()()()()?」

「見たところ行商人の丁稚と言ったところか…お主【梅干し】を持ってはおらぬか?」

棟梁風の男が問う。

この当時、塩自体貴重な為【梅干し】はあれど超高級品であったが…真田の郷は鴨関連で儲けがあるので塩を手に入れるのもお手の物。

そういうわけで源四郎もおとり謹製の梅干しを塩壺一つ分持っていた(ちなみに弥五郎も)

「【梅干し】?持ってるけどすぐには食えねぇよ??少し塩抜きしなきゃ…」

「おぉ!用意がいいのぉ!塩抜きならば大丈夫よ!!あと半刻後の飯時までに抜ければな!!!」

「半刻ありゃ抜けるかな?なら譲ったげるよ。」

「うむ!代金はこれでどうじゃ。」ジャラ

棟梁風の男が金を出してくる…が如何に塩、梅干しが貴重とてその量は多かった。

ざっと相場の1.5倍、下手したら2倍はある。

「!?おっちゃん、こりゃ貰いすぎだよ!」

「はは、よいよい。貴重な【梅干し】を譲ってもらうのだ、対価はキチンと払わんとな。」ニッ

男はニカッと笑い源四郎にそう言う。

「そうか…したらおっちゃん!俺の()()貸したるよ!見たところ溝の普請やってんだろ?」

「…ほぉ?各地を見て回った行商人としての知恵を貸してくれると言うか、面白いの。ではついてこい。」

「おう!(…っかし、尊大とまではいかねぇが変に威厳のあるおっちゃんだな)。」

腹の内でそんなことを思いながら男について行く源四郎であった。

――溝の普請箇所――

「おぉ!戻られましたか殿()ぉ!」

「む?()()か。【水秤】の手配はどうじゃ?」

「ははっ!大工共に言うて万事整いましてございまする!…って殿、その童は?」

サルと呼ばれた武士がこちらへ目を向ける。

「へ?………とととととと、殿()!?おっちゃん、まさか!?」

「おっちゃん!?童ぁ!貴様この御方をどなたと心得る!?この方こそ…」

「あーよいよい、名乗らんだ俺が悪いのよ…とまぁ小僧、俺が織田【上総介】信長である。」

「…(信長公が普請場の現場監督みたいなことしてたっての、マジだったんだな)」ポカーン

後の世の創作の中の話だと思っていた「織田信長の普請場視察」が現実だと知って呆気に取られる源四郎。

そりゃそうだ。

「ん?()()??じゃあ()()()()()()()()()が…」

「こらぁ!童!お主がサルと呼ぶでない!その呼び名を使っていいは殿のみじゃあ!だいたいとっつぁんとは何じゃ、とっつぁんとは!!」

「これサル!お主、歳の差を考えよ!こやつほどの子がいてもおかしくはなかろう!」

「!そうでしたな、年甲斐もなくムキになってしもうて…すまなんだで、童。わしの名は羽柴秀吉じゃ、よろしく頼むぞ。」

「おう!よろしくなとっつあん!」

「あ!?まったく口の減らん童じゃの、してお主の名は?」

「………こんなにすんなり天下の信長公にお会い出来たのだから隠し立ては無理だな。」ザッ

「むっ。」

「んん!?」

源四郎が背負い籠を置き片膝をつく。

そして…

「それがしは信州信濃は小県が国衆にして武田家家臣、真田昌幸が三男真田源四郎と申しまする。」

頭をさげしっかりと名乗る源四郎。

「ほぉ…」

「武田の縁者ぁ〜!?おみゃあ!その上でいけしゃあしゃあとおっちゃんだのとっつあんだのと…」

「よせサル。」

源四郎に詰め寄ろうとする秀吉を制する信長。

「殿!?」

「源四郎と申したな、ひとまずお主の()()とやらをみせい。」

「!」

「殿!しかし此奴は武田の手のもの…」

「俺を殺そうとするなら先ほどこやつから譲ってもらった【梅干し】に毒でも仕込もうぞ?だが…こやつの梅干し、大変塩辛くはあったが美味であったぞ?」

