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四大国物語  作者: 上崎新一
一章 シアトル村のリーファ
3/3

疎遠

 姉の礼拝が終わった後、一緒に家へと帰った。

しかし、会話がない。気まずい雰囲気が朝の冷気に相乗する。

 しかし、このままでは、姉ともう距離を縮められないような気がしてルーファは焦るようにして姉に声をかけた。

「ねぇ、お姉ちゃん」

「なに?」

「私さ、再来月誕生日なんだよ?覚えてる?」

「もちろん覚えてるわ。いよいよ16ね。」

 あまりの素っ気なさに少し落胆する。16になることは、ダンジョンへ行くことを許可される、いわば正式にこの村の一員として認められる一大イベントだ。もう少し祝ってくれても良いんじゃないかと、少し腐れる。

「私もダンジョンに行くのか〜、緊張してきたな〜。」

……………。沈黙の時間が再び流れる。

「……。貴方は、ルーファは絶対に死なないでね。」

 はっと姉の方を向く。そう言った姉の唇はかすかに震えていた。

「あなたまで死んでしまったら、私はもう神を信じられなくなる。だから、絶対に死なないで。」

 姉がこんな事を言うのは初めてだ。ましてや神を少しでも悪くいうようなことは、今まで一度もなかった。

「うん。約束ね!私絶対死なないから!なんなら、村のみんなを守れるようになるよ!」

 姉が自分のことを気にかけてくれていたことが嬉しくて、少し晴れがましい気持ちになった。

「お姉ちゃんを一人にさせないから!」

 姉も、一人になるのが怖いのかも知れない。自分が4年前そうだったように。

 姉は自分の感情を押し殺しているのではなかろうか。ちゃんとリーファはリーファができているだろうか。少しでも自分が、姉のこのろのささえになれれば良いなと思った。

 神の話を姉が出してきたことで、ふと先ほど疑念に思ったことを思い出した。

「ねぇねぇ、お姉ちゃん。なんで魔法の禁忌で命を作っちゃいけないのに、ダンジョンには魔物がいるの?西2国の魔法使いが作ったんだよね?

確かそれが、四大国東西対立の始まりなんだよね?」

 姉は、今まで見たことのないような驚いた表情で、こちらを振り返ってきた。少し気圧される。

「その考えを、確信が持てるまで絶対にほかの人に言うんじゃないよ。」

「え?」

「わかった?」

「う、うん。」

 何かまずいことを聞いてしまったのかもしれない。姉は敬虔なフィリシア教徒だ。神話を大して知らない私が突っ込むのを、嫌がってしまったのかもしれない。

 後悔のなか、ルーファは姉と歩き始めた。



 あっという間に二ヶ月は過ぎていった。姉は最近、朝に教会にはいかず、事務作業をしに昼に行っていた。カヤは寂しいらしく、姉にちょくちょく文句を言っていた。

 姉が教会に行かない代わりに、一緒に過ごす時間が増えた。ルーファにとっては、一緒に過ごす時間が増えて、とても嬉しかった。しかし、姉の表情は日に日に曇っていった。

 誕生日当日。村の皆は教会に集まり16歳を迎えた人間を祝福することになっている。

 姉と教会に向かうと、そこには村の皆が準備をしていた。

「おぉ!!主役の登場だぜ!」

 ルーファが入ると同時に声を上げたのは、幼馴染のトルだった。それを筆頭に、皆がこちらを見る。

「おぉ!今日は寝坊しなかったんだな!」

「カールさん!私最近朝寝坊克服してきたんですよ!」

「フフッ。リーファちゃんのおかげね。」

「はい。シャラさん。妹は私がみっちり叩き起こしてましたから。最近はちゃんと起きるようになったんですよ。」

 そこに、豪勢な食事を運んできたカヤも便乗する。

「おや?リウッツィ?あんたも見習ったほうが良いんじゃない?って、もういなくなってるわ…。」

「アイツは逃げ足だけは速いもんな。」

 声がした方に目を向けると、前線で村を守っていたタールが帰ってきていた。傷だらけで貫禄のある顔に、大柄な体格。破れた袖から見える筋肉には、傷が増えた気がする。

「タールさん!軍事施設から戻ってきてたんですね!」

「おうよ!嫁さんに子供ができたから、こっちに移ってきたんだ。」

 突然の懐妊の報告に周りはざわめきだった。

「おい!聞いてねぇぞ!?」

「いつの間に!?」

「それはそれは!おめでたいですね!私も神に祈りを捧げておきます。無事生まれますようにと。」

 いつの間にか、リウッツィが戻ってきていた。

やたら嗅覚がいいのか。おめでたい報告を聞いてすぐに駆けつけている。

「まぁいい、そのお祝いはまた今度パァーッとやろうぜ。今日の主役は、ルーファなんだからな。」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。もし誤字脱字や設定の矛盾、不備等あれば、教えていただけるとありがたいです。

次回はとても短い短編になると思います。

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