表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/302

37.お昼も楽しみですねー!

 ふふふん、と鼻歌が漏れる。

 

 料理長は何故、どうして? という顔をしながらも私の料理の仕方を聞き逃さないように真剣に聞き、確かめて厨房に戻っていった。

 うふふ、進化させていけばいいよ? プロなんだし、やる気に満ちているようだし。きっとそのうち私のレシピよりももっとおいしく変化させてくれるでしょう!

 …………させてくれるよね? ずっと頑なにレシピを守るばかりなんてしないよね?

 皆がおいしいと言ってくれるのが糧になればきっと改良も考えるはず。……発破かけるようにしよっと。


「エルもおいしかった? おかわり追加で二回もしてたけど」

「うまかった!」


 今は執務室に向かっている所です。エルがエスコートしてくれてます。なんかエルってこういうとこスマートだねぇ。子供の私にも淑女扱いとか。イケメンすぎない? ずっと抱っこ移動だったのにどこいった? いや、あれは私が怪我した後だったからって分かってるけど。


「甘いのも好きならスイーツも好きかなぁ?」

「スイーツ? なんだ? 甘いものは嫌いじゃないが?」


 スイーツとかないのかな? そういやクッキーとかは食べた事があるけど、あとはない、かも。ここの食文化最低すぎないか?


「エルがスイーツ男子」


 ぷぷぷと思わず笑ってしまう。背が高くて強面でスイーツ男子って可愛いよね! なんて思ってたら背中から強い視線を感じ振り返った。エルも感じたのか後ろを振り返っている。


「お、お嬢様……スイーツ、とは……?」


 ダナが目をギラギラさせている。あ、なんかコレ教えちゃいけない気が……。ついと視線をダナから外した。

 朝のフレンチトーストもそれはもう語ってくれたんだよね……。あんなにおどおどしていた様子だったのにダナも変わりすぎじゃない? そういえばテオドルもなんか変わっちゃったし。あ、私の変わりすぎも違和感ないかもね。うん。よかった。


「お嬢様の言われた通り一〇年分ご用意しました」


 テオドルに案内され、執務室に入ると大きな机の前に書類が積み重なっていた。

 わーお……読むの大変そうだね。


「一番上に置かれている書類がブラダ・ツィブルカに提出した書類の写しです」


 端に置いてあった書類を手に取ってみる。あー……年号が分からぬ。けど、数字を見て他のと比べれば一番新しいものだと分かった。どうやら古い順番にきちんと並べてくれていたみたいなので、一番古いものと新しいものを比べてみた。


 一〇年前というと私が生まれていなくてお祖父様の時代か。書類上はほぼ数字が変わっていないんだね。ずっと変わらずそのままを踏襲してきたって事か。この世界はそれが普通なのかもしれない。料理だって発展していないみたいだし。


「私から見て街が廃れている印象があったのだけれど、昔から変わらないの? 人流も。昔と変わらない?」

 

「いえ、昔は、ボフミール様が治めていらした時は商人ももっと出入りしておりましたし、冒険者も多くて賑わっていました。隣のイエニーク領に行くにも、北のアビーク領、南のドウシャやバーム領に行くにもここツィブルカは交差している一番近い地点ですので」


 だよね。私だってそう思うよ。なのに今は廃れている。


「ツィブルカに入る時の通行料が高い……って! エルに色々お支払いしないと! テオドル」

「あー……それはいい。しばらくここに置いてくれてうまい料理食わせてくれるならそれでいい。宿代で相殺って事で」


 エルがそう言った。

 いや、通行料とか食事代とか宿代とか、私にかかった分で相殺なら分かるけど、回復薬とかネックレスとか、とんでもないのがあるじゃない!


「でも回復薬とか……」

「ディアは薬師の勉強もするんだろう? 作れるようになったら一本譲ってくれ。それでいい」


 確かに薬師の勉強はしたいけども。


「いつになるか分からないじゃない」


 今現在すっごい忙しくて魔法の勉強も出来ていないのに! 私は早くしたいのに!


「待つさ」


 それでいいなら、いいけど……。


「そう……? じゃあ気長に待ってて。で、通行料の事だけどエル、普通ってどれ位なの?」

「領によって違う。国に治める分は同じ料金一人で五〇〇コハルだ。だからあとは領主が上乗せをどれ位しているか、って事だな」

「えー……ちょっと待ってよ。ぼったくり通行料ってどこ行った? 昔からぼったくってたの? 通行料の収入一〇年前と比べて激減してるんだけど? テオドル、一日の通行人数は分かる?」


「申し訳ありませんが一日ごとの人数は分かりません。一か月ごとに集計をし、ここには一年分を纏めてあるはずです」


 テオドルが書類を捲りこれです、と一〇年前のと去年のを出してきた。


「一〇年前が一年で約一万人、去年が一二〇〇人……ほぼ一〇分の一! ひどすぎる……そして料金が……」


 国に納めている額が、一〇年前が約五〇〇万コハル、ツィブルカの収入も五〇〇万コハル、去年が国に約六〇万コハル、ツィブルカが六〇万コハル。


「エル……コハルってお金の単位だよね? 銀貨一枚って何コハル?」

「一万コハルだな」

「ん? んんんんん???」


 一二〇〇人から一万ぼったくってたら……それが国には六〇万だけ!?

 おい!!! 残りの金どこ行った! 一千万コハル以上が行方不明だわ!!! ぼったくりが通行人全員からぼったくってたのかは知らぬけど! ひどすぎだろ! ツィブルカえ……。


「……………………マジかー」


 がくっと机に突っ伏した。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