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プロローグ:未解決事件

それは今から30年前のことだった。

ある富豪の屋敷から、ひとつの絵画が盗まれた。

大の男が二人がかりでも苦労するほどの巨大なキャンバスに描かれた、とある巨匠の初期作品。古都アルテリオの始まりを描いた、伝説の名画とされていた。


容疑者は、当時巷を騒がせていた3人組の怪盗団ギャラリーゴースト

彼らは“誰も傷つけない美術品泥棒”として、一部では英雄視されていた。


わざわざ予告状までよこしたギャラリーゴーストは、宣言通り深夜に屋敷に現れた。

そして、厳重にロックされた屋敷の展示室に容易く侵入し、巨大な絵画をあっさりと盗み出したのだ。

警察も警備員も、あとに残された贋作にまんまと騙され、絵画がすり替えられていたことにすら気づかなかった。


当時、一人の巡査が屋敷の裏庭で警備にあたっていた。

不審な物音に気付いた巡査は、逃走中のギャラリーゴーストと遭遇。

そのうちの1名と揉み合いになり発砲。左足に傷を負わせるも、巡査自身も左肩に銃弾を受け、犯人を取り逃がした。


逃走時に目撃された姿から、警察は当初から“男3人組”と断定していた。

足跡の大きさや体格から、女性の可能性は考慮されなかった。

ギャラリーゴーストが負傷者を出したのは、これが初めてだった。警察はすぐに捜査範囲を拡大したが、逮捕には至らなかった。以降、ギャラリーゴーストの消息は不明である。


その後、担当刑事となった元巡査の捜査により、あの絵画はアルテリオ市立美術館から盗難されたものを、富豪が不当な手段で入手していたことが判明した。


その他のギャラリーゴーストが関与したとされる盗難事件においても、盗まれた美術品は、かつて盗難に遭ったものや違法な手段で入手されたものであることが確認されている。


以降、30年が過ぎた今もなお――

ギャラリーゴーストは、誰一人として捕まっていない。


イーライ・シェパード警視の記録より

毎週、金曜日の夜に投稿予定です。

闇の香り編より少し短くなるかもしれません。

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