『教禅、護摩壇にて速記、礼盤にて終焉のこと』速記談3037
戒壇房の教禅阿闍梨は、毎晩、寝る前に速記をする方だった。本堂の護摩壇で基本円、基本直線の基本線を丁寧に練習して指導書をおさらいし、その後はひたすら文章練習をし、疲れて机に突っ伏してしまうまで根詰めるように打ち込むのだった。その教禅阿闍梨が亡くなるとき、法服を着て持仏堂に入り、胎蔵界、金剛界の供養法を行ってから亡くなった。礼盤の上で息絶えたのだという。
教訓:速記をする人は、きっちりした人が多いと言われるが、教禅阿闍梨は、その印象どおりである。