表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幻想奇譚

願って救われるなら

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

現れた男性はロキです。

生まれ育った場所が場所なので、この言葉。


鐘の音を聞いたのです。主旋律はアレグロ、対旋律はレント。当たり一面に響き渡る、目の覚める様な早鳴で。そうして見上げた視線の先には一つの建造物が御座いました。

淡い緑色の帽子被ったような屋根に、曲線で描かれた装飾達。そうして壁に嵌め込まれたステンドグラスが、聖人様のお姿を現しておいでです。

私は暫くまじまじと見詰めた後に、くるりと回り込んでおりました。そうして導かれる様に、中へと誘われました。えぇ、イエス様のお導きのままに。

中に入ると、荘厳な風景が広がっております。薄い水色の壁に、長い年月を経た金の装飾。そして複数の羽を持つ天使様と対峙致しました。両脇には外で拝見させて戴いた聖人様が。真上から優しく見下ろして下さいます。天井にはオペラ座で使用される、花弁の様なシャンデリアが真上まで。以前、画像で拝見させて戴いた白と金の絢爛豪華な内装とは異なり、何処か落ち着いた雰囲気が私の素肌を撫でるのです。

私は端の方に置かれた木製の椅子に腰掛けて、その煌びやかな空気に浸っておりました。時折顔を上げると、ため息が出るほど美しい青が目に入ります。そんな風にただ微睡んでおりますと、お独りの男性が、お出でになりました。

すらりとした高身長、ふさふさとした長髪、そしておっとりとしたタレ目が美しい男性で御座います。その豊かな髪から、お知り合いを連想したのは、私だけでは無いでしょう。

「カルぺ・ノクテム、お嬢さん」

御方はその薄い唇を開きます。そうして癖のない柔らかな声で私に問いかけるのです。

「此処に来るのは初めてかな?」

「はい。兼ねてより、興味を惹かれておりましたが、訪れるのは」

そう、申し上げると男性はにっこりと笑って、視線をお上げになりました。視線の先には聖人様のステンドグラス。

「此処に嵌められた聖人のお名前は……ええと……うん、忘れてしまった」

あらまぁ。

「でも、人から聞いたエピソードはちゃんと覚えてるよ。お母さんを天国へ行かせる為に、お母さんの善行を神様に伝えた話。確か……葱がどうとか……。天国に召されるとか何とか……」

「海外の宗教は、葱に馴染み深いのですねぇ」

キリスト教に関しては詳しくは御座いません。ワインとパンがイエス様の血と肉であることくらいしか。故、少し驚きが勝ります。

そうお返しすると、ただただ悲しそうな目をなさって、囁くようにお話になるのです。

「願って誰かが救われるなら、どれだけいい事だろうか。でも……亡くなったからこそ、天国に行かせてあげたいよね」

そのお言葉に返す言葉が御座いません。慰めも、励ましも、きっと遠い場所にお住みの方なのでしょう。

故……どうかこの美しさがこの方の心を癒して下さいますよう。

怪異を題材にしたアニメがあるんです。

それの座敷童子のお話のモデルになった場所へ行って参りました。

とても綺麗でした。螺鈿の装飾がとても。

でも上手く言葉にならなかったので、言葉になる方に。


登場したのは、カルぺ・ノクテムのロキです。

彼奴の生まれの世界が中々に歪。

不老不死ですが子供が生まれると、片方の親が狂うんです。

だから此方が対処するしかないんです。


何故、我々を作った神々は、楽に死なせてやらなかったのか。

殺すにしても、もっと良い方法があるはずだ。

という思い。だから。

あんまり神様のこと好きじゃない。

でも天国には行かせてあげたい。

その思いからこの台詞。

「願って救われるなら、どれだけいいだろうか」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