「え?おっちゃん、つまみ食いしたのかよ。」

「こら!おみゃあーまたおっちゃんと…」

「サル!このような格好で普請場に出てる以上おっちゃんで良いではないか。」

普通大名をおっちゃん呼ばわりすれば手打ちもやむ無しだが…流石織田信長、寛大である。

「…すみませぬ殿。」 

「へへ!口には合ったようで良かったよ、おっちゃん。」

「うむ。してあの【梅干し】誰が作ったのだ?」

「俺の家の女衆。ばっちゃまに姉上に母上…あとおこう姉様と………俺の女房のみお!!!」

「ほぉ!源四郎、お主その歳で女房がおるか!すみにおけん男よ!!」

「なぁ!?なんとませた童じゃ!」

「なんだとっつあん、羨ましいのか?」

「何この!わしにだって女房はおるわ!!」

「尻に敷かれとるがのぉ。」ニヤニヤ

ニヤニヤしながら秀吉を見る信長。

後の天下人もかかぁ天下だったのである。

「殿!殿!!それは言いっこなしでありまする!!」

「ははっ!この戦国の世、どこに言ってもだいたいはかかぁ天下だな!…さて。じゃあおっちゃん、とっつあん、溝の普請場所へ案内してよ♪」

「うむ。おぬしの()()とやら、見せてもらうぞ源四郎。」

「全く妙に馴れ馴れしい奴じゃ…まぁ嫌いではないがの。荷物はそこの小屋にでも置くがよい。」

「ありがとー、とっつあん。」

「あーもう…分かった分かった。とっつあんで良いからはよ来るだぎゃ!」

「おう!」タタタ

小走りで小屋に荷物を置きに行く源四郎。

一方その頃弥五郎はと言うと…

「げんしろぉさまあああああああ!」

市場の辺りで懸命に源四郎を探していましたとさ。

――城下普請場、溝施工箇所――

「ここぞ。」

「おぉ!こいつは…」

「驚いたかや童!」

源四郎が驚くのも無理はない。

家こそまだ建ってないがなんともきれいに区画された城下、そこに規則正しく溝が掘られ…

「うお!ちゃんと傾き取れてるし山留め板入れてるし…底は叩いて絞めてあるな!!」

「当たり前だでや!雨だろうがなんだろうがいざ戦となれば早々に出陣出来るように下水はしっかり整えとかねばな。ぬかるんだ道では出陣もままならん!」

「サルの言う通りよ。して源四郎、お主ここに手を加えると言うのか?」

「おうよおっちゃん!とっつあん【砕石】って用意出来る?」

「【砕石】?砕いた石などどうするだで?」

「この溝の底に敷く。」

「ほぉ?」

「んん!?そんなことしたらさらう時に大変だで源四郎??」

【砕石】を敷くと言う源四郎の案を訝しむ信長と秀吉。

しかし源次郎は続ける。

「確かに石ごとドブをさらうのは大変だけどさ…まず【砕石】って目安があればいざドブをさらう時にせっかく突き硬めたドブの底、削らなくて済むだろ?」

「それはそうよな。」

「そりゃあそうじゃが…源四郎、さらって【澱】や【塵芥】が付いた石はどうすっだぎゃ?」

「それはねぇ…おっ♫ちょうどいいとこに枝が。こんな感じの鉄製の網くっつけたのを作るんだよおっちゃん、とっつあん。」カリカリ

拾った枝で地面に絵を描き出す源四郎。

それは四角い底が網状の枡であった。

「これは…底が網になった枡か?」

「ほぉ〜…おみゃあ、絵心もあるのぉ源四郎。」

「へへっ♫で、この網の目を【砕石】より細かくして水でもかけながらゆすると【澱】は流れて綺麗な【砕石】に戻るのよ!これぞ【ガタ通し】ってね♫(元々は()()()()()()の実家に遊びに行った時にソイツの爺さん婆さんがアサリの選別すんのにやってたんだけどね)まぁ、【砕石】と一緒に残っちゃった【塵芥】は手で取り除かないと行けないけど。少なくともちょくちょくやれば【澱】から出る匂いも防げるよ?」

