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僕が五歳のクリスマス

作者: 鉄 竜太

クリスマスの夜。サンタクロースの格好をした泥棒が窓からうちに入ってきて僕に挨拶してきた。当時五歳だった僕はサンタクロースに会えたんだと思って喜んで両親を叩き起こしたところ、母は半狂乱になって枕を振り回し、父はゴジラみたいな声で叫びながらクローゼットからショットガンを取り出して、聖なる夜の静寂を二度の銃声で歪ませた。

幸い(と言っていいのか)泥棒に弾丸は命中せず、母が「逃がさないわよ!」と発狂しながらオモチャのピアノを投てきし、それが泥棒の脳天に命中。チロリロリン、と雪の舞うような音を鳴らしてピアノと共に粉砕した。

しばらくしたら家の前に赤やら青やらギラギラと光らせてウーウーと大きな音を出す豪華な車が集まり、家のチャイムが鳴ったので父が扉を開けるとそこには三人の黒い制服を着たマッチョ聖歌隊おり。キャンドルではなくフラッシュライト。ハンドベルではなくハンドガンを手に持ち「サンタクロースはどこですか」とドスのきいた声で聞いてきた。

父が泥棒が倒れているところまで案内すると、聖歌隊はすかさず手錠をかけ、意識が朦朧としている泥棒の頬を叩き「クリスマスに寝てんじゃねぇよ」と例のドスのきいた声で無理やり立たせ、外で停まっているド派手に光るタイヤ付きのソリに連れていかれた。

「それでは、メリークリスマス!」

ソリが出発する前に運転席からドライバーが僕にそう言ったが、とてもそんな気分ではない。これが僕の五歳の時のクリスマス。

そういえば朝起きたらクリスマスツリーの下にはサッカーボールと木馬とスターウォーズの戦闘機のオモチャが置いてあったが、これは本当に本物のサンタクロースがくれたのだろうか。


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