31.料理の改善をしよう。2
活動報告を書かせていただきました。
「お肉はどんなのがあります?」
「これはクージェ、こちらは豚、イエレン……」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」
なんかホントもう頭おかしくなりそう! 聞いたことのない名前と知ってる名前が入り乱れるから! なんなの? 翻訳機能が働かないものが現地語って感じ!? 私一体何語話しているんだろうか!?
「ええっと……クージェ、って何のお肉?」
「ああ! 鳥の魔獣です。イエレンは鹿の魔獣。魔獣の肉はおいしいので」
おいしいの! マジかー……。側は黒いけど肉は普通の肉なんだね。魔獣ってどうなっているんだろうか。
「魔獣は魔力を含んでいるから肉がおいしく感じる、と言われている」
エルがそっと横から注釈してくれた。なるほど。魔法がある世界だからねぇ……色々不思議がある世界なんだろうね。
というかうち食材豊富だね。街では子供がひもじそうにしてたのに……。ちょっとそこがひっかかるけど。
今憂いても仕方ない。絶対改善していくから待ってて!
さて、何を作ろうかしらね?
「あ、ハーブってあります?」
「ハーブ?」
あれ? ないのかな?
「ええと、お茶とかに……」
「ああ! 薬草茶ですね。こちらです」
デニスがすぐにお茶の葉を出してきてくれた。お茶に使う位なんだから食べてもいいんだろうけど、刻まれていて種類が分からず。うーん……。
「あの、薬草は外で育ててますが……?」
「そうなの? 何種類かある?」
「はい。摘んできましょうか?」
お願いすると一番年下の見習いの子が走っていった。子といっても高校生位に見える子なんだけど。私より大人ではある。見た目はね。
いつも頼まれているのかな? 即座に走っていったし。生ハーブがあるなら肉の香草焼きは決まりだよね。使えるかどうか、種類が分かるかどうかはまだ分からないけど。
あとはスープか……。鳥だしのスープ? トマトがあるからミネストローネとかいけそう? パスタはないけども。あとはパンだよなー。パンがなーぱっさぱさだから!
天然酵母作るにしても時間かかる……けど、一応作っておいた方がいい? 柔らかいパンは食べたい! 作り方知ってる? 私? なんとなくうっすらとしか思い出せないけど大丈夫だろうか?
ああ、いや、今日の夜ご飯にパンが間に合わないんだから……うーん……。
「小麦粉、あります? あと、膨らませるような粉ってありますか?」
「小麦粉はあります。膨らませる粉というのは……?」
あーないかー。
「卵は……?」
あります、と出てきた卵がデカっ! 何の卵だよ! 見慣れた卵の五倍位ありそうなんだけど!!! しかも変な縞々の模様つき。きしょ!
……まぁいい。ここではこれが普通なんだろう。
デカい卵があるならスフレパンケーキがいけるか? でも主食になるのか? おやつ? でもやわやわふわふわの物が食べたいのでいい事にしよう! ぱっさぱさのパンはもういいよ。
「野菜が煮えました」
小皿に色々な種類の野菜をもらって味見していく。
……うん、緑色のニンジン、赤いジャガイモ、黄色のタマネギ。味はそのままみたいな感じ。色はカラフルで映えていいのかも。でも頭がおかしくなりそうだ。
「鶏肉、ええとクージェ? を小さく切ってもらってもいい? 野菜もニンジン、ジャガイモ、タマネギ、を……」
一センチ角と言っても分からないよね。
「ええと、お野菜も小さ目で大きさを揃えるような感じで」
材料を切るのは自分達がします、と私に包丁は持たせない方向らしいので指示を出す。
魔獣の鶏肉はお酒につけてもらって、塩と黄色い胡椒を摺りつぶしてもらってちょっとした味をつけて。野菜を切ってもらっている間に薬草を取りに行った見習いが戻ってきたので薬草のチェック。
うーん……種類が元の世界と違うわー。分からないので葉を潰して香りを確かめてからよさげなのを適当に選んで肉に使う分を選別する。
鹿肉って確かおいしいんじゃなかったっけ? きちんと処理したら、の話なんだろうけども。
「ええと、なんだっけ……イエレン? のお肉を一人分の大きさに切ってちょうだい」
スープの材料を切っているのが三人、デニスは鹿肉を切っていく。
「豆って何かあります?」
「ダイズが……」
「ダイズ!!! マジか!!!!!」
びくっと厨房にいた皆が私の食いつきにびっくりしたのか体を揺らした。だって大豆とか! ホントに!? これ、色々出来るんじゃないの!? でも何色なんだ? ここの世界の訳わからないカラフル具合にすっかり及び腰になってるんだけども。
「あの、ダイズです」
「枝豆やんけ!」
見習いの子が持ってきてくれたのは緑色の枝豆でした。普通!!! 思わず突っ込んだわ!
「エダマメヤンケ?」
「あ、違うの! 気にしないでちょうだい」
うふふふ、と笑って誤魔化す。
これは! ツィブルカでダイズ作るの決定じゃない? 農地あるのか? なかったら外に増やせばいいのか?
「エル! 農地って領壁の外に作ってもいいの?」
「え? ああ、別にそれは構わないが? 外は魔獣が出たりするし危険があるから作っていないだけで」
「なるほど。安全確保が重要か」
よし、それは後で考えよう。
「鶏肉を茹でて、野菜も入れて下さい。あ、茹でたダイズもね。鹿肉は塩、あとこの黄色の粒を潰しながら振りかけて、酒とショウガ、ガーリックをすりおろして一緒にもみ込んで下さい」
さて、おいしい料理になるかなー? でもなー野菜が味も食感も微妙に違うからどうなんだろうねー。