「ほぉ〜【ガタ通し】とな…」

「しっかし源四郎、こりゃ人手が…あ!おみゃあ、この普請が終わった後のことまで考えとるなぁ!!」

「おぉ!とっつあん、話早くて助かる♪おっちゃん、この溝の普請終わったら普通は普請場に来てた人たち、おまんま食い上げだよな?」

「ふっ、みなまで言うな源四郎…そのもの達をそっくりそのままドブさらいと【砕石】の洗い手として再び使えばいいのであろう?」ニヤリ

源四郎の言わんとすること、つまり【雇用創出】を察してか信長がニヤリと笑う。

【楽市楽座】を敷く信長にとって領内で新たな雇用が創出され金が回るのは願ったり叶ったりである。

「それにそのドブさらいの者たちに城下の見廻りも兼ねさせればよい…毎日どこかしらの町内のドブさらいをするようにしてな。」

「さっすがおっちゃん!言わなくてもそこまで分かってくれたか♪」

「ふっ。この話の流れからすれば当たり前よ。そして【ガタ通し】をして【砕石】が小さくなってきたら新たに【砕石】を用意する…そうよな?」

「そうそう♫その時はまた人手を募ってもいいし。」

「ふはは!お主、本当に武士の子ではなく商人(あきんど)か大工にでもなった方がよいのではないか?」

「へへっ♫天下の織田の殿様にそう言われると悪い気はしないよ。」

「ともなれば是非もなし…サル!」

「はっ!」

「すぐに城下の鍛冶屋、細工師に声を掛け【ガタ】の製作を進めよ。それからこの普請が終わった後もこの安土に居座りたいものを募れ。無論【ガタ通し】に溝さらいを兼ねた見廻り、【砕石洗い】の仕事を委細話してな。それから…これの塩抜きを頼む。」スッ

源四郎から譲って貰った【梅干し】を秀吉に託す信長。

「ははっ。では源四郎…おみゃあの背負い籠の所に水入れて置いとくだで、また後での!」ダッ

「おうよとっつあん。」

そう言って踵を返し市場の方へ向かう秀吉を見送る源四郎。

「(あのとっつあんが後の関白、【天下人】豊臣秀吉だもんなぁ)。」

「これ源四郎、溝はここだけではない。ほかも見て回ろうぞ?」

「ん?おぉそうだなおっちゃん。」

そう信長に返し普請場の見回りに付き合う源四郎であった。

――しばらく後、普請場の小屋――

「ふむ!やはり美味いのぉ真田の【梅干し】は!」モグモグ

「だから言ってんじゃんおっちゃん!うちのばっちゃまとみおが作った【梅干し】だもん、美味いにきまってんだろ?」モグモグ

荷物を置いた小屋(もともと普請に携わる者達の休憩所)で信長と握り飯を頬張る源四郎。

おかずは勿論ばっちゃま(と薫とみお)謹製の【梅干し】である。

「しかし見回り中に聞いたお主とみおの馴れ初め…そうか…こ、ここ、肥桶………ぷぷっ!」

「笑うんじゃねぇよおっちゃん!」

やはり「肥桶話」はどこで話してもウケがよろしいようである。

「すまぬすまぬ。しかしまこと、お主は家族と領民と…そして女房が好きなようだな。」

「おう!日ノ本一だぞ!!」

「ふっ…日ノ本一、か。源四郎よ、お主この安土をどう見る?」

すると信長が()()()()()()()()()()()()()()()()

「どうって…すげー活気に溢れたいい街だと思うぞ?」

「であろう。だが俺はそれをこの日ノ本全体に広げたいのよ…更に言えば【民の解放】を目指しておる。」

「民の解放…」

「そうじゃ。民が生まれや育ちを問わず…戦いたいものは武士に、田畑を耕したいものは百姓に、商いをしたいものは商人に…と身分などなくやりたいことをやり生きる。そんな世の中にな。そして源四郎。」

「ん?」モグモグ

()()()()()()()()()()()()()?」

「ッ!ゲホゲホ!」

信長に予想外のことを問われむせる源四郎。

信長の問う()()()、【民の解放】と言う名の自由競争が認められた先にあるのは…

()()()()()()()()()()()()()()である。

「…なんでそう思うんだおっちゃん!?」

「お主の目の奥にこことは…()()()()()()()()()()()()()()()()()…いわば()()()()。つまり俺の勘よ。」

「…へへっ!おっちゃんやっぱりすげーや!なんつー目してんだ!!」

「うむ。確かにこの目があったからこそ今日まで生きてこれたのやも知れんな」

信長の慧眼に感服した源四郎。

そして…

「…よし!じゃあ話すよ!()()()()()()()()()!!」

「面白い話を期待しておるぞ?」

源四郎が()()()()()()()()()()()()

