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91.ハヴェルとお話。

「色々と確認をしたいと思いまして」


 なんの確認かな? 確認するのはいい事だと思うけど。

 サロンで向かい合わせに座るとハヴェルが紙を取り出して口を開いた。私のありえない事に対して何か言いたい事あるのかな? と思ったらそうではなかったらしい。


「リーディア様が進めたいと思ってらっしゃるのは、ダイズの栽培、ソーセージ工場、ショウユ? 蔵? 孤児院の移転、騎士装備の一掃、などでよろしいでしょうか?」

「そうね。多分? あ、ダナからの要望が出たので使用人のお仕着せも一掃かな?」


「……え? 侍女服、だけでなく……?」

「うん。不公平だもの」


 え? とハヴェルが固まった。


「あの、その資金はどこから……?」

「うん。エルが王都に行ってるでしょ? エルに頼んであるの。多分大丈夫だと思うけど……エルは大丈夫だ、って言ってたんだけどね」

「エルに……?」

「うん。ちょっと高額で売れそうなものを作ったので」


 ちらっと私がポーチに視線を向ける。ハヴェルはすぐに気づいたらしい。


「まさか……それと同じような……?」

「ううん! 違うよ! エルがそれはダメだって。前にエルが使っていたバッグ位のもの」

「……………………ああ、それは……うん。資金は大丈夫そうですね」


 あ? やっぱり大丈夫なの? え? 一体どれ位で売れるんだろうか?


「でも、リーディア様の私財を公費に?」

「公費にはしないよ? だからハヴェルに……裏帳簿……を管理してほしいかなって」


 裏帳簿は小声で言いましたよ。ハヴェルに聞こえる位の小ささで。口パク位。エルの音遮断魔法がないから下手な事言えないんだよねー! エルー帰って来てー。


「それとなにか、他の町などの事も気にかかるようだ、とテオドルからお聞きしましたが?」

「ああ、そうなんだよね……」


 そういえばハヴェルって私が誘拐されていた事とか聞いたのかな? どうなんだろ?


「ツィブルカ、ひどかったんだよね。門番は勝手に通行料を多く取ってたり、冒険者や警備兵が私に奴隷に売るぞって言ってきたり」

「は!?」

「エルが全部どうにかしてくれちゃったんだけど」

「……あいつ、何してんの?」

 

「だよねー! 私もそう思う。で、門番の不正がうちの侍女長と繋がっていたりとか、なんかすごくて。領都でこんななら地方でもそういうんじゃ? と思って。帳簿見ると一〇年間ほぼ数字が変わらないんだよね。普通は天候によって収穫量が変わったりするわけで。それがほぼ一〇年間ツィブルカ全般でどこも変わらないっておかしいでしょ? だから私が視察に行こうかなと思ったけど、子供だし。なので誰か有能な人助けてー、エル誰かいない? って聞いたらハヴェルを紹介してくれたのよ」


「そうですか……」


「でもその後色々あって。で、領都でも色々する事になっちゃって。あと色々色々不都合があったりとか……なんかやる事増えちゃったりしたんだけど」


 ハヴェルがくすりと苦笑いを浮かべた。色々内緒なんで言えないんです。


「資金が大丈夫そうなら、ソーセージ工場とショウユ? 蔵? と孤児院ですが、領都内の東外れ、今の孤児院の場所からあまり離れていない場所があるそうです。テオドルがそこはどうかと」

「ああ、今の場所から離れていないのは孤児院にはいいかもしれませんね。広さはどの位でしょう?」


 ハヴェルは自分の足で後で確認に行ってみるそうです。お願いします。


「それでショウユ蔵? というのは何なんです?」

「醤油蔵は醤油蔵なんです。ん? 大豆から作る調味料です。あー……将来的に豆腐とかも作れるようにしたいから大豆関係の土地は広くしてもらおうかな……あ、でも働いてくれる人を募集しなきゃないのか……うーん……ソーセージは燻製工房があるからいいけども、醤油蔵が困ったな……」


「リーディア様」

「なーにー?」

「人手が足りないなら一人、雇っていただけませんか? 仕事は出来るんです。でも孤児院育ちで、黒持ちなんです」


 ハヴェルが眉をぎゅっと顰める。


「いーよー! ハヴェルが勧めるなら本当に出来る子でいい子なんでしょうから」

「子、って……もう一四歳ですよ。私も元々は王都の孤児院育ちなんですが、同じ孤児院にいたヤツで、黒持ちだから色々不利になると思って俺が文字とかも教えて……でも孤児で黒持ちなんて働く場所もなく日雇いとか冒険者登録して雑用とかしてるんです。いいヤツで腐る事もなくて」


 ううう……不憫だ……。


「有能ないい子はうちで引き取りますとも! じゃあ醤油蔵を任せられるか見てみて決めましょう。他にしたい仕事があるかもしれないし。今どこにいるの? その子」


「王都です」

「あ、じゃあエルが帰りに連れてきてくれないかな? 住んでいる所は? 名前は?」

「住んでいるのは孤児院近くの孤児院の子達が皆で出しあって住んでいる襤褸(ぼろ)の部屋です。名前はアロイス。孤児院で聞けば場所は分かるはず」

 

 孤児院の子達は稼ぐのがどこでも大変って事か……。


「分かった。エルに伝えてみる」


 エルのお仕事が増えちゃったかもだけど、黒いからってそんな理不尽はひどすぎる。きっとエルも連れて来るのを嫌だ、とは言わないはずだ。

 

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 類友で、なんだかんだ孤児出身の子たちを引き取りそうね(*´-`)良い子は歓迎
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