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4.魔法は金がかかるらしい。

「魔法ってどうやったら使えるの!?」

「魔法陣と魔石と魔力だな」


 魔法陣と魔石と魔力!!! なるほど。

 魔力は自分の持っているものって事だろう。魔石とは? 魔法陣は? 魔法陣は自分で書くのか? 何に?

 リーディアの記憶の中に魔法の事など何もない。お勉強しとけよ! って怠惰にしてたのは日本人の記憶が出てくる前の自分なんだろうけども。

 どうにも今は元日本人の記憶が前面に出てきている感じなのだ。リーディアの記憶も勿論しっかりとはあるんだけれども。


「魔法陣ってどう書くの? 魔石って?」

「魔法陣は魔獣の皮に書く。魔獣皮紙ってやつだな。魔力を多く持っている魔獣の皮紙ほど高価になる。魔石も同じく魔獣から取れる。魔獣の血はインクに使う」


 うん、うん。魔獣ありきなんですね! 分かった!


「金がかかる」

「え? ……はい?」


 小さい手の平位の大きさの小さな明かりに照らされてエルの強面ながらも端正な顔が真剣な顔をして頷いている。


「魔獣皮紙は魔力を多く含んだ強い魔獣の物ほど高価になる。皮から紙にする加工も手間がかかるし、インクも特殊な加工がいるから高価になる。魔石も当然ながら強い魔獣の魔石は美しく宝石と同等以上に扱われるので高価だ」

「…………マジか」


 まさかの! 魔法には金がかかるらしい件。がっかりだよ! 自分の魔力でえーい! って出来るのではないの!? そんなの魔法じゃなくない?


「……マジカ……ってどういう意味だ? 何度か聞いたが」

「あ、お気にせず」


 おおう! マジかって言葉は通じないらしい。ちょっと気を付けた方がいいかな?


 それよりも! 魔法を使うには…………魔獣を自分で狩って自分で加工すればいいのでは? 私は魔法を使ってみたいのだ!


「エル、魔法陣ってどういうの?」

「見た事はないのか?」


 エルはごそごそと小さい袋から紙を取り出した。手の平よりも小さい紙になにやら円とか模様のように見える字? が書き込んである。


「これがこの明かりの魔法陣。魔石は小さいのでいいし魔力の消費も少ないので中々使い勝手がいい」


 ほええええ! と魔法陣に見入った。ふむふむ。字が書いてあるが、不勉強だったリーディアはすんなりと読む事が出来ないらしい。これはまず勉強が急務だな!


「外側には女神ヴェンドラの名、ヴェンドラの許可を得て魔法を使わさせていただきます、という意味らしい。あとは範囲や指定、どういう魔法を使うのか。陣の中に文字が入らなければ作動しない。魔力消費が激しすぎれば作動しなかったり作動しても持続しなかったりする」

「……なるほど」

「魔法陣を書く時も魔力を込めながら書かなければならない。魔力を込めて魔法陣を書いておいて魔石で作動させ持続させる」

「ほうほう」


 つまり魔石は電池とスイッチの役割って事かな?


「使う時に魔石にも魔力を込めなければならないし魔力が多くないと魔法は使い勝手が悪い」


 おおう……私には魔力があるのかしら? 是非! チートを!

 というか……あまり今まで長々と話さなかったエルが長く喋っている。もしかして魔法好きか? 是非とも仲良くしたいものである。

 とりあえず文字を覚えなきゃ話にならんわな。八歳にもなって文字が読めぬとは元日本人の私からしたらありえぬ。

 いや、他人の書いた魔法陣でも使えるのか? いや、そもそも魔力を込めるってどうやっていいのか分からんからな……。


 そういえば自分が思い出した事を話そうとしていたのに魔法に触れてつい脱線してしまった。


「エル、魔法の事色々教えて欲しいんだけど」

「…………いいが、いいのか?」

「ん?」


 いいけど、いいのかってどういう意味? と首を傾げるとエルが不思議そうな表情をしていた。


「我が国では女性が魔法を使うのはあまり奨励されていないだろう?」

「えーーー! マジか……」


 あ、またつい出てしまった。マジか、は封印しなきゃないかしらね? ま、いいや。


「なんで? どうして!?」

「女性は家を守るのが仕事だ。隣のユジェナ国では魔法が発展していてそんな事はないらしいが……」


 私、隣の国に行こうかしらね……。というか! 女性は家を守るのが仕事って! 時代遅れでしょ! 何時代なのかこの世界の事など知らんけども。でも隣の国ではそんな事はないというならやっぱこの国が遅れてるんじゃないの?


「私は気にしない! といっても私が魔力持ってるかどうかは知らないんだけど」

「ディアは魔力を持っているが?」

「え? そうなの?」

「ああ。俺は魔力を感知できる」


 よっしゃーー! 魔法を使える!!! よし! やる気が出てきた! がんばりましょう! だったらやっぱツィブルカに帰った方がいいか……でもなぁ……私、教育してもらえるんですかね?


「はぁ……」

「どうした?」


 がっくりと首を項垂れるとエルがぎゅっと眉間に皺を深く刻み顔を顰めた。そりゃ今の今まで目をキラッキラにして魔法に食いついていたのに、急にがっくりしちゃったら気にしちゃうよね。エルが怖い顔しているけど怒っているわけじゃないのは分かるよ。

 強面だけど優しいんだろうな、と顔を上げてイケメンなエルの顔を見てほにゃりと笑ってしまった。


 

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