()()()()()()()()()()()()()()()()()()、だ。

まずは民主主義について。

「ほぉ、家でも領地でもなく民が(あるじ)とな。帝は??」

「あくまで国の象徴!(まつりごと)には口出し出来ねぇよ。」

「それで帝は承知しているのか。」

「…帝を担いだもの達が外国と戦して幾千、幾万の民の涙と血が流れたから担ごうにも担げないようにそうなった………って言ったら信じる?」

「!…信じようぞ。」

「ありがとな、おっちゃん。」

選挙のこと。

「ほぉ、民が政を司る者を選ぶか。選ぶ際の根拠は?」

「ずばり人望!」

「人望とな!?かっかっか!その人望、得るにはいかがする?」

「そりゃ民の前でその選挙に出陣する輩がやりたいことを訴えて、それに惹かれた奴らが票を入れるのさ!ある種【言葉による戦】だよ!」

「【言葉による戦】か!なんとも安穏とした戦もあったもんじゃ!」

「ちなみにおっちゃん…」

「む?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「ふっ!是非もなし!!民の人望を集める治世を示せば良いのであろう?この信長に出来ぬと思うか???」

「…聞くまでもなかったな。けどなおっちゃん??」

「なんだ?」

「一度政の長、総理大臣になったら四年後にまた選挙すんだわ。」

「ほぉ、四年の任か。」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?素直に引き下がるか??」

「ふっ…ふっふっ…ははははは!」

「!?」

今日イチの笑いをする信長にビビる源四郎。

だが帰ってきたのは意外な答えだった。

「その時はこの信長…()()()()()()()()()()()()()と言うことよ、なれば潔く引こうぞ!!」

「ッ!…おっちゃんかっこいいな!俺だんだんおっちゃんのこと好きになってきたぞ♫」

「ならば我が織田に仕官するか?」

「それはねぇな!俺はみおの待つ小県に帰らにゃならんからな!!」

「ふん!二言目には女房か…だが俺にも帰蝶と言う女房がおる。今夜、久々に尻でも撫でてやるか。」

「おっ!?おっちゃんもすみに置けないねぇ♫」

「ふふっ、茶化すでないわ♫」

自衛隊のこと。

「じえいたい…それがお前の知る()()か。」

「おう!泰平の世だから実戦こそ経験した事はねぇが…誇り高き精強なる武士よ!!」

「そしてそんな武士の中でも選りすぐりの兵…錬者か。」

「練者じゃなくてレンジャー!」

「ははっ、そうであったな。」

そうこうするうちにあっと言う間に時は過ぎて…

「して源四郎、最後に聞きたい。」

「ん?なんだ、おっちゃん??」

「俺は、俺の目指す治世の先…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「!!!!!」

言葉に詰まる源四郎。

それもそのハズ、源四郎は知っているのである。

今後信長に振りかかる運命を…

()()()()()を。

「〜〜〜ッ!」

「…源四郎?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それを訝しげに見る信長。

「(…何かねぇのか!?()()()()()()()()()()()()()()()()!?)」

なんと源四郎、()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

しかも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()救おうと言うのである!!

それほど源四郎はこの織田信長に惹かれていた。

この男を救いたい、この男ならば…

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

その確信故に源四郎は心の底からこの男を救うべく思案を、思考を続けた。

…が!その思いはすぐ霧散する。

「ダメだ…(ボソッ)」カタカタ

「…」

小さく肩を震わせ呟く源四郎。

そして黙ってそれをみる信長。

そう…()()()()()()()()()()

「(明智光秀を暗殺!?そんなことをすれば織田方にすぐバレて武田は!いや真田は!攻め滅ぼされる!!そうなったら………()()()()()()()!?!?)」

「…。」

「(そもそも光秀がなぜ凶行に及んだか…その【動機】は未だかつて解明されていない!つまり【黒幕】がいる可能性すらある!!)」

「…。」

「(その状況で光秀を討ったところで!第二第三の【明智光秀】が出てくるだけだぞ!?)」

「…。」

「(じゃあ真田の手の者と俺とで京都に潜伏しておっちゃんをすんでのところで救出!?無理だ!明智は毛利攻めの最中に反旗を翻すんだぞ!どんだけの兵力だと思ってる!?真田の兵、弾薬、兵一人一人の練度!何一つ足らん!!そもそも京都の公家、寺社仏閣、商人にパイプのない今どこに潜伏すんだよ!?)」

「…。」

「(無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!無理だ!)」

「…。」

「(…けど。けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!けど!)」

「…。」

自衛官、いやレンジャーとして培った【停止しない思考】が()()()()()()()()()()

「〜〜〜〜〜〜ッゥ!」

一人低く唸る源四郎。

その時だった!

