3.5 瞬
フッと意識が浮上するとマップ上に二匹の赤い点が映る。
「サイルもしっかり戦えるね」
気配を辿りながら呟くとゆっくり目を開ける。
火の番はこっちでするからゆっくり休んでくれと言われた。
本当は野営もさせたくないらしい。
むしろこっちに来てから野営しかしてませんが?
土魔法で地面をフカフカにしてるから特に不満はない。
「さて…遮音。」
ヒュンとテント内に遮音結界が張られる。
ブォンと、目の前に日本で愛用していたパッドの画面が現れた。
「ふふ、めっちゃ連絡来てる」
画面には35件の通知のランプがチカチカと瞬を急かしていた。ポチっと中身を開き読み終えると返信していく。
『大丈夫。多分変な人?達じゃないよ』
『もう!駄目よ、もふもふだからって油断しちゃ!』
『わかってるよ、鑑定もちゃんとしたしね』
メルディスは、基本的にこの世界に干渉できない。
時折神託などで、災害を予期したりなどはするらしいが、それも余程酷い場合のみで見守っている。
過ぎた力はその世界の運命をいとも簡単に摘み取ってしまえるのだ。
私は少し例外らしく、私の体を作るときにほんの一欠片メルディスの力を入れてもらったらしい。(あとで知った)
こんな風に連絡が取れるのも気付いたのは少し前で、久しぶりに開いたステータス画面に煩いくらいにチカチカとしている手紙マークの画面に手を触れた時だった。
あの時は散々拗ねられた。
説明したと言っていたが正直色んな話しをしていたのと、森でどのように生活していくかを考えていたので記憶が朧気だ。
『ありがとう、3人掛かりでも負けないけどね』
頻繁に連絡はこない。
けれどこんな風に時折心配して連絡をしてくる、心配性のお姉さんができたようで擽ったい。
『で?どの子がタイプの体だった?』
うん。相変わらずでなによりだ。