「源四郎ッ!」

「…はっ。」ポタリ

信長の一喝で我に返る源四郎。

そしてその目からは大粒の涙が流れる。

それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「…そうか。俺は()()()()()()()()()()()()()()()。」

「!!!…あっ…ああ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

堰を切ったような源四郎の涙、そして慟哭の叫び。

()()()()()()()()

()()()()()()()()()()()()()

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

己の無力さ、未熟さを痛感し泣きじゃくる源四郎。

が、信長は至って冷静だった。

「…泣くな、源四郎。」

「ッッッ!!」グズ

話しかけられ一旦は泣くのをやめる源四郎。

そんな源四郎の頭に手を置き語りかける信長。

「俺はたとえここで…安土で灰になろうとも満足じゃ。」

「!!」

「何せ…お主と言う俺の目指す先を知る【大輪の花】と出会えたのだからな♫」ガシガシ

「おっちゃん…ッ!」

手荒くも、慈しみを込め源四郎を撫でる信長。

「だがの源四郎、泣くのはこれで最後にせい…」スッ

「!!!」

撫でるのをやめ信長が立ち上がる。

と同時に一瞬で空気が変わる。

それは今まで【気のいい殿様】だった信長が【第六天魔王】と化したことを意味する。

「源四郎…涙をふきお主が先ほど話した通り薩摩へ向え!!!!!」

「!!!」

「【力なき者】が何かを語れるほどこの戦国乱世は甘くはない!行って技を磨き、力を蓄えよ!!!お主の愛する真田の郷の!民の!家の!家族の!そして…()()()()()()()()()()()!敵を討ち滅ぼす【(つるぎ)】となれぃ!!!」

「…【剣】ッ!」

「これが…織田【上総介】信長から真田源四郎への【最初で最後の命】である!………よいな?」

「…」スッ

無言のまま立膝をつく源四郎。

そして…

「真田源四郎…しかと!しかと!その【命】!承りました…()()()ッ!」カッ

信長を見据え源四郎が【拝命】する。

「ふっ…しかと励め、源四郎!!!」

「はっ!」

――信長からの【拝命】よりしばし後――

――安土城下、宿屋通り――

「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!やっと見つけましたよ源四郎様ぁ!何処行って…」

宿屋前にて源四郎を見つけた弥五郎が言いかけるも…

「アレ?源四郎様、()()()()()|?」

「…うるせぇ。」

「いや!?絶対泣いてますよね!?何がありました!?財布でも落としましたか!?それとも足の小指をどっかに…」

「だぁああああああ!うるせぇっつてんだこんダボぉ!」スッ

グギギギ

「ちょ!?痛い!?痛いですって!?あだだだだ!?」

一瞬で弥五郎の背後に回り込み…卍固めを極める源四郎。

「ていうか機嫌悪くないですか!?いてててててて!」

「うるせぇえええ!だいたい今日はこのまま安土を発つんだよ!()()()()()()()()()()()()!!!」

「里心って!?あんたのお里は小県…いてぇええええ!?」

――ところ変わって溝の普請場――

「あ!おられましたな!殿ぉ〜…ってありゃ?源四郎めはどこに?」

鍛冶屋から戻った秀吉が信長を見つけ声をかける。

「ふっ、つい先程堺へ発ったわ。」

「ほぇ〜、酔狂な奴ですねぇ。もう日も傾いてるってのに。…野宿は避けられますまいに。」

「承知の上であろう…しっかし、まこと面白い奴であったのぉサル。」

「えぇ。多少生意気ではあれど…あやつ、いい武士になりましょうぞ。」

「…ヘタをするとそれ以上やも知れぬぞサル?」

「へ?殿、今なんと??」

「…なんでもないわ。」

「?」

「(源四郎よ、お前と語ったこの日を俺は忘れぬ…が、惜しむらくはお主の話の中で出た【真田の治部煮】、食ってみたかったのぉ)。」

こうして織田信長との邂逅、そして【信長からの最初で最後の拝命】を経て源四郎は【修羅の巷】九州へ!!!

――第壱章、完!――





















の、信長公おおおおお(´;ω;`)

あんた男だでやぁ!

…てなもんで第壱章、如何だったでしょうか?

さて次章より物語は九州へ!

そして…(恐らく)みんな大好きあの【戦国の問題児】が登場します!

刮目して待て!!